こんにちは。頭文字(あたまもんじ)Dです。
中学生に勉強を教えてかれこれ25年以上の理科教育のスペシャリストです。
その経験を活かして、「授業を聞いても理科がわからない人」を「なるほど、そういうことだったのか」と納得してもらうためにこの記事を書いています。
火山の単元(「大地のつくり」などの単元名で通常、地層・地震・火山の3つの章を学ぶ)を苦手としている人は多くいます。
中学生が地層や火山の単元を苦手にするのは、理由があります。
それは
年度末に習う単元なので、授業時間が少なくなる場合がある
からです。
もっとも、昨年から指導要領が変わったので、十分な授業時数で習う可能性が大きくなりました。
しかし、現3年生は苦手な人が多いでしょう。
また、何らかの事情で火山の単元にかける時間が少ない場合もあります。
でも、火山の単元は時間さえかけて勉強すれば、誰でも高得点をねらえるのです。
今回は、「マグマの粘り気と火山の特徴」「火成岩」「鉱物」に関する問題を中心に取り上げていきましょう。
それでは問題です。
問題1 次の図1のA、Bは火山の形を模式的に表したものである。図2は桜島の火山灰を双眼実体顕微鏡で観察した物を表している。次の問いに答えなさい。
(1)火山の形に違いがみられるのはなぜか。下の文の①、②に当てはまる言葉を書きなさい。
火山の形は、( ① )の( ② )が大きいか小さいかで決まる
(2)火山の噴火の様子が激しくなることが多いのは、図1のA、Bのどちらですか。また、噴火の様子が激しい火山の火山噴出物の色はどのようになりますか。
(3)火山灰を観察すると、色や形が異なる何種類かの粒からできていた。これらの粒のうち結晶になっているものを何というか。
(4)桜島の火山灰に含まれている図2の粒の中に、無色や白色のものがあった。その粒と考えられるものを、ア~エから選びなさい。
ア 石英 イ 長石 ウ 黒雲母 エ カンラン石
いかがですか?
難しいでしょうか?
それとも、簡単でしょうか?
この下に解答と解説を書いていきますが、読む前に必ず自分で考えましょう。
できれば、紙などに自分の答えを書いておくとさらに良いです。
正解してもしなくても、自分で考えた後のほうが、解答が記憶に残りやすいのです。
少々面倒くさいかもしれませんが、頑張って解きましょう。
それでは、解答と解説です。
【解答】
(1)① マグマ ②粘り気
(2)激しい噴火の火山:B 火山噴出物の色:白っぽい
(3)鉱物
(4)ア イ
【解説】
(1) 火山の形は、マグマの粘り気によって決まります。
粘り気が小さければ、周囲に流れていくので「傾斜が緩やかな形(平たい形)になります。
粘り気が大きければ、周囲に流れにくくなるので、ドーム状(傾斜が急な形)になります。
(2) マグマの粘り気が大きいほど、激しい噴火が起こります。
なお、火山で最も怖い火砕流は、マグマの粘り気が大きな火山で発生することが多いのです。
(3) マグマからできた結晶を「鉱物」といいます。
(4) 無色や白色の鉱物を「無色鉱物」といいます。
無色鉱物には「石英」と「長石」があります。
この2つはよく出てくるのでしっかり覚えておきましょう。
なお、鉱物は7種類あるのですが、覚え方を紹介します。
石英 長石 黒雲母 角閃石 輝石 カンラン石 磁鉄鉱
せきり だっちょう 黒ウンコ かくせ 金玉 カンカラカン
いかがでしたか?
「難しくて全然解けなかった」
という人も大丈夫です。
この単元の問題は、ある程度パターンが決まっています。
そのパターンに慣れてしまえばどんどん解けるようになります。
最初が一番つらいのです。
壁を1つ超えれば超えただけ、解けるようになっていきます。
だから、もう少し頑張りましょう。
問題2 次の表は、火山の形と火山を作る岩石の色についてまとめたものである。図は、火山を作る岩石を層岩実態顕微鏡で観察してスケッチしたものである。次の問いに答えなさい。
(1) Aの火山の岩石が白っぽいのはなぜですか。
(2) 図のような岩石の作りを何組織といいますか。また、ア、イの部分の名前をそれぞれ書きなさい。
(3) Cの火山のマグマのねばりけと噴火の様子を説明しなさい。
いかがでしょうか?
「あれ?さっきと似たような問題が出ているぞ」と思えれば成長している証です。
一度自分で解いてから解答と解説を読みましょう。
【解答】
(1) 無色鉱物が多く含まれるから
(2) 斑状組織 ア:斑晶 イ:石基
(3) マグマの粘り気:小さい
噴火の様子:穏やか
【解説】
(1) 無色鉱物の割合が多い岩石は白っぽくなります。
(2) 大きな結晶を「斑晶」といい、小さな結晶やガラス質のものを「石基」といいます。石基と斑晶がみられる岩石のつくりを「斑状組織」といいます。
(3) Cの火山は、AやBに比べて平たい形(傾斜が緩やか)になっています。
これは、マグマの粘り気が小さいためです。
また、マグマの粘り気が小さい火山は(比較的)穏やかに噴火します。
どうでしたか?
(2)の岩石の作りについては問題1で出てこなかったので難しかったかもしれませんが、(1)と(3)は問題1に似ていたので解きやすくなっていたのではないでしょうか?
この単元の問題は、解けば解くほどできるようになるのです。
それでは次の問題です。
問題3 右の図1と図2は、双眼実態顕微鏡を用いて安山岩と花こう岩のつくりを観察してスケッチしたものである。次の問いに答えなさい。
(1) 安山岩と花こう岩のような岩石をまとめて何と言いますか。
(2) 図1で、鉱物の大きな結晶がみられないAの部分を何と言いますか。
(3) 花こう岩にみられる無色(白色)の鉱物を2つ書きなさい。
(4) 図2の花こう岩のように、大きな結晶どうしが組み合わさってできているつくりを何と言いますか。また、このようなつくりになった理由を説明しなさい。
それではシンキングタイムです。
何度も書きますが、必ず自分で解いてから答え合わせをしましょう。
できれば、紙などに書いておくといいですよ。
解答と解説です。
【解答】
(1) 火成岩
(2) 石基
(3) 石英 長石
(4) つくり:等粒状組織 理由:マグマが(地下深くで)ゆっくり冷えてできたから
【解説】
(1) マグマが冷えて固まってできた岩石を「火成岩」といいます。
火成岩には2種類あって、マグマが(地表付近で)急に冷えて固まってできた岩石を「火山岩」といいます。
マグマが(地下深くで)ゆっくり冷えて固まってできた岩石を「深成岩」といいます。
なお、「火成岩の”火”は火山岩の”火”、火成岩の”成”は深成岩の”成”と覚えると、火成岩は火山岩と深成岩のことが理解できるでしょう。
(2) 火山岩は大きな結晶と小さな結晶やガラス質(細かい粒)のものからできています。
大きな結晶のことを「斑晶」といい、小さな結晶やガラス質のものを「石基」といいます。
なお、斑晶と石基がみられる岩石の作りを「斑状組織」といいます。
(3) 無色鉱物には石英と長石があります。
(4) 深成岩は大きな結晶である斑晶のみでできています。
斑晶はほぼ同じ大きさなので「等粒状組織」といいます。
なぜ斑晶だけになるのかというと、「マグマが(地下深くで)ゆっくりと冷えて固まったから」です。
結晶は固まるまでの時間が長ければ長いほど、大きくなるという性質があります。
いかがでしたか?
そろそろ「わかってきた!」という手ごたえが出てきたかと思います。
最後に1問解いて実力を伸ばしましょう。
問題4 次の図は、マグマが冷えて固まってできた火成岩A、Bのスケッチである。次の問いに答えなさい。
(1) Aはすべて大きな結晶からできている。このようなつくりを何というか。
(2) Bには比較的大きな結晶があり、そのまわりに小さな結晶やガラス質の部分がある。比較的大きな結晶と、小さな結晶やガラス質の部分を何というか。
(3) A,Bの作りが異なっているのはどうしてか。説明しなさい。
(4) A,Bと同じようなつくりの岩石をア~カからそれぞれ選びなさい。
もしかしたら「読んだだけでわかってきた!」という人もいるかもしれません。
少しでも、自分の成長を感じ取っていただけたら幸いです。
それでは解答と解説です。
【解答】
(1) 等粒状組織
(2) 大きな結晶:斑晶
小さな結晶:石基
(3) マグマが冷えて固まる時間の違い
(4) A:ア、オ B:ウ、エ
【解説】
(1) 斑晶だけでできているつくりを「等粒状組織」といいます。
(2) 火山岩には大きな結晶である「斑晶」と小さな結晶やガラス質の「石基」があります。
石基と斑晶がみられる岩石のつくりを「斑状組織」といいます。
蒙古の説明にも飽きましたか?飽きるくらい読んでいれば、その分皆さんの力になっていますよ。
(3) 火山岩と深成岩の違いは、「マグマが冷える時間」の違いによるものです。
急に冷えると結晶が成長しきれずに石基の部分ができます。
ゆっくり時間をかけて冷えると結晶が十分に成長できるので斑晶のみのつくりになり、等粒状組織ができます。
(4) 火山岩には、流紋岩、安山岩、玄武岩があります。
深成岩には花こう岩、閃緑岩、斑れい岩があります。
いかがでしたか?
「火山の問題はもうばっちり!」と思うことができたでしょうか?
おそらく最後まで読んでいただいた方は、自分の力が伸びていることを実感できたと思います。
そのように、この単元の問題は、やればやるほどできるようになっていくのです。
まだ自信が持てない人も大丈夫です。
もう一度最初から読むなどして、何度も繰り返していけば絶対に解けるようになります。
がんばってください。