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こんにちは。頭文字(あたまもんじ)Dです。
中学生に勉強を教えてかれこれ25年以上になります。その経験を活かして、「授業を聞いても理科がわからない人」を「なるほど、そういうことだったのか」と納得してもらおうとこの記事を書いています。
今日は、中学校2年生理科で習う【化学変化】から、分子と化学式について説明します。
この記事は次のような人の疑問を解決します。
・分子って何かわからない
・単体と化合物の違いがわからない
・化学式を覚えられない
特に、化学式は原子記号同様、3年生でも高校生でも使います。だから、覚えるのが辛くても、しっかりと勉強しましょう。
イギリスのドルトンさんが原子について考えたころ、イタリアのアボガドロさんは原子は単独で存在しているのではなく、いくつか結びついて「分子」として存在していると考えました。
結果として、このアボガドロさんの考えはほぼあたっていました。
水素や窒素は同じ種類の原子が2つ結びついてできています。また、メタンやエタノールなどの物質は、違う種類の原子がいくつか結びついてできています。
例外としてヘリウムやネオンなどの物質は原子が単独で存在しています。(前回の周期表のところで説明した「希ガス」と呼ばれる物質です。)
このアボガドロさんの主張は正しかったのですが、周りの科学者たちの反応は冷ややかだったようです。
アボガドロさんはドルトンさんを初め、いろいろな科学者に反論されたそうです。
ようやくアボガドロさんの正しさが認められたのは分子論を発表してから50年ほど立ってからのことでした。残念ながら、分子説が認められたのは、アボガドロさんが亡くなってからのことでした。
このように、科学の世界ではとてもよい理論がすぐに認められるとは限りません。
中学校で習う法則やきまりの中にも、発案者の死後に認められたものはけっこうあります。有名なものでは、メンデルの遺伝の法則などがありますが、それについては別の機会に紹介します。
なお、高校の化学(科学と区別するために「ばけがく」と呼ばれることもある)では「アボガドロの法則」というものも習います。これはもちろんアボガドロさんが考えたものであり、この中で分子について書かれています。
詳しくはこちらをどうぞ。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%87%E3%82%AA%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%B4%E3%82%A9%E3%82%AC%E3%83%89%E3%83%AD
さて、すべての物質は、大きく2つに分けることができます。
「単体」と「化合物」です。
この2つについて、あまり理解していない人が多いので、意味を確認しておきましょう。
単体・・・1種類の原子でできている物質
化合物・・・2種類以上の原子が結びついてできている物質
言葉にすると簡単ですが、テストに出てくると答えられない人がけっこういます。ポイントは原子の種類です。「1種類」と「2種類以上」で分けて覚えておきましょう。
もう一つの分け方は、「分子」と「分子というまとまりを持たない物質」という分け方です。
例えば、気体の酸素や水素、水、二酸化炭素などは「分子」の単位で存在します。
「分子」とは
原子がいくつか結びついた粒子
のことです。
「いくつか」というのがミソで、「数えられる」ということです。
それに対して「分子というまとまりをもたない物質」には、鉄・銅などの金属や塩化ナトリウムや硫化鉄などがそれにあたります。
「分子というまとまりを持たない」という言葉に対して、「原子が単独で存在している」と誤解をしている人がいます。
正しくは、
あまりに多くの原子が結びついているので、原子の数を数えられない。だから「分子」というまとまりを持っていないと考える
のです。
「分子」と「分子というまとまりをもたない物質」を見分け方を紹介します。
それは
気体や液体だったら「分子」で存在する
固体だったら「分子というまとまりをもたない」
のです。
例外はありますが(水銀は液体ですが、分子というまとまりをもちません)この考えで大丈夫でしょう。
まとめると
1種類の原子だけでできている物質を「単体」という
2種類以上の原子でできている物質を「化合物」という
固体は「分子というまとまりをもたない」
ということになります。
分子が具体的にどのような形をしているのかについては、理科ねっとわーくで詳しく紹介されているので、こちらをご覧ください。
https://rika-net.com/search.php?keyword=%E5%88%86%E5%AD%90
物質を世界共通の記号であらわしたものを「化学式」といいます。
その化学式の書き方のルールを抑えましょう。
化学式の書き方のルール
①原子記号を組み合わせて表す
②原子の数は、原子記号の右下に小さく数字で表す。ただし、1つの場合は省略する。
③分子というまとまりを持たない物質で、単体は原子を1個代表させて原子記号であらわす。
④分子というまとまりを持たない物質で、化合物は数の比がわかるように原子記号であらわす。
ただし、このサイトでは数字を右下に小さく書くことができないので、赤く書くことにします。ノートなどに書くときには注意してください。
それでは、最初に「単体の分子」の書き方と覚え方を紹介します。
中学校で覚えなければならない単体の分子は、「H2]などのように2個結びついているのがほとんどなのですが、多くの人が2を書き忘れます。
だから「よくわからない」という人が多いのですが、実は
単体の分子で覚えなければならないのは水素分子、酸素分子、窒素分子、塩素分子の4つ”だけ”
なのです。
書き方は
水素分子 H2
酸素分子 O2
窒素分子 N2
塩素分子 Cl2
となり、アルファベットだけ並べると
HONCl(ホンクル)
となります。
この4つの分子は同じものが2個ついているので、
HONCl(ホンクル)はニコニコ
と覚えるとよいでしょう。
繰り返しますが、単体の分子はこの4つだけを覚えておけばとりあえずOKなので、しっかりと覚えましょう。
続いて、化合物の分子を覚えましょう。
この物質は世の中にたくさんあるのですが、とりあえずこの段階で覚えておかねばならないのは次の3つです。
水分子 H2O
二酸化炭素分子 CO2
アンモニア分子 NH3
この3つの化学式は、日常生活でもおなじみのものが多いです。
「CO2削減」などは新聞でもたびたび見る化学式です。
だから、化合物の分子はけっこう覚えやすいものが多いです。
ポイントは、「2や3の書き方」です。
ちゃんと右下に書くように注意しましょう。
さらに単体の固体の化学式です。先ほども言ったように、原子が数えきれないくらい結びついています。
とてもじゃないけど原子を数えることができないので
1つの原子に代表させて表す
ことになります。
例えば
銅 Cu
鉄 Fe
ナトリウム Na
マグネシウム Mg
アルミニウム Al
カリウム K
カルシウム Ca
亜鉛 Zn
銀 Ag
炭素 C
硫黄 S
などです。
気付いた人もいるかもしれませんが、これはすべて「原子記号と同じ」表し方になります。
だから、「新しく覚える必要が無くてラッキー」と思いがちですが、意外と「同じだからわかりにくい」という人も多いです。
注意しましょう。
最後に、化合物の個体の化学式の表し方を説明します。
先ほどの単体の固体の時と同様、原子の数を数えるのが困難なので、代表を化学式で表すことになります。
ただし、2種類以上の原子が結びついたものが化合物なので、2つ以上の原子が結びついたことがわかるように原子記号を書くことになります。
例えば
硫化鉄 FeS
硫化銅 CuS
塩化ナトリウム(食塩) NaCl
塩化水素(塩酸) HCl
などです。
これらの物質は原子が1:1の割合で結びついているので、①が省略されているのですが、1:1にならない物質もあります。
例えば酸化銀は銀原子2個に対して酸素原子が1個の割合で結びついています。
このような物質は、その結合の比率がわかるように書きます。
だから、
酸化銀 Ag2O
となります。
中学校で覚えなければならない化学式で、原子の割合が1:1以外のものはあまりありません。
酸化銀や硫酸くらいでしょうか?このうち、硫酸は覚えなくても支障はない(高校では覚えなければならないと思いますけど)ので、実際は酸化銀だけ覚えておけば大丈夫でしょう。
今日は「分子」と「分子というまとまりをもたない物質」のことや、物質を化学式で表す方法、覚えておきたい化学式について説明しました。
原子記号と同じように3年生になっても、高校生になっても使う内容です。物質を見たら自然に化学式が思い浮かぶようになるまで、繰り返し学習してください。
化学反応式を書けるようになろう!~【必見】高校になってからも使う中学理科の最重要ポイント~ | いやになるほど理科2021年1月7日 10:13 PM /
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