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イオンの応用問題②~難問は、ワンパターン問題だ!わからなかったボルタの装置が、わかるようになる問題集~

「イオンの問題が解けない」
「イオンって難しい」
「ボルタの装置の問題が全然理解できない」

と悩んでいないでしょうか?
 実は、イオンの問題は、中学校理科の最難関と言えるほど、超難しいのです。
 しかも、実力テストや高校入試では頻出の問題なのです。
 だから、イオンを苦手としている中学生は実に多いのです。
 でも、あまり知られていない事実があります。
 実は、
イオンの問題はワンパターン問題が多い
のです。
 これは、以前からお伝えしている
難しい問題は、ワンパターン問題の法則
に一致するのです。
 1つずつ、しっかりと理解して、ストック(知識量)を積み重ねていけば「また同じ話?あきたよ」という程度の問題です。
 私は、25年以上中学生に理科を教えています。
 その中で、「どうしたら中学生が少しでも理科がわかるようになるのか」について研究してきました。
 そして一つの確信を得ています。
難問は良質の問題を繰り返し解くことで確実に解けるようになる
と。
 この記事を読み終えるときには、イオンの問題(特に“ボルタの装置”の問題)をどのように解けばよいかがわかるでしょう。
 今までわからなかったテスト問題が、「なるほど、こういうことだったのか」と納得できれば、大きな自信となって理科が好きになるでしょう。
 この記事を読んで、「”いやになる”理科」から、「いやに”なるほど”理科」にしましょう。
 本記事の内容
・イオンの単元で出てくる”ボルタの装置”の問題の解き方がわかる
 それでは、詳しい説明です。

1 化学電池の問題を解いてみよう

 最初に、ボルタの装置(電池)の問題を解いてみましょう。
 「ボルタの装置って何?」という人は、こちらの記事をご覧ください。
イオンと化学電池②~電解質に、2種類の金属を入れると電池ができる モデルを使って考えると超簡単に理解できる!~
 それでは、問題です。
問題1
電池のしくみを調べるために、下の図のように、うすい塩酸の中に亜鉛板と銅板を入れて、導線で電子オルゴールにつないだところ、オルゴールから音楽が流れた。このとき、銅板からは気体が発生し、亜鉛板はとけだしていた。

(1) この実験で起った、亜鉛板がとけだす様子を表しているものを、次のア~エから選びなさい。
ア Zn2+ + – – →Zn
イ Zn + – – →Zn2+
ウ Zn → Zn2+ + – –
エ Zn2+ → Zn + – –

*青く書いた数字や記号は、上に小さく書く文字です

*ア~エの”-”は1つの電子を表しています。

(2)次の文は、この電池の電極と電子が移動する向きについて述べたものである。文中の①②に当てはまる言葉を、( )の中のア、イからそれぞれ選びなさい。
この電池では、(① ア 銅板 イ 亜鉛板 )が+極、もう一方の金属板がー極となる。この時、電子は導線を通って(② ア ー極から+極へ イ +極からー極へ )移動する。
(3)この実験のように、水溶液と2枚の金属板を用いて電気エネルギーを発生させるために必要な条件を、水溶液と2枚の金属板について答えなさい。

 どうでしょうか?
 選択問題が多いので、簡単でしょうか?
 それとも、なんて答えればよいのかわからないくらい難しいでしょうか?
 どちらの人も、必ず答えを見る前に自分の考えを紙などに書いておきましょう。
 一度は自分の頭で考えることで、成績は上がっていきます。
 むずかしいという人のために、ヒントを書いておきます。
<ヒント>
・金属が溶けるということは、原子からイオンになるということ
・水溶液にとけだしている金属がー極になる。
・電子は、ー極から+極に流れる
・電池を作るときに使われる水溶液は、電気を通すことができる
・ボルタの装置やダニエル電池に使われていた金属は何種類?

 それでは、解答と解説です。
【解答・解説】
(1) ウ (「亜鉛板がとける」とは、亜鉛の原子が、亜鉛イオン(Zn2+)になること。電子は2つ出てくる。
(2) ① ア  ②ア (亜鉛板はとけて電子を放出するので陰極になる。だから、陽極は銅板となる。また、電流の向きと電子の動きは逆になる。)
(3) 水溶液:電解質の水溶液を用いる
    金属板:2種類の金属を用いる
 いかがでしたか?
 解けましたか?
 正解しなくても、問題ありません。
 これから、どんどん解けるようになるでしょう。
 それでは、2問目です。
問題2
うすい塩酸で湿らせたろ紙を銅板と亜鉛板ではさみ、図のように電子オルゴールをつなぐと、音が鳴った。

(1) 銅板の表面で起っている現象を、ア~カから1つ選びなさい。
    ア 銅原子が電子を2つ離して、銅イオンになっている。
    イ 亜鉛原子が電子を2つ離して、亜鉛イオンになっている。
    ウ 塩素が銅板から発生している。
    エ 塩素が亜鉛板から発生している。
    オ 水素が銅板から発生している。
    カ 水素が亜鉛板から発生している。
(2) 亜鉛板の表面で起っている現象を、(1)のア~カから1つ選びなさい。
(3) +極になっているのは、銅板と亜鉛板のどちらか。
(4) 電流は、a,bのどちら向きに流れているか。
(5) 化学変化によって電流を取り出す装置を何というか。

 どうですか?
 形は変わっても、問題1と同じボルタの装置であることに気づけるかどうかが、一つの大きなポイントとなっています。
 「問題1と同じ電池」だと気付くことで、先ほどと同じことを聞かれていることがわかります。
 それでは、解答と解説です。
【解答・解説】
(1) オ (ボルタの装置では、銅板の表面で水素が発生する)
(2) イ (ボルタの装置では、亜鉛板がとけだすので、電子を2つ離して亜鉛イオンになっている)
(3) 銅板 (亜鉛板がとけて電子を離しているのでー極になる。だから+極は銅板である。)
(4) B (電子は亜鉛板から銅板に向かって流れている。電子の動きと電流の向きは逆になるので、Bになる。)
(5) 化学電池 (”化学変化”を利用して、電気エネルギーを取り出しているので「化学電池」が正解になる。もしも、”塩酸の中に亜鉛板と銅板を入れた電池を何というか”という問題であれば「ボルタの装置(電池)」が正解になる。問題文を正確に読みましょう。)
 どうでしたか?
 今回はどんどん問題を解いていきましょう。
 それでは次の問題です。
問題3 次の実験①②について、答えなさい。
【実験】
①図のように亜鉛板と銅板を、うすい塩酸に入れて電子オルゴールにつなぐと、オルゴールから音楽が流れ、銅板の表面から盛んに気体が発生した。

②金属板の組み合わせと水溶液を変えてオルゴールが鳴るかを調べたら、下のような結果になった。

(1)①で、銅板から発生した気体は何ですか。
(2)①で、電流はA,Bのどちら向きに流れていますか。
(3)①で、亜鉛板で起っている変化について表した次の式について、アには原子記号を、イにはイオン式を書きなさい。
( ア ) → ( イ ) + 電子2個
(4)②の結果について説明した次の文のa,bの( )に当てはまる言葉をア、イから選びなさい。
電流が流れてモーターが回転するのは(a ア 同じ  イ 違う)種類の金属板を用いて、(b ア 電解質  イ 非電解質)の水溶液を用いたときである。

 問題を見て感じましたか?
これまでの問題とほとんど同じじゃん!!!
と。
 そろそろヒントも必要ないかと思います。
これまでの知識をもとに解いていきましょう。
【解答・解説】
(1) 水素(銅板の表面で水素イオンが電子を受け取って水素分子になる。)
(2) B(亜鉛板がー極、銅板が+極になるので、Bの方向に電流は流れる。ちなみに「電子はどの向きに流れるか」と聞かれたのであれば、Aの方向になる。)
(3) ア Zn   イ Zn2+(亜鉛板がとけるということは、亜鉛イオンになるということ)
(4) a イ  b ア
 どうでしょうか?
 冒頭で説明したように
また同じ話?あきたよ
と思うことができたでしょうか?
 そのように思えれば、goodです。
 次回は、「ダニエル電池」の応用問題について説明していく予定です。

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