「金属がイオンになるってどういうこと?」
「銅と亜鉛を比べるとどちらがイオンになりやすいの?」
「金属のイオンになりやすさってどうやって調べるの?」
と悩んでいないでしょうか?
実は、この内容は今年から中学校理科の教科書に掲載されたのです。
だから、中学生はもちろん、先生たちもどうやって教えればよいか手探りの部分があるのです。
そんな事情があるので、金属のイオンになりやすさに関する実験や内容が理解できない中学生は多いのです。
金属のイオンになりやすさについて調べたい人、理解を深めたい中学生にとっておすすめの記事となっています。
また、「実験をどうやっていいかわからない」という先生たちにもおすすめです。
私は、25年以上中学生に理科を教えています。
その中で、「どうしたら中学生が少しでも理科がわかるようになるのか」について研究しています。
最近では、作成した教材がある教材コンクールに入賞しました。
この教材については、また今度紹介します。
この記事を読み終えるときには、金属のイオンになりやすさの度合い(高校では”イオン化傾向”という言葉で習います)について理解できるようになっているでしょう。
今までわからなかった金属がイオンになることについて、「なるほど、こういうことだったのか」と納得できれば、大きな自信となって理科が好きになるでしょう。
この記事を読んで、「”いやになる”理科」から、「いやに”なるほど”理科」にしましょう。
本記事の内容
①塩酸(HCl)に金属を入れたときの変化を知る
②金属が電解質にとけるとは、イオンになること
③イオンになりやすさには、金属によって違う
④金属のイオンへのなりやすさを調べてみよう
それでは、詳しい説明です。
最初に、簡単な実験をしてみましょう。
最初は、これまで何回もやったことがある
塩酸(HCl)にマグネシウム(Mg)を入れる
実験です。
実験の様子をご覧ください。
マグネシウムから激しく気体が発生しています。
この気体は
水素(H2)
です。
*このブログでは、下付きの数字の書き方がわからないので、赤字で示します。
続いて、
塩酸(HCl)に亜鉛(Zn)を入れる
実験です。
マグネシウム(Mg)ほど激しくはありませんが、気体が発生しています。
この気体は
水素(H2)
です。
最後に、
塩酸(HCl)に銅(Cu)を入れる
実験です。
マグネシウム(Mg)や亜鉛(Zn)のときのように、水素が発生するでしょうか?
実験の様子をご覧ください。
なぜか、
銅を入れた場合は水素(H2)は発生しない
のです。
どうして銅(Cu)では水素が発生しないのでしょうか?
このことを理解するためには、次の内容を知らなければなりません。
金属が酸性の水溶液に溶けるとき、水素が発生する
どうして、金属が酸性の水溶液に溶けるときに水素が発生するのか?
次の章で説明します。
それでは、
金属が電解質に溶けるとはどういうことか
について考えていきましょう。
教科書には次のように書かれています。
一般に、金属が電解質の水溶液中でとけるという現象は、電解質の水溶液中で金属の原子がイオンに変化していると考えると説明できる。(教育出版)
この説明は、まさにその通りです。特に、太字の部分を理解しておきましょう。
つまり、
金属が(電解質に)溶けるとはイオンになること
先ほどの実験を振り返ってみましょう。
まず、塩酸にマグネシウム(Mg)を入れるとマグネシウム(Mg)が溶けて水素(H2)が発生する現象は
マグネシウム(Mg)がマグネシウムイオン(Mg2+)に変化している
のです。
*このブログでは、上付きの数字や英語の書き方がわからなかったので青字で書くことにします。
さらに、塩酸に亜鉛(Zn)を入れると亜鉛(Zn)が溶けて水素(H2)が発生する現象は
亜鉛(Zn)が亜鉛イオン(Zn2+)に変化している
のです。
では、塩酸に銅(Cu)を入れたときを考えましょう。
銅(Cu)は変化していません。
つまり、
銅(Cu)はイオンになっていない
のです。
このように考えると、同じように塩酸に入れたのですが、イオンになる金属とならない金属があることがわかります。
そうです。!
金属にはイオンになりやすいものとなりにくいものがある
のです。
銅(Cu)はイオンになりにくく、マグネシウム(Mg)や亜鉛(Zn)は銅(Cu)よりもイオンになりやすい
のです。
金属のイオンへのなりやすさの度合いを高校では「イオン化傾向」といいます。
イオン化傾向が大きければ「イオンになりやすい(溶けやすい)」金属と言え、イオン化傾向が小さければ「イオンになりにくい(溶けにくい)」金属
と言えます。
これまでは、塩酸(HCl)を基準として金属のイオンへのなりやすさを比べました。
では、金属同士のイオンへのなりやすさを直接比べる方法はないのでしょうか?
あります。
一言でいうと、
金属がイオンになっている水溶液の中に、別の種類の金属を入れて変化を調べる
のです。
例えば、
銅イオン(Cu2+)が入っている水溶液の中に、亜鉛(Zn)を入れる
とどちらがイオンになりやすいかを比べることができます。
また逆に、
亜鉛イオン(Zn2+)が入っている水溶液の中に、銅(Cu)を入れる
実験も考えられます。
では、実際にやってみましょう。
最初に、緑のテープが貼ってある試験管の中には「硫酸亜鉛」という物質が溶けています。
これは、
「亜鉛イオン(Zn2+)が溶けている水溶液」
です。
赤いテープが貼ってある試験管の中には「硫酸銅」という物質が溶けています。
これは
「銅イオン(Cu2+)が溶けている水溶液」
です。
緑のテープの試験管(硫酸亜鉛)の中に、金属の銅(Cu)を入れ、赤いテープの試験管(硫酸銅)の中に、金属の亜鉛(Zn)を入れます。
どのようになるか、ご覧ください。
見てのとおり、金属の銅(Cu)には変化が見られませんが、金属の亜鉛(Zn)には黒っぽい物質(赤っぽい物質)が出てきました。
亜鉛版についた物質は銅
です。
つまり、
銅よりも亜鉛の方がイオンになりやすいので、亜鉛が溶け(亜鉛イオンになり)、
その時出てきた電子が銅イオン(Cu2+)と結びついて銅(Cu)になる
反応が起こっているのです。
この反応を電離式で表すと次のようになります。
Zn → Zn2+ +⊝⊝
Cu2+ + ⊝⊝ → Cu
テストなどに出題されるので、しっかり覚えておきましょう、
今回は、ここまでとしておきます。
次回は、今回学習した金属のイオンへのなりやすさの違いを利用した装置
化学電池
の仕組みについて説明します。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
イオンと化学電池②~電解質に、2種類の金属を入れると電池ができる モデルを使って考えると超簡単に理解できる!~ | いやになるほど理科~高校入試に向け、”わからない”が”わか2021年7月7日 7:39 PM /
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