目次
「減数分裂って何?」
「体細胞分裂と減数分裂って何が違うの?」
「なぜ、無性生殖では親と全く同じ子ができるのに、有性生殖ではそうならないの?」
「有性生殖と無性生殖は何が違うの?」
という疑問を持つ中学生の疑問を解決します。
こんにちは。頭文字(あたまもんじ)Dです。
中学生に勉強を教えてかれこれ25年以上になります。その経験を活かして、「授業を聞いても理科がわからない人」を「なるほど、そういうことだったのか」と納得してもらうためにこの記事を書いています。
今回の結論は
①減数分裂とは、染色体の数が半分になる特別な細胞分裂であり、生殖細胞がつくられるときに行われる
②体細胞分裂と減数分裂の違いは、分裂後の染色体の数が違う
③無性生殖では親と全く同じ子ができるのは、親と全く同じ遺伝子が伝わるからである。有性生殖でそうならないのは、両親から半分ずつ染色体を受け継ぐからである。
④無性生殖と有性生殖の違いは、1つの親の遺伝子と全く同じものを受け継ぐか、両親の遺伝子を半分ずつ受け継ぐかの違いである
です。
それでは、詳しい説明を書いていきます。
何事もそうですが、言葉がわからないと内容がわかりません。
だから、この記事を理解するために、最低限知らなければならない言葉をまとめます。
記事を読んでいて意味を忘れたら、ここに戻って確認しながら読み進めてください。
まずは、新しく出てきた言葉です。
形質・・・生物の形や性質などのように、生物が持つ特徴のこと
遺伝・・・親の形質が子に伝えられる現象
遺伝子・・・遺伝のための形質を伝えると考えられているもの
次に、以前の記事でも説明している言葉です。
これまでの記事を読んでいない人はここで覚えてしまいましょう。
体細胞分裂・・・からだをつくる細胞(体細胞)が行う細胞分裂
染色体・・・体細胞分裂のときに現れる、ひも状のもの。遺伝子が入っている。
無性生殖・・・受精せずに子をつくる生殖の方法
有性生殖・・・受精によって子をつくる生殖の方法
とりあえず、7つの言葉がわかれば、理解できると思うので、覚えてください。
また、「遺伝子が同じなら形質は同じになる」と考えましょう。
なお、無性生殖についての説明は、こちらの記事に書いてあるので、ご覧ください。
無性生殖と有性生殖~”寿命”は進化がつくりだした?生物の殖え方と寿命の意外な関係~
また、動物の有性生殖については、こちらで紹介しています。
メダカの卵の観察のススメ~理科室で観察できる!短時間で観察できる!生物の発生の観察の新定番~
植物の有性生殖は、こちらで紹介しています。
植物の有性生殖~簡単だけど難しい???花粉管の観察は全国どこでも生えているシロツメクサで~
無性生殖には、分裂や栄養生殖がありました。
これらの生殖は、以前学習した体細胞分裂と同じように行われています。
つまり、染色体が現れて中央に並んだ後、半分に分かれて移動します。その後、染色体が元の形に戻り、核が現れて細胞質が分かれます。
このとき、染色体は半分に分かれたのち、元の形に戻るので全く同じ染色体が2つの細胞にできることになります。
先ほど、「遺伝子が同じなら形質は同じになる」という考え方を紹介しました。
最初の細胞と全く同じ染色体をもつ細胞が2つできるので、親と子の形質は全く同じになります。
図に書くと次のようになります。
つまり、無性生殖では親の遺伝子がそのまま新しい個体に伝えられるので、子には親の形質がそのまま現れます。
次に有性生殖の場合を考えてみましょう。
有性生殖の大きな特徴の1つが、
受精によって子ができる生殖
であることです。
受精とは、
精子(精細胞)の核と卵(卵細胞)の核が合体すること
でした。
この「合体」するということは、それまで持っていた染色体を合わせるという意味です。
ヒトの染色体は23組46本あることが知られています。
もしも、46本の染色体をもつ細胞と、46本を持つ染色体をもつ細胞が合体すると、受精卵は92本の染色体をもつことになります。
染色体が92本になると、ヒトとは全く違う生物に(そもそも、生物として存在できるのか?という疑問もありますが・・・)なってしまいます。
でも、人は親の染色体数も46本だし、子の染色体数も46本です。孫の染色体数も46本で、その子も・・・。
というように、ヒトである以上、染色体数は46本です。
どうして、染色体の数が変わらないのでしょうか?
それは、
合体する前に染色体数が半分になる特別な細胞分裂が行われる
からです。
「染色体数が半分になる特別な細胞分裂」のことを
「減数分裂」
と言います。
また、減数分裂でつくられる細胞は、生殖に使われる細胞なので「生殖細胞」と言います。
生殖細胞には、精子・卵・精細胞・卵細胞の4つがあります。
有性生殖をする前に、減数分裂をして生殖細胞を作ることによって、親と子が同じ染色体数になるのです。
それでは、両親から半分ずつ染色体を受け継ぐ仕組みを説明します。
図を見てください。
最初の図は、両親の細胞に含まれている染色体の模式図です。
染色体は、同じ形のものが2つずつ(1対)あるので、全く同じ染色体を2本ずつ書いています。
親の体の中で減数分裂が行われると、染色体が半分になった生殖細胞ができます。
精子と卵の核が合体、または精細胞と卵細胞の核が合体すると、2つの生殖細胞の染色体が合わさります。
そうすることで親と同じ染色体数を持つ子を作ることができるのです。
ここまでで、有性生殖で染色体の数が変わらない理由と、両親から染色体を半分ずつ受け継ぐ仕組みがわかりました。
残る疑問は
親と違う形質が現れる理由
です。
それを考えるために、先ほど考えた子の染色体を例にして考えましょう。
先ほどできた子同士で生殖を行ったとします。(ヒトで考えると「え????」と思ってしまいますが、植物の受粉などで、普通に行われていることです。ここでは植物だと思ってください。)
親はピンクの染色体と青い染色体を持っています。色が違うのは、「同じ種類の染色体だけど、中身は若干違う」ことを意味しています。
この親が減数分裂を行って生殖細胞をつくると、次のようになります。
2つの染色体が、それぞれの生殖細胞に入るのでピンクの染色体の生殖細胞と、青い染色体の生殖細胞ができます。
そして、もう1つの親からも同じ生殖細胞が作られます。
それでは、受精して2つの生殖細胞が合体したらどうなるでしょうか?
この時の、合体のパターンは4つあることがわかるでしょうか?
その4つのパターンとは
①親1のピンクと親2のピンク
②親1の青と親2のピンク
③親1のピンクと親2の青
④親1の青と親2の青
です。
そうすると、親と違う染色体の組み合わせになるものがあることがわかります。
これが、有性生殖で、親と違う形質を持つ子ができる理由なのです。
まとめると、
有性生殖では、減数分裂によって半数になった親の染色体(遺伝子)を半数ずつ受け継ぐので、子に伝えられる染色体(遺伝子)に違いができる
ということになります。
この仕組みはとても大切になります。
次回は、この仕組みを使って、エンドウなどの生物を例とした染色体(遺伝子)の伝わり方について説明します。