• ”いやになる”ほど理科を勉強して、いやに”なるほど”理科が納得できるサイトです

地層の問題を得意にしよう ~やれば誰でもとけるようになる地層の問題の基礎~

 こんにちは。頭文字(あたまもんじ)Dです。
 中学生に勉強を教えてかれこれ25年以上の理科教育のスペシャリストです。
 その経験を活かして、「授業を聞いても理科がわからない人」を「なるほど、そういうことだったのか」と納得してもらうためにこの記事を書いています。

 地層の単元(「大地のつくり」などの単元名で通常、地層・地震・火事の3つの章を学ぶ)を苦手としている人は多くいます。
 中学生が地層の単元を苦手にするのは、理由があります。
 それは
年度末に習う単元なので、授業時間が少なくなる場合がある
からです。
 もっとも、昨年から指導要領が変わったので、十分な授業時数で習う可能性が大きくなりました。
 しかし、現3年生は苦手な人が多いでしょう。
 また、何らかの事情で地層の単元にかける時間が少ない場合もあります。
 でも、地層の単元は
時間さえかけて勉強すれば、誰でも高得点をねらえる
のです。
 今回は、「地層のでき方」「堆積岩」「化石」に関する問題を中心に取り上げていきましょう。

1 さっそく基礎問題を解いてみよう

 それでは問題です。
問題1 図1は、堆積岩にいくつかの実験を行って観察したのちに分類したものである。図中の【】はその実験を示したものである。また、図2は、ある岩石をルーペで観察してスケッチしたものである。次の問いに答えなさい。


(1)堆積岩を区別するために行った実験として、図1の①、②に当てはまるものをそれぞれa~dから選びなさい。
     a.うすい塩酸をかけて、気体が発生するかどうか
     b.有色鉱物の割合が多いか少ないか
     c.ルーペで岩石の粒を調べ、大きいか小さいか
     d.ルーペで岩石の結晶を調べ、大きな鉱物が組み合わさってできているかどうか
(2)図1の岩石Xは、火山噴出物が堆積して押し固められてできた岩石である。この岩石を何というか。
(3)図2には、示準化石のフズリナの化石が見られた。この化石が示す地質年代について正しいものを、a~dから1つ選びなさい。
     a.ナウマンゾウなどの哺乳類が栄えたと考えられている年代
     b.ビカリアやメタセコイアが栄えたと考えられている年代
     c.恐竜が栄えたと考えられている年代
     d.三葉虫が栄えたと考えられている年代
(4)フズリナのように、示準化石となりうる生物の条件を書きなさい。

  いかがでしょうか?
  ちょっと難しいと感じるでしょうか?
  それとも、「めっちゃ簡単!」と思うでしょうか?
  最初の段階なので「難しい」と感じる人の方が多いかと思います。
  でも、この記事を読み終えるころには「簡単、簡単!!」「なんだ、ワンパターンだ」などと思うようになるでしょう。
  解答や解説を読む前に、必ず自分で解いてみましょう。できれば、何かの紙に答えを書いておきましょう。
  めんどくさいと感じるかもしれませんが、少しくらいハードルを上げておいた方が勉強ができるようになります。
   がんばりましょう。

  それでは解答と解説です。
【解答】
(1)①a ②c
(2)凝灰岩(ぎょうかいがん)
(3)d
(4)広い範囲に生息し、限られた時代に繁栄した生物

【解説】
(1)石灰岩とチャートはどちらも生物の死がいが固まってできた岩石ですが、塩酸に入れたときの反応が違います。
   チャートは塩酸に入れても変化しませんが、石灰岩を塩酸に入れると二酸化炭素が発生します。
   気体の発生で勉強した「塩酸に石灰石を入れる」ときと同じ反応です。
   石灰岩はサンゴや貝などの生物が固まった岩石です。
   これらの生物は、生きているときから塩酸に入れると二酸化炭素が発生します。
   生きているうちからそのような性質があるので、死んでからもその性質が残ります。
   これに対し、チャートは昆虫などの生物のし甲斐が固まった岩石です。
   昆虫を塩酸に入れても二酸化炭素は発生しないので、死んでから固まってできたチャートも二酸化炭素を発生しません。
   また、泥岩・砂岩・れき岩の違いは「粒の大きさ」です。
        直径が2mm以上の土砂を含む岩石が「れき岩」です。
        直径が0.06=2mmの土砂が固まってできた岩石が「砂岩」です。
        直径が0.06mm以下の土砂が固まってできた岩石が「泥岩」です。
   粒の直径によって分けるので、ルーペで観察して見分けましょう。
(2)火山灰が固まってできた岩石を「凝灰岩(ぎょうかいがん)」といいます。
(3)フズリナは「古生代」に生きた生物です。
   地質年代は古い方から「古生代」「中生代」「新生代」と分かれています。
       「古生代」はサンヨウチュウなどが生息していた時代です。この時代のほとんどの生物は海の中で生活していました。
       「中生代」は、陸上で恐竜が、海の中ではアンモナイトが繁栄していた時代です。
       「新生代」は、哺乳類が繁栄してきた時代です。ナウマンゾウは象の仲間なので哺乳類です。また、ビカリアやメタセコイアなども生息しています。
(4)「示準化石」になる生物は、「広い範囲に生息し、限られた時代に繁栄した生物」生物です。「示相化石」はこの逆で、「長い年代にわたり繁栄し、限られた場所で生息していた生物」です。

 いかがでしたか?
 学校で習ったばかりであれば、ちょっと難しかったと思います。
 しかし、問題慣れすれば簡単に解けるようになるでしょう。

 それでは、2問目です。
問題2 下の図は、ある地層を観察して図にあらわしたものである。次の問いに答えなさい。

(1)この地層の中で最も古い地層はどれか。A層~E層から選びなさい。
(2)B層が堆積した当時、どのようなことがあったと考えられるか。
(3)C層からビカリアの化石が見つかりました。C層ができた地質年代は何時だと考えられますか。また、このように地層が堆積した年代を推定することができる化石を何と言いますか。

 それでは自分で解いてみましょう。
 何度も言いますが、自分で解くことが大切です。
 ここで、間違えてもいいのです。
 大切なのは、テストや高校入試の日に間違えないことなのです。
 だからがんばって問題を解いてから解答と解説を読みましょう。

 それでは、解答と解説です。
【解答】
(1)E層
(2)火山の噴火
(3)地質年代:新生代、化石:示準化石

【解説】
(1)基本的に下にある層は古くて、上にある層ほど新しい時代にできたものです。
   中学校の学習範囲であれば、これだけ覚えておけばOKです。
(2)B層には軽石や火山灰が見られるので、火山活動があったと考えられます。
   他に、この手の問題でよく出てくるのが「凝灰岩(火山灰が固まってできた岩石)」です。
   「凝灰岩」「火山灰」「軽石」などが出てきたら、「火山活動があった」と答えるようにしましょう
(3)ビカリアは新生代の生物です。新生代の化石にはこの他に、ナウマンゾウとかもありますが、圧倒的にビカリアが問題に出てくることが多いです。
   地層が堆積した年代がわかる化石を「示準化石」といいます。

  いかがでしたか?
  問題2は定期テストや実力テスト、高校入試によく出てくる問題の典型的なパターンでした。確実に解けるようになりましょう。
  「またこの問題?もう見飽きたよ」とボヤくくらいになれば完璧です。
  それでは、次の問題です。

問題3 下の図1はある地層を観察して、その様子を図にあらわしたものである。図2のXはF層から、YはC層から採取した岩石を観察し、スケッチしたものである。次の問いに答えなさい。


(1)れき岩と砂岩と泥岩は何を基準に分けられるか。
(2)F層の石灰岩から見つかった図2のXには、フズリナの化石が見つかった。フズリナのように、地層が堆積した年代を知ることができる化石を何というか。
(3)F層が堆積したのはいつだと考えられるか。
(4)B層の凝灰岩は、主に何が固まってできた岩石か。
(5)図2のYが、れき岩だと判断できる理由を書きなさい。

 それではやってみましょう。
 レッツ・シンキング・タイム!!

 解答と解説です。
【解答】
(1)粒の大きさ
(2)示準化石
(3)古生代
(4)火山灰
(5)(粒の)丸い大きな土砂の間に小さな土砂が入っているから。

【解説】
(1)れき岩・砂岩・泥岩は粒の大きさで分けることができます。
 なお、
    直径が0.06mm以下の土砂を「泥」といい、泥が固まってできた岩石を「泥岩」といいます。
    直径が0.06mm~2mmの土砂を「砂」といい、砂が固まってできた岩石を「砂岩」といいます。
    直径が2mm以上の土砂を「れき」といい、れきを含む岩石を「れき岩」といいます。
(2)地層が堆積した年代がわかる化石を「示準化石」といいます。
(3)フズリナは「古生代」の示準化石です。
   同じく古生代の示準化石には「三葉虫」もよく出題されます。
   この2つは、よく覚えておきましょう。
(4)凝灰岩は、「火山灰」が固まってできた岩石です。
   なお、凝灰岩の「凝」には、「固まる」という意味があります。
      凝灰岩の「灰」は火山灰の灰です。
   だから、凝灰岩は「火山灰が固まった岩石」という意味なのです。
(5) 先生たちでも勘違いをしていることがあるのですが、正確に言うと、れき岩は「れきが固まった岩石」ではありません。
    「れきを含む岩石」です。
    なぜかというと、れきは直径が大きいので隙間ができて固まらないからです。
    れき岩は必ず、大きな粒の間に小さな土砂が入り込んでできています。
    砂岩と泥岩は直径が小さいのでそれだけで岩石ができます。
     図2のYは大きな土砂の間に小さな土砂が入り込んでいます。
    また、「火山岩」と間違えた人は、粒の形に注目しましょう。
    火山岩であれば、粒は角がとがっているはずです。
    しかし図では丸い形をしています。
    丸い大きな土砂と小さな土砂が見られるので、「れき岩」であると判断できます。

 それでは、最後の問題です。
問題4 下の図は、ある露頭を表したものである。次の問いに答えなさい。
(1) 海底に堆積している砂や泥は、地表を流れる水によってけずりとられて運ばれる。
    流水が大地を削る働きを何というか。
(2) Aの地層が堆積した当時、近くでどのような災害があったか。
(3) Bの地層からサンゴの化石が見つかった。Bの地層ができた当時の環境は、ア~オのどれか。
      ア 寒くて深い海
      イ 寒くて浅い海
      ウ 暖かくて深い海
      エ 暖かくて浅い海

 どうでしょうか?
 「今までの問題を解いていれば、ばっちりだよ」という方も多いでしょう。
 大切なのは、「自分で解く」ということです。

 それでは、解答と解説です。
【解答】
  (1) 浸食
  (2) 火山(の災害)
  (3) エ

【解説】
  (1) 岩石が流水によって少しずつ岩石を削る作用を、「浸食」といいます。
  (2) Aは凝灰岩の層なので、火山活動があって、火山による災害があったと考えられます。
  (3) サンゴの化石が出てきたので、「暖かくて(水の澄んだ)浅い海」であることがわかります。
      なお、示相化石ではサンゴが一番出題される傾向があります。
      しっかり覚えておきましょう。

  いかがでしたか?
  地層の問題に対して、少しは恐怖心が無くなったでしょうか?
  おそらく、ほとんどの人が「あ、またおんなじ問題だ」とか「見たことのある問題だな」と思ったでしょう。
  このように、地層の問題はワンパターンであることが多く、数多く解いていくことで得意にすることができるのです。
  だから、多少間違ってもあきらめずに問題を解いていきましょう。
  力は必ず伸びます!!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。