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酸素と結びつく反応~意外といろいろなところで利用されている酸化反応~

 こんにちは。頭文字(あたまもんじ)Dです。
 中学生に勉強を教えてかれこれ25年以上になります。その経験を活かして、「授業を聞いても理科がわからない人」を「なるほど、そういうことだったのか」と納得してもらおうとこの記事を書いています。
 今回は、中学2年生理科化学変化の単元の中から「酸素と結びつく反応(酸化)」を説明します。
 今回の記事では次のようなことがわかります。
・酸化反応の利用
・金属と酸素の反応
・銅と酸素の反応や、マグネシウムと酸素の反応の化学反応式の書き方

 なお、今回の内容を理解するには化合について知っておく必要があります。化合について勉強したい人はこちらをご覧ください。

鉄と硫黄の化合~テスト再頻出問題!攻略のカギは五・七・五で覚えること~

(1)こんなところに使われている酸化反応

 みなさんは花火は好きですか?
 夏の夜に打ち上げられる花火が好きな人もいれば、手持ち花火が好きな人もいるでしょう。日本古来からある線香花火も人気がある花火ですね。
 実は、花火のほとんどは今日説明する「金属と酸素の化合」を利用したものなのです。

 実際に手軽にできる線香花火の作り方を紹介します。
 まず、ティッシュペーパーを1枚用意します。
 そのティッシュに鉄粉を少量のせます。のせ方は、一カ所に集めるのではなくて細長くした方がよいでしょう。
 そしてティッシュペーパーを丸めていきます。火をつけるときは縦にするので、先をきつく締めて折り曲げるとよいでしょう。
 つくった鉄粉入りティッシュペーパーをピンセットなどでつまんで下から火をつけます。
 すると、パチパチと火花を散らして線香花火ができます。
 途中でティッシュペーパーが燃えて鉄粉が大量に落ちることがあります。
 経験上、鉄粉は2~3回くらいなら再使用することができます。だから、下に金属製の入れ物を置いておいて、すぐに鉄粉を集められるようにしておくとよいでしょう。

 この実験では鉄と空気中の酸素が結びついて酸化鉄という物質ができます。このように、酸素は他の物質と結びつくことが多くあります。

 ここで言葉を2つ覚えましょう。
 それは
酸化・・・物質が酸素と化合する化学変化
酸化物・・・酸化によって生じた物質

の2つです。

 さて、線香花火の実験でできた酸化鉄は黒色をしています。この酸化鉄を正式に書くと酸化鉄II(化学式はFe)となります。(下につける数字が書けなかったので、赤字で書いてあります)
 しかし、酸化鉄は鉄と酸素の結びつく割合により、他にもいくつかの種類があります。中でも酸化鉄III(化学式はFe)という酸化鉄は赤色をしており、化粧品などに利用されています。
 中学生の段階で酸化鉄IIや酸化鉄IIIを覚える必要はまったくありません。今は「酸化鉄にもいろいろあって、いろんなことに利用されているな」ということがわかればOKです。

(2)鉄の酸化実験

 それでは教科書などに載っている金属の酸化実験をいくつか紹介します。
 最初に鉄の酸化実験です。
 使うのは、スーパーなどに売っている「スチールウール」という商品です。

 ”スチール”とは「鉄」のことです。“ウール”というのは「綿」の意味で、鉄を綿のように細い線にして丸めたもののことです。
 意外に思うかもしれませんが、鉄は非常にもえやすい物質なのです。
 だから、スチールウールをピンセットでつまんで、ガスバーナーであぶると簡単に火がつきます。
 そのままではすぐに消えてしまうので、ストローなどで息を吹きかけましょう。すると鉄と酸素がふれあいやすくなって、酸化反応がどんどん進んでいきます。吹きかけることに夢中になると、熱い鉄と顔が近くなって危険ですので注意してください。
 息を吹きかけても赤くならなくなったら酸化が終了したということです。冷めるまで少し待ちましょう。
 酸化鉄が冷えたところで、加熱前の鉄との性質の違いを調べていきます。

 行う実験は3つ。
 最初に手触りを比べましょう。加熱後の酸化鉄がもろくなっていることがわかるでしょう。
 次に、塩酸に入れてみます。
 加熱前の鉄を塩酸に入れると、ブクブクと気体が発生します。
この気体は水素
です。(”塩酸に金属を入れると水素が発生する”は1年生の時に学習しましたね。)
 これに対して、加熱後の酸化鉄を塩酸に入れても気体は発生しません。
 このことから、加熱前後で性質が変わっていることがわかります。
 最後に、電気の通しやすさを比べます。
 加熱前の鉄に導線と電池と電球をつなぐと,電球が光ります。鉄が金属の状態で存在しているので電流が流れやすいのです。
 加熱後の酸化鉄を同じようにつないでも電流は流れません。
 このことからも、2つの物質は性質が違うことがわかります。

 鉄の酸化でやっておきたい実験がもう一つあります。
 それは
酸素が入った集気瓶の中で鉄と酸素を化合させる
実験です。
 やってみると、空気中よりも激しく火花を散らして反応します。酸素が多いので、反応する速度が速いからです。
 このように、激しく熱や光を出しながら酸化することを「燃焼」といいます。

(3)銅の酸化~化学反応式も書けるようになろう~

 今度は10円玉の原料でもある銅を加熱して酸化させてみましょう。
 実験の様子はこちらの動画をご覧ください。
https://rika-net.com/outline.php?id=00008014038a&top=1

 酸化の実験のポイントの1つが
物質の色の変化
です。
銅が酸化すると、赤色から黒色になる
ことを確認しておきましょう。
 なお、銅と酸素が化合した物質を「酸化銅」といいます。

 続いて、銅の酸化を化学反応式で表してみましょう。
 化学反応式の書き方についてはこちらで説明しているので、まだの人はご覧ください。
化学反応式を書けるようになろう!~【必見】高校になってからも使う中学理科の最重要ポイント~

 4段階に分けて、化学反応式を書いていきます。

①物質の名前を用いた式で表す

 銅が酸素と化合して酸化銅になるので
銅 + 酸素 → 酸化銅
となります。

②それぞれの物質をモデルで表す

 銅の化学式は「Cu」、酸素は「O]、酸化銅は「CuO」なので、モデルは
銅 + 酸素 → 酸化銅
Cu + OO → CuO

となります。

③左辺と右辺の原子の数を合わせる(係数合わせ)

 最初にOの数を数えると、左辺に2個、右辺に1個になっています。
 だから、右辺に酸化銅(CuO)を1つ加えます。
 次に、Cuの数を比べると、左辺に1個、右辺に2個になっています。
 だから、左辺に銅(Cu)を1つ加えます。
 これをまとめると
銅 + 酸素 → 酸化銅
Cu + OO → CuO
Cu        CuO</b?
となります。

④それぞれのモデルを化学式で表す

 最後に、③で書いたモデルを化学式で表します。Cuが2個なので「2Cu」、CuOが2個なので「2CuO」と表します。
 すると、
銅 + 酸素 → 酸化銅
Cu + OO → CuO
Cu        CuO
2Cu + O →2CuO

となるので、化学反応式は
2Cu + O → 2CuO
となります。

(4)マグネシウムの酸化~この化学反応式もよくでます~

 続いてマグネシウムをガスバーナーで加熱しましょう。
 加熱前のマグネシウムは銀色をしています。
 そのマグネシウムをピンセットでつまんでガスバーナーで加熱します。すると目がくらむかと思うほどの光を出して反応が進みます。
 そして、白色の「酸化マグネシウム」が生じます。
 この時の物質の色の変化がポイントです。
マグネシウムは酸化すると、銀色から白色になる
のです。
 「酸化物は黒」というイメージが強いのですが、例外もあるのです。そして、その例外がテストで聞かれやすいので注意しましょう。

 それではマグネシウムの酸化も化学反応式で書いてみましょう。

①物質の名前を用いた式で表す

 マグネシウムが酸素と化合して酸化マグネシウムになるので
マグネシウム + 酸素 → 酸化マグネシウム
となります。

②それぞれの物質をモデルで表す

 マグネシウムの化学式は「Mg」、酸素は「O]、酸化マグネシウムは「MgO」なので、モデルは
マグネシウム + 酸素 → 酸化マグネシウム
Mg + OO → MgO

となります。

③左辺と右辺の原子の数を合わせる(係数合わせ)

 最初にOの数を数えると、左辺に2個、右辺に1個になっています。
 だから、右辺に酸化マグネシウム(MgO)を1つ加えます。
 次に、Mgの数を比べると、左辺に1個、右辺に2個になっています。
 だから、左辺にマグネシウム(Mg)を1つ加えます。
 これをまとめると
マグネシウム + 酸素 → 酸化マグネシウム
Mg + OO → MgO
Mg        MgO

となります。

④それぞれのモデルを化学式で表す

 最後に、③で書いたモデルを化学式で表します。Mgが2個なので「2Mg」、MgOが2個なので「2MgO」と表します。
 すると、
マグネシウム + 酸素 → 酸化マグネシウム
Mg + OO → MgO
Mg        MgO
2Mg + O →2MgO

となるので、化学反応式は
2Mg + O → 2MgO
となります。
 気づいた人もいるでしょうか?
 先ほどの銅の酸化の化学反応式とそっくりなことに。
 銅の酸化の化学反応式は
2Cu + O → 2CuO
でした。
 比べてみると、銅の化学式の「Cu」がマグネシウムの化学式「Mg」に変わっているだけですね。
 この共通点に気づくと理解しやすいと思います。

(5)炭素の酸化

 最後に、炭素の酸化の化学反応式の書き方を説明します。
 先ほども紹介したように、炭素が酸化する反応は焼き肉をするときの「炭を燃やす」時などに利用されています。

①物質の名前を用いた式で表す

 炭素と酸素が化合して二酸化炭素ができるので
炭素 + 酸素 → 二酸化炭素
となります。

②それぞれの物質をモデルで表す

 炭素の化学式は「C」、二酸化炭素の化学式は「CO」なので、
炭素 + 酸素 → 二酸化炭素
C + OO → OCO

となります。

③左辺と右辺の原子の数を合わせる(係数合わせ)

 次に係数あわせをするのですが、右辺と左辺でCもOも数がそろっています。
 つまり、これ以上操作する必要はないので、そのままにしておきます。

④それぞれのモデルを化学式で表す

 最後に化学式を用いて化学反応式を完成させます。
炭素 + 酸素 → 二酸化炭素
C + OO → OCO
C + O → CO

となるので、
C + O → CO
が化学反応式となります。

 今回は4つの物質の酸化について紹介しました。このほかにも酸化反応はいろいろあるのですが、中学校の段階ではこれくらいで大丈夫だと思います。
 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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