こんにちは。頭文字(あたまもんじ)Dです。
中学生に勉強を教えてかれこれ25年以上になります。その経験を活かして、「授業を聞いても理科がわからない人」を「なるほど、そういうことだったのか」と納得してもらおうとこの記事を書いています。
今日は、中学校2年生理科で習う【化学変化】から、化学反応式の書き方について説明します。
この記事は次のような人の疑問を解決します。
・化学反応式をどう書いていいかわからない
・化学反応式に書いていることがわからない
化学反応式は、3年生になっても高校生でも使います。だから、今の段階できちんと欠けるようにしておきましょう。
なお、今回の内容をきちんと理解するためには、前回までに学習した「原子記号」や「化学式」の知識が必要です。
「原子記号」や「化学式」について振り返りたい人は、下の記事をご覧ください。
原子の性質と原子記号~ドルトンが考えたこれ以上分けることのできない粒子~
分子と化学式~まぎらわしい化学式は”ホンクルはニコニコ”で~
これまでに化学変化について勉強してきましたが、その化学変化をいちいち言葉で説明するのって、けっこう大変ではないでしょうか?
例えば、「水が電気分解して水素と酸素ができる。できる割合は2:1になる」などです。
まあ、相手が日本人で、日本人同士の会話であればそんなに支障はないのかもしれませんが、相手が外国人だったり、日本語がわからない人だととても大変です。
先程の例でいうと、「Water is ナンタ~~ラ、カンタ~~ラ、ガンダ~~ラ…」となって、ほとんどの人が焦るでしょう。聞いている方も焦るに違いありません。
そこで、化学変化をどこの国の人にもわかるように化学式や数学の記号を使って表した式を考えました。それを「化学反応式」と言います。
大切な言葉なので、念のために意味をまとめておきます。
化学反応式・・・化学変化を化学式で表した式
化学式や数学の記号で表すので、言葉を使わなくても伝わるというメリットがあります。
その他にも、化学反応式を使うことで次のようなメリットがあります。
①反応がどちらに進んだのかがわかる
②反応に必要な物質の量がわかる
③化合か分解かがわかる
などなど・・・大きなメリットがあるのです。
しかし、そのメリットを生かせるのはあくまで化学反応式に対する知識がある人だけ。
その知識は、化学反応式を書く時の決まりを知っているかどうかで決まります。だから、化学式の書き方を学ぶ前に、化学反応式の決まりを覚えましょう。
それでは、化学反応式を書く決まりを紹介します。
①反応前の物質の化学式を左辺に書く。また、反応後の物質の化学式を右辺に書く。
②反応前の物質や反応後に生じる物質が複数あるときには、化学式を+でつなぐ。
③左辺と右辺は矢印(→)で結ぶ。
④左辺と右辺の原子の種類と数が等しくなるようにする。
たった3つだけです。
特に④が非常に大切です。
化学反応式の書き方がわからないという人は、だいたいここでつまずいています。
次の章では化学反応式を書く時の考え方について、ハンバーガーを例にして説明していきます。
ここで、ハンバーガーをつくるとします。
もちろん、実際に作る必要はありません。ハンバーガーをつくる様子を想像してみるだけで十分です。
余談ですが、皆さんはどんなハンバーガーが好きでしょうか?
私は函館にあるラッキーピエロのハンバーガーが大好きです。チャイニーズチキンバーガーです。
ただ一つの、最大の難点は、
函館にいかないと食べられないこと
です。
函館まで行く機会はなかなかないので、たまにしか食べられません・・・。
・・・それはどうでもいいことなので、話を本題に戻します。
ハンバーガーをつくるのですが、まず材料を用意します。
シンプルなハンバーガーでいいので、パンの中にハンバーグとレタスをはさんだものをつくりましょう。
用意するものは、
パン(”バンズ:buns”という)1個
ハンバーガー 1枚
レタス 1枚
ですね。
おっと、ここでパン(バンズ)に注意が必要です。
ハンバーガーをつくるためには、パンは上と下に2つ必要です。
しかし、”バンズ”というのはその上下が1セットになっているパンの事です。2つで1個と数えます。
2つセットになっているので、英語のスペルを見ると「buns」と「s」がついていますね。上下で1セットと数えるのです。
それでは、料理を始めます。
左側に材料のパン(バンズ)とハンバーガーとレタスを置きます。
左側のパンとハンバーガーとレタスの間に「+」を書いておきましょう。
また、体の前には矢印(→)を書きます。
すると、下の図のようになります。
2つ以上のものが結び付いてハンバーガーができたので、化学変化でいうと「化合」したことになります。
もしも、ハンバーグが2つあったらどうなるでしょうか?
ハンバーグを余すことなくハンバーグにするためには、パンとレタスを1つずつ追加しなくてはなりません。
パンは上下が1セットになることを忘れないでください。
下の図のようになります。
これで見事にハンバーガーが2つできました。
ここでのポイントは
パンやレタスを追加するときには、必ず最初と同じ形のものを追加する
ということです。
ここまで理解できましたか?理解したかを確かめるために、次のサイトに挑戦してみましょう。
このサイトではサンドイッチ作りができます。
https://phet.colorado.edu/sims/html/reactants-products-and-leftovers/latest/reactants-products-and-leftovers_ja.html
それでは、化学反応式の書き方を説明します。
化学反応式を書くときには、次の4つの段階に分けて行っていきます。
【超重要】化学反応式の書き方
①物質の名前を用いた式で表す
②それぞれの物質をモデルで表す
③左辺と右辺の原子の数を合わせる(”係数合わせ”と言います)
④それぞれのモデルを化学式で表す
この4つの段階で書いていくことについてどんな化学変化も化学反応式で表すことができます。
では、実際にやってみましょう。
最初に水の電気分解の化学反応式です。
水の化学反応式は、化学反応式の基本となります。まずは、水の電気分解の化学反応式を書けるようになりましょう。
水を電気分解すると、水素と酸素が発生するので
水 → 水素 + 酸素
となります。
①で書いた式の下に、物質のモデルを書いていきます。
モデルは「何の原子か」「何個あるか」がわかるように書きます。
だから
水 → 水素 + 酸素
HOH →HH + OO
となります。
ここで、水の「HOH」は「HHO」と書いても「OHH」と書いても問題ありません。
ここが一番のポイントです。
②で書いたモデルをもとに、左辺と右辺で原子の数を合わせていきます。
まず、Hから数を合わせていきましょう。
左辺にOが1つあります。右辺にはOが2つあります。
数があっていないので調整していくのですが、ここで重要なコツがあります。
数を合わせるときには、足りないものを加えていく
ことです。
つまり、左辺に水分子を1つ足すことになります。
水 → 水素 + 酸素
HOH → HH + OO
HOH
これで、左辺と右辺のOの数が合いました。
続いて、Hの数を合わせます。
最初の段階では数がそろっていたのですが、水分子が増えたことで数が変わってきました。
左辺にはHが4個あり、右辺にはHが2つあります。
そこで、右辺に水素分子を1つ足して数を合わせます。
水 → 水素 + 酸素
HOH → HH + OO
HOH HH
これで、Hの数もそろい、係数合わせをすることができました。
最後に、モデルを化学式で表します。
ここで、大事なルールがあります。
同じ化学式が2つ以上あるときは、化学式の前に大きな数字を書いて表す
ことです。
例えば、H2Oが2つあるときは「2H2O」と、H2が2つあるときは「2H2」と書きます。
だから、③で書いた式の下に化学式で書いていくと
水 → 水素 + 酸素
HOH → HH + OO
HOH HH
2H2O→ 2H2O + O2
となり、
2H2O → 2H2 + O2
が水の化学反応式になります。
次に、硫化鉄の化学反応式を書いてみましょう。
さきほどの4つの段階に当てはめて考えていきましょう。
鉄と硫黄が結びついて硫化鉄ができるので
鉄 + 硫黄 → 硫化鉄
となります。
鉄も硫黄も硫化鉄も固体です。だから「分子というまとまりをもたない」物質です。このような場合は1つの原子を代表として書いていきます。
だから
鉄 + 硫黄 → 硫化鉄
Fe + S → FeS
となります。
②で書いたモデルをもとに、左辺と右辺の原子の数を合わせていきます。
まずFeは左辺に1個、右辺に1個あります。同じ数なのでこれ以上調整する必要はありません。
次にSは右辺に1個、左辺にも1個です。だから、これ以上調整する必要はありません。
・・・ということは、どちらの原子もすでに数がそろっています。
このような場合はこれ以上係数合わせをする必要はありません。
意外と「何もしない」という判断をするには勇気が必要です。
どうしても係数合わせをしなければと考えてしまい、おかしなことになってしまいがちです。
そのため、次のことを覚えておきましょう。
すでに数がそろっている場合には、それ以上係数合わせを行わない
最後に、モデルの下に化学式を書いて化学反応式を完成させましょう。
先ほどの図の下に化学式を書くと
鉄 + 硫黄 → 硫化鉄
Fe + S → FeS
Fe + S → FeS
となり、
Fe + S → FeS
が化学反応式となります。
(表示方法の都合により、ここでの書き方ではモデルの図も化学式も全く同じ形になっています。)
それでは最後に「酸化銀の熱分解の化学反応式を書いていきましょう。教科書に載っている化学反応式の中では一番難しいものになります。
酸化銀の化学反応式がきちんと書けるようになれば、教科書レベルの内容は完璧に理解できていると言えるでしょう。
最初は少しハードルが高いと感じるかもしれませんが、がんばって理解しましょう。
酸化銀を加熱すると銀と酸素が発生したので
酸化銀 → 銀 +酸素
となります。
①で書いた式の下にモデルを書いていきます。
酸化銀の化学式は「Ag2O」なので、「AgAgO」と原子が結合している比がわかるように書きます。
酸化銀 → 銀 + 酸素
AgAgO → Ag + OO
となります。
「酸化銀の化学式がわからない」「酸化銀のモデルが書けない」という人がけっこういるので、しっかりと覚えておきましょう。
それでは、係数合わせを行っていきます。
最初に確認するのはOです。左辺には1個、右辺には2個あります。
だから、左辺に「AgAgO」を1つ足します。
すると、下のようになります。
酸化銀 → 銀 + 酸素
AgAgO → Ag + OO
AgAgO
これをもとに、Agの数を合わせていきます。
左辺にAgが4個、右辺には1個しかないので、右辺にAgを3こ加えます。
酸化銀 → 銀 + 酸素
AgAgO → Ag + OO
AgAgO Ag
◇ Ag
◇ Ag
この「Agを3個足す」ことができない人が多いので、注意しましょう。
最後に、モデルの下に化学式を書いて化学反応式を完成させましょう。
ここで事故が多発して間違う人が多くいます。最後まで気を抜かないようにしましょう。
まず、Ag2Oが2個あるので「2Ag2O」と書きます。
よく「AgO2」などと化学式を間違う人がいるので、化学式を間違えないように注意しましょう。
また、Agが4個あるので「4Ag」と書きます。
これも「2Ag2」などと書く人が非常に多くいます。銀の化学式は「Ag」なので、「4Ag」と書くように注意しましょう。
③の式の下に化学式を書くと
酸化銀 → 銀 + 酸素
AgAgO → Ag + OO
AgAgO Ag
◇ Ag
◇ Ag
2Ag2O→ 4Ag +O2
となり、
2Ag2O→ 4Ag +O2
が化学反応式となります。
今日は3つの化学反応式の書き方について説明しました。
この3つができるようになれば、化学反応式の基本はしっかりと理解できたことになります。
化学反応式の問題には、「モデルで表しなさい」などのような応用問題が出されることが多いのですが、4つの段階に分けて理解している人であれば問題なくとけることでしょう。
しかし、時には化学反応式を素早く書かねばならないこともあります。
だから、4つの段階に分けて考えることと同時に、化学反応式を”暗記”しておくことも大切です。
とりあえず、今の段階で覚えておきたいのは
水の電気分解 2H2O→2H2+O2
鉄と硫黄の化合 Fe+S→FeS
酸化銀の熱分解 2Ag2O→4Ag+O2
の3つです。
もちろん、これから覚えるべき化学反応式は増えていきますが、今日のところはこの3つに絞って覚えましょう。
また、化学反応式を書くときのポイントとなる係数あわせの練習をしたい人にはこちらのサイトをお薦めします。
https://phet.colorado.edu/sims/html/balancing-chemical-equations/latest/balancing-chemical-equations_ja.html
PhETというサイトですが、本当によく考えられてつくられたすばらしいサイトです。
ぜひ利用してみてください。
水の電気分解の問題~難しい? ポイントは化学反応式が書けること~ | いやになるほど理科~高校入試に向け、”わからない”が”わかる”に変わるサイト~2021年2月14日 10:50 PM /
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