「イオンがいつの間にかわからなくなってしまった」
「化学式とかイオン式とか、何が違うかわからない」
と悩んでいないでしょうか?
実は、イオンの単元で理科がわからなくなった、嫌いになったという人は非常に多いのです。
なぜなら、イオンがわからない人は「原子の構造やつくりがイメージできない」という点で共通しているからです。
そして、イオンをイメージするために適切なモデルは今までありませんでした。
私は、25年以上中学生に理科を教えています。
その経験の中で、中学生にとってわかりやすいイオンモデルを作成しました。
この記事では、イオンモデルの写真を見ながら、原子やイオンの性質について理解できるように説明しています。
もちろん、写真を見るよりも実際に手でさわりながら操作したほうが理解は深まりますので、イオンモデルが欲しいという方は連絡ください。
この記事を読み終えるときには、原子やイオン、電離のしくみなどをイメージできるようになているでしょう。
イオンモデルで考えると、嫌だったイオンが、「なるほど、イオンってこういうことか」と納得できます。
本記事の内容
①原子はの構造がわかる
②イオンのでき方がわかる
③電離のしくみがわかる
それでは、詳しい説明を書いていきます。
中学2年生の時には、「それ以上分けることができない粒子を”原子”という」と習いました。
しかし、科学が進歩するにしたがって、原子はいくつもの粒子が集まってできていることが明らかになったのです。
原子は、どのような構造になっているのでしょうか?
原子を拡大していくと、中心に「原子核」という+の電気を帯びた粒子のかたまりがあります。
そして、原子核をつくる粒子には2種類にわかれることが知られています。
1つは
+の電気を持つ陽子(ようし)
もう1つは
電気を持たない中性子(ちゅうせいし)
です。
そして、原子核の周りを
ーの電気を持つ電子(でんし)
がものすごいスピードで回っています。
例として、ヘリウム原子の構造を書くと、次のようになります。
この図は、どの教科書にも載っているものなので、見たことがあると思います。
ここで、原子の特徴を考えてみましょう。
まず、原子をつくる
陽子が持つ+の電気の強さと、電子が持つーの電気の強さは同じ
です。
また、原子が持つ
陽子の数と電子の数は常に同じ
になります。
ヘリウム原子を例にすると、陽子が2つ、電子が2つあります。
だから、
原子全体としては、電気を帯びていない
となります。
このように、
原子は電気を帯びていない
という特徴があります。
(地味にここ大事!)
ところが、原子が持つ電子の数が変わることがあります。
どのようなときかというと、
電解質が水に溶けたとき
です。
電解質とは何かについては、こちらの記事をご覧ください。
電解質と非電解質~海の水は電気をよく通す?の理由 電気の通り方で物質を分類することができる~
電解質が水にとけて、原子が電気を帯びたものを「イオン」と言います。
イオンのうち、
原子が電子を失って、+の電気を帯びたものを「陽イオン」
原子が電子を受け取って、ーの電気を帯びたものを「陰イオン」
と言います。
例として、水素イオンと塩化物イオンをモデルで示します。
水素原子は、電子を1個失って「水素イオン(H+)」になります。
塩素原子は、電子を1個受け取って「塩化物イオン(Clー)」になります。
このように、陽イオンや陰イオンを表した記号を「イオン式」と言います。
イオン式の「+」や「ー」は
右上に小さく書く
のですが、ブログで上付きにするやり方がわからないので、
青字で書く
ことにします。ご注意ください。
さらに、教科書によく出てくる銅イオンのモデルを紹介します。
銅原子は、電子を2個失って「銅イオン(Cu2+)」になります。
このとき、「2+」は右上に書くので、青字で書いてあります。
中学生が良く疑問に思うことの一つに、
水素原子は電子を1個失うのに、塩素原子は電子を1個受け取る、銅原子は電子を2個失うのはなぜ?
というのがあります。
中学生に対してのこの答えは、
「その物質の特徴」としか説明しようがない
のです。
高校や大学に行ったらもっと詳しい説明をすることができるのですが、中学生にそのことを教えるには、時間がかかりすぎてしまうのでここでは説明しません。あしからず。
なお、イオンモデルでは、電子を1個失う水素原子には電子が1個つくように、電子を2個失いやすい銅原子には電子が2個つくようにできています。
ここで、中学生が覚えておきたいイオン式を覚えましょう。
最低限、これだけは覚えておいてほしいものを書くので、しっかり覚えておきましょう。
水素イオン・・・H+
ナトリウムイオン・・・Na+
銅イオン・・・Cu2+
亜鉛イオン・・・Zn2+
塩化物イオン・・・Cl–
水酸化物イオン・・・OH–
硫酸イオン・・・SO42-
*硫酸イオンで赤字で書かれた「4」は下に小さく書く数字です。
それでは、電解質がどのようなつくりになっているのかを考えていきましょう。
まずは、教科書で電気分解を行った「塩化銅」です。
塩化銅(CuCl2)は銅原子1個に塩素原子が2個結び付いてできています。
この塩化銅(CuCl2)が水にとけると陽イオンと陰イオンに分かれます。
ここで、用語を1つ覚えましょう。
電離・・・電解質が水にとけて、陽イオンと陰イオンに分かれること
そうです!「水にとけると」がポイントです。
中学生の段階では「水にとけなければイオンにならない」と覚えてもよいくらいです。
話を戻して、塩化銅(CuCl2)が水にとけて電離したときの様子をモデルで表します。
すると、銅イオン(Cu2+)が1つと、塩化物イオン(Cl–)が2つに分かれます。
これを式で表します。なお、このように電離を表した式を「電離式」と言います。
CuCl2→Cu2+ + 2Cl–
もう一つ、塩酸(塩化水素の水溶液)の電離の様子を見てみましょう。
塩酸とは、「塩化水素という気体が水にとけたもの」です。
塩化水素の化学式は「HCl」です。
モデルで表すと下のようになります。
塩化水素(HCl)が水にとけると、下の写真のように電離します。
この様子を電離式で表すと
HCl → H+ + Cl-
となります。
この2つの電離式はテストによく出てくるので、確実に覚えておくようにしましょう。
最初に「”イオンがいつのまにかわからなくなった”と悩んでいる人がいる」と書きました。
その大半の人が
電離からイオンがわからなくなっている
のです。
その理由は
頭の中でイメージができないから
に他なりません。
今回紹介したイオンモデルを使うと、理解しにくいイオンの動きを体験することができます。
本音を言うと、写真ではなく、実際に手で触って操作してほしいところです。
手で触って考えることで、イオンについて理解を本当に深めることができます。
モデルが欲しい人は、サイトの問い合わせを利用して連絡してください。
今日も最後までありがとうございました。