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こんにちは。頭文字Dです。
中学生に勉強を教えてかれこれ25年以上になります。その経験を活かして、「授業を聞いても理科がわからない人」を「なるほど、そういうことだったのか」と納得してもらおうとこの記事を書いています。
今日は、中学校2年生理科で習う【化学変化】の単元がなぜ難しいのかについて説明していきます。
難しい理由がわかると同時に、どのような勉強をすれば得意になるのかもわかるはずです。
「学校の授業を受けても化学変化の単元がわからない」という人はぜひこの先を読んでください。読み終える頃には「なるほど、そうやればいいんだ」とやるべきことが見えてくるはずです。
結論を言います。化学変化の単元が難しいのは、次の4つの理由があるからです。
おそらく、化学変化の単元を苦手にしているほとんどの人がこれらのどれかに、または全てに当てはまるはずです。
そこで、どうすれば克服できるのか、説明していきます。
この単元ではとにかく物質の名前がややこしいです。
例えば、ほとんどの人が単元の最初に「炭酸水素ナトリウムの熱分解」をやって、「水の電気分解」をやると思いますが、ここから物質の名前で苦しみます。
それは
炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム
の3つです。
どれも「ナトリウム」という名前がついているので、同じように思えてしまいます。ましてや、「炭酸水素ナトリウム」と「炭酸ナトリウム」には「炭酸」という言葉も含まれていますし・・・。単元の最初の段階で、名前でつまずいてしまう人がものすごく多いのです。
極論を言います。これを知っていると知らないのでは、雲泥の差です。
それは
ことです。
名前が違えば、まったく別のものです。まずは、このように割り切りましょう。
これだけでは、まったくいいたいことがわからないと思うので、実験をしながら違いを見ていきましょう。
まずは、3つの物質を同じ質量取り出して水に解かしてみましょう。もちろん、水も同じ量だけ入れます。
左の赤いテープが貼ってある試験管が水酸化ナトリウムを溶かした水溶液、真ん中の黄色いテープが炭酸ナトリウム、右の青いテープが炭酸水素ナトリウムです。
見てみると、水酸化ナトリウムは全て水にとけています。このように、水酸化ナトリウムは水にとけやすいのです。
真ん中の炭酸ナトリウムは少し解け残っています。
さらに右の炭酸水素ナトリウムはけっこう解け残っています。まったく解けていないわけではありません。少しは解けているのですが、解けるのはわずかなのです。
ここまでの実験で、次のことがわかりました。
水への解けやすさは
となることです。
さらに、この水溶液にフェノールフタレイン液を入れてみましょう。
黄色いテープの炭酸ナトリウムの方が濃い赤色になっていて、青いテープの炭酸水素ナトリウムがちょっと白っぽくなっています。
教科書ではこの色をうすい赤色と書いています。今回の実験では赤く見えませんが、もう少し上手に実験をすると、うすい赤色になります。
フェノールフタレイン液を入れると赤くなるので、炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムのアルカリ性を比べると
炭酸ナトリウムの方がアルカリ性が強い
ことがわかります。
だけど・・・水酸化ナトリウム水溶液は無色に見えますね。
水酸化ナトリウム水溶液はアルカリ性ではないのでしょうか・・・?
実は、あまり知られていないことなのですが、フェノールフタレイン液には次のような性質もあります。
アルカリ性が強すぎると無色になる
意外と、理科の先生でも知らない人がいるかもしれません。詳しくはこちらをご覧ください。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%BF%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%B3
念のためですが、水酸化ナトリウムがアルカリ性であることを確かめるために、BTB液を入れてみました。
ついでに、炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムにも入れてみました。
全て青色になっているのでアルカリ性であることがわかりました。
だから、水酸化ナトリウム水溶液はアルカリ性が強すぎるためにフェノールフタレイン液の色が無色になったことがわかりました。
このことからアルカリ性の強さは
水酸化ナトリウム>炭酸ナトリウム>炭酸水素ナトリウム
となることがわかります。
水酸化ナトリウムのアルカリ性がどのくらい強いのかというと、
目に入ると失明する危険がある
くらい強いです。
だから、水酸化ナトリウムを使うときは必ず安全メガネをして、取り扱いには十分に注意しましょう。
万が一、目に入ったら素早く水で洗い流しましょう!
名前はそっくりでも、性質はまったく違うのです。単元を勉強する前にこのことをしっかりと頭にたたき込んでおきましょう。
「発想の転換って何?」と思った人は多いと思います。中学生のみならず、先生でも「?」という人が多いでしょう。
どういうことかというと、1年生の時に学習した気体の性質を思い出してください。
その時は、このように学習したはずです。
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これが、2年生の化学変化の単元では、次のように考えなくてはいけません。
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わかっていただけたでしょうか?考え方が反対になっていますね。
1年生の時は、何の気体かわかっていて性質を調べたのに対し、2年生では気体の性質を調べて何かを考えるわけです。
この考え方の発想を変えないと、授業で何を言っているのかわからなくなるのです。
このことは意外と誰も意識していませんが、この発想の転換ができていない人が多いので注意しましょう。
この単元では化学変化を説明するためにモデルを使って説明する問題がよく出されます。
また、計算問題もよく出されます。
これらが苦手な人もたくさんいます。よく「計算ができるようになるにはどうしたらいいですか?」と聞きに来る人がいます。
答えはこれしかありません。
「これを知るだけで魔法のように問題が解けるようになる方法」を期待していた人にとっては残念ですが、これにつきるのです。
でも、私が作成した原子モデルを使えば、かなりの人が計算できるようになります。
もちろん、化学反応をモデルで表すことも理解が深まります。
その原子モデルについては、いずれ紹介していきますのでいましばらくお待ちください。
それでは、今日はここまでとします。
次回からは化学変化の単元について詳しく説明していきます。お楽しみに。
炭酸水素ナトリウムの熱分解~最初にして最大の難関!攻略のカギは”炭水ナはニ水炭ナ”~ | いやになるほど理科2020年12月31日 9:51 PM /
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