こんにちは。頭文字(あたまもんじ)Dです。
中学生に勉強を教えてかれこれ25年以上になります。その経験を活かして、「授業を聞いても理科がわからない人」を「なるほど、そういうことだったのか」と納得してもらおうとこの記事を書いています。
今日は、中学校2年生理科で習う【化学変化】から、熱分解・電気分解・化合の実験について説明します。
この記事は次のような人の疑問を解決します。
これら、3つの実験は炭酸水素ナトリウムの熱分解・水の電気分解・硫化鉄の実験に比べると、テストでの出題率は下がります。教科書でもそれほど大きく扱われていません。
しかし、テストに出るとけっこうな得点となります。
だから、しっかりと勉強しておきましょう。
中学2年生で学習する化合と分解の内容は大きく「熱分解」「電気分解」「化合」の3種類の実験が行われます。これは日本全国どこでも同じで、どの教科書にもこの3つの実験は必ずのっています。
しかも、熱分解には炭酸水素ナトリウムが、電気分解には水が、化合には硫化鉄といったように、紹介されている実験も全て同じです。
要するに、化学変化を勉強するにあたって、これほどよい実験はないということなのでしょう。それはとてもよいことだと主ます。
しかし、理科の世界において、一つだけの実験結果で全てを決めてしまうことはできません。
必ず、複数の実験を行って、それらに共通する結果から、科学の世界を考えていくことになります。
おそらく、中学生のみなさんにも、このような考え方を身につけてほしくて、それぞれの反応で複数の実験を紹介しているのです。
具体的にいうと
熱分解では炭酸水素ナトリウムと酸化銀が
電気分解では水と塩酸が
化合では硫化鉄と硫化銅が
紹介されています。
このうち、どちらか一方の実験(ほとんどの学校が最初に書いた物質で行っているでしょう)を必ず行うことになっています。
が、もう一方はやらなくてもいいことになっているので、みなさんの記憶にはあまり残らない実験となっています。
しかし、記憶に残らないからといって、テストに出ないとは限りません。出題頻度はそれほど多くありませんが、「実力を試すにはこっちの実験の方がいいかな」と考えて出題する先生はいます。
だから、しっかりと実験を勉強しておきましょう。
酸化銀の熱分解を実際にやったことがある人はいるでしょうか?
おそらく、ほとんどいないはずです。よくて「先生がやっているのを見た」ことがある人でしょう。
それもそのはず、実はこの「酸化銀」という物質、とても効果なのです。
カタログで見ると「時価」と書かれています。いくらなんでしょうか・・・。
それほど高価な物質なので、生徒実験で使える学校はおそらくほとんどないでしょう。
だから、教科書の写真で済ませたり、実験の動画を見たり、先生がやってみる(これをやっている学校はお金持ち?)程度で終わっているのです。
「先生実験やらせてよ」と思う人もいるかと思いますが、お金がそうとうかかることなので、無理は言わないようにしましょう。
さて、この酸化銀の実験を攻略するカギはこれです。
普通、物質を加熱すると、特に金属を加熱すると黒くなります。
例えば
鉄(白・銀色)→酸化鉄(黒)
銅(赤)→酸化銅(黒)
というように。
これが常識といえば常識でしょう。
しかし、この酸化銀の実験では次のように変化します。
常識の逆になるのです。
実は、この「物質の色」を間違える中学生が非常に多いのです。
理由は、何度も言うように
を聞かれるからです。
つまり、酸化銀の熱分解の問題を解くには、常識の逆で覚える必要があるのです。
それでは、実験の様子を見てください。
https://rika-net.com/outline.php?id=00002057011f&top=1
実験の動画を見たところで、実験の解説をしていきます。
まず最初に酸化銀を用意します。
です。(ここが大事!)
酸化銀を試験管に入れて、ガスバーナーでゆっくりと加熱していきましょう。(高価な物質なので、時間をかけてゆっくり楽しみましょう)
すると、
いきます。ここがポイントです。
酸化銀が少しずつ白くなっているときに、火のついた線香を試験管の中に入れてみます。
すると
線香の火が激しく燃える
様子が見られます。
つまり
線香の火が激しく燃える→酸素が発生している
ことがわかります。
酸化銀が全て白くなって、酸素が発生しなくなったら加熱を終了しましょう。
続いて、試験管の中に残った白い固体の性質を調べていきましょう。
最初に白い固体を薬さじで強くこすってみましょう。銀色の光が見えるはずです。
さらに、この固体に電流を流してみると、電流がよく流れます。
これらのことから
白い物質は金属の一種である
ことがわかります。
残念ながら中学生の知識ではこれ以上物質について調べることができないのですが、
です。
まとめると
ことがわかりました。
と書けるようになっておきましょう。
補足ですが、酸化銀の化学反応式は
となります。数字を下に書く方法が分からなかったので、下に小さく書く数字は赤にしています。注意してください。
また、反応の様子をモデルで表すと次のようになります。
https://rika-net.com/outline.php?id=00002067001f&top=1
おなじみの「理科ねっとわーく」に掲載されている動画ですが、とても分かりやすいと思います。
続いて塩酸の電気分解について説明しますが、実験の前に塩酸の正式名称を覚えましょう。
塩酸=塩化水素水溶液
です。
「塩化水素」というのはにおいがある気体です。有毒です。
この塩化水素は水に非常にとけやすい性質があります。塩化水素が水にとけたものを通称「塩酸」と呼んでいるのです。
なぜ「塩化水素」という名前を覚えるのかというと、電気分解の結果を予想するときに役に立つからです。
それでは、実験の様子を映像で見てみましょう。
https://rika-net.com/outline.php?id=00002058031f&top=1
実験の解説をします。
水の電気分解の時には電流を流れやすくするために水酸化ナトリウムを溶かしました。
しかし、塩酸はすでに電流が流れやすくなっているので、そのまま電気分解をすることができます。
電気分解装置に塩酸を入れて電流を流すと、両極からブクブクと気体が発生します。
理論上は+極も―極も同じ量だけ発生するのですが、+極の方の気体の出があまりよくありません。
これは
+極に発生する気体は水にとけやすい
からです。
―極にある程度気体がたまったら電気分解を止めて、気体の性質を調べます。
最初に―極です。
火のついたマッチを近づける→音がする
ことがわかります。
が発生したことがわかりました。
また、+極に発生した気体(水にとけているので集まったのはわずかですが)のにおいをかぐと
特有の刺激臭
があります。
プールのにおいやトイレの洗剤のにおいと同じにおいです。
この気体は
です。有毒なのでにおいをかぎすぎないように注意しましょう。
まとめると
ことがわかりました。
この反応を
と覚えておきましょう。
先ほど「正式名称がわかると反応が予想できる」と言った意味がわかったかと思います。
さらに化学反応式は
となります。先ほどと同様、下に書く数字は赤にしてあります。
この化学反応式は3年生でも学習するので、余裕のある人は2年生のうちに覚えておいてもよいでしょう。
最後に硫化銅の実験を紹介します。
銅と硫黄を混ぜた混合物をガスバーナーで加熱します。
すると、銅とも硫黄とも性質が違う「硫化銅」という物質が発生します。
硫化鉄の時は磁石につくかどうかで性質を比べましたが、この実験では磁石にくっつくかどうかで性質を比べることができません。銅が磁石につかないからです。
そのため、色を見比べるくらいしか性質を調べることができません。
硫黄(黄)とも銅(赤)とも違う黒色の物質になった
ことから、銅と硫黄が化合したと考えるのです。
この実験を覚えるときは
と「五・七・五」にするとよいでしょう。
また、
と書けるようにしておきましょう。
最後に化学反応式です。
となって、係数あわせが必要ありません
このように見ると、硫化銅の実験はほとんど硫化鉄と同じと考えることができます。
理科的な視点で言うと、これは非常に大切なことで、「鉄と銅の硫黄に対する反応性が似ている」と言えるのです。
中学生にとっては、似ている反応の方が覚えることが少なくて嬉しいのかもしれませんね。
今日はこれまでに学習した以外の熱分解・電気分解・化合の実験について説明しました。
出題頻度はそれほど多くありませんが、しっかりと覚えて起きましょう。
今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。