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こんにちは。頭文字(あたまもんじ)Dです。
今日は、中学理科2年天気の単元の「露点の測定」について説明します。
最初に、伝えておきたいことがあります。
今回は実験のコツややり方の説明も、もちろん行うのですが、それよりも大切なことを伝えたいと思います。
それは
です。
科学者や理科が得意な人は知らず知らずのうちに、「理科特有の表現」をしている場合があります。自分たちではよくわかる表現なのですが、一般の人から見るとちょっとズレている場合があります。
だから、今回は実験の説明のほかに、「理科独特の表現」についても説明していきます。
このように書くと、誤解を招くかもしれません。
今回私がしたいことは、
理科が得意な人の表現方法を変えてほしいわけではありません。
理科が苦手な人に独特の表現をしってもらい、理解してほしい
のです。ご注意ください。
この単元で数少ない実験なので、ほとんどの人が実験をしているはずです。(まあ、教科書に載っている実験は、やることになっているはずなんですけど…。)
でも、正確に露点を測定できた人はそんなに多くないと思います。
ちょっとしたコツが必要なので・・・。そのことも紹介していきます。
「露点の測定」と書くとちょっと大げさな感じがします。
皆さんはレストランとかに行ったときに、ウエイターに水を持ってきてもらったことがありますね。氷水が入っているコップを見てみると、水滴がついていませんでしたか?もしついていなかったら、かなりぬるい水だったのではないでしょうか。もちろん、氷が溶けていておいしくなかったと思います。
北海道や東北の人なら、冬になると窓に水滴がついている(いわゆる「結露」ですね)のを見たことがあるでしょう。
実は、露点の測定の実験の原理は、この「氷水が入ったコップ」や「冬になるとできる窓の水滴」と同じなのです。
だから、実験のやり方は簡単!
金属製のコップに氷水を入れて冷やしていき、コップの表面に水滴がついた時の水の温度をはかればいいのです。
簡単でしょ?
しかし、教室(理科室)で実験をやってみると、班ごとの結果が大きく違っていませんでしたか?
実験を成功させるにはちょっとしたコツがあって、それを知らない人が多いからです。
そのコツとは何でしょうか?
それは、
コップはゆっくりと冷やす
ことです。
多くの先生は1時間に2~3回実験を行って平均値を出そうとします。そうすると、1回の実験にかける時間が少なくなります。
時間が少ないのでコップの水を急に冷やしてしまう。観察する中学生は「水滴がついた!」と気付いても、温度を測るまでにドンドン冷えていくので水滴がつき始めた温度がはかれない。
だから、結果がバラバラになってしまうのです。
これでわかりましたね。実験を成功させるコツが。
最初から氷をたくさん入れずに、少量の氷でゆっくり水を冷やしていくのです。
そうすれば、水滴がついた時の温度が分かりやすくなります。
もう一つ、よくある失敗例が・・・。
それは、
ウソみたいですが、実際にやってしまう人がいます。
実験は冷静にやりましょう。そして、コップよりもちょっとだけ顔を離して実験を見ましょう。
コツがわかったところで、実験の説明を付け加えます。
この実験で使うものには、ちょっとした条件が付いています。
例えば、
です。
どうしてこれらを使うのか、まずはこのことを理解しましょう。
最初に「くみ置きの水」を使う理由です。
そもそも「くみ置きの水」とはしばらくその部屋に置いておいた水のことです。
特別なものではありません。
皆さんが実験する数時間前(おそらく、前日に用意する先生が多いと思いますが)には先生が水を汲んで置いてあったのです。その「くみ置きの水」を使って実験を行います。
どうして使うかというと、ここに理科独特の考え方があるのです。
それは
ということです。
部屋の温度から冷やしていきたいということと、いきなり冷たい水を使うと露点よりも低い場合があるからです。
しばらく置いておけば、特に測定しなくても温度は同じと考えるのが理科なのです。ちょっと独特な考え方ですね。
余談ですが、この考え方に納得できない中学生ってけっこう多いと思います。
はっきり聞いたことはありませんが、「水の温度と室温は違う」と考えている人は多いはずです。
「だって水に手を入れたら冷たいじゃん」と思いませんか?これを説明するとちょっと難しくなってしまうので、ここでは説明しませんが、「くみ置きの水と室温は同じと考える」と無理にでも納得してください(笑)
もう1つの「金属製のコップ」を使う理由も、理科独特の考えによります。
テストで聞かれたときの模範解答を紹介します。
です。優等生の解答ですね(笑)
さて、どうして熱を伝えやすい金属を使うのかの説明です。
何度も言うように、これも理科独特の考え方だと思うのですが、
と考えるからです。
本当は、露点とは空気の温度なので、コップの周りの空気の温度をはからなければなりません。
しかし、それはかなり難しい。
次に、コップの表面の温度をはかろうとしました。でも、それも難しい。温度計をコップにくっつけても、たいがいの場合くっつくのは温度計の先っぽの方だけです。これでは、正確な温度とは言えない。だからこれもダメ。
だから、苦肉の策として(これが一般的な人の感覚だと思います)水の温度をはかってしまう。
金属は熱をすぐに伝えるから、水とコップの温度は同じと考えます。さらに、コップの表面に近い空気の温度も、熱が伝わっているのだから同じだろうと考えるのです。
ここで、「コップの表面に近い空気」とは本当にコップの表面につく直前の(またはコップの表面についた)空気です。少しでも離れている空気ではないので、同じ温度だと考えるのです。
おそらく、こんなところまで詳しく説明してくれる先生はいないでしょう。ここまで説明すると授業時間が足りなくなるし、そもそも、ここまで突っ込んで理解しようとしていない人にとっては、わけのわからない話になるからです。
だから、説明する必要がないと言えばその通りなのです。
ではなぜわざわざ説明したかって?
それはこのブログが「いやになるほど理科」だからです。
ちょっと嫌になるほど、くどく説明するブログだからです。でも、それくらい丁寧に説明しないと納得できない、わからないという人もいるので、あえて書いているのです。
それでは実験の話に戻ります。
ここまでのことを注意して実験を行うと、実験はかなりの確率で成功するでしょう。
実験の問題を解いていきましょう。
例えば、
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
現在の室温が20℃で、コップを冷やしていくと14℃で水滴がつき始めた。ただし、14℃の時の飽和水蒸気量は12.1g/m3、20℃の時の飽和水蒸気量は17.3g/m3とする。
①この時の露点は何℃か。
②この時、空気中に含まれていた水蒸気量は何g/m3か。
③この時の湿度は何%か。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
それでは問題を解いていきましょう。
①の「露点」とは、空気を冷やしていって水滴がつくときの温度です。
だから答えは
14℃
となります。
続いて②です。
露点とは「その部屋の水蒸気量と飽和水蒸気量が同じになったときの温度」です。
飽和水蒸気量とは「空気1m3中に含むことができる水蒸気の量」なので、それよりも多くの水蒸気が含まれていると、水蒸気の状態で存在できなくなって、水滴として出てきます。
ここで、こんな疑問を持つ人がいると思います。
「飽和水蒸気量と水蒸気量が全く同じであれば、水滴は出てこないんじゃない?」
と。
こう考えた人、あなたの考えは正しいです。間違っていません。
「おめでとう!」といいたいのですが、ここで、理科独特の考え方が登場するのです。
それは
という考えです。
都合いい考えのように思えますが、こうでもしないと正確なデータを得ることができないのです。
こんなものなんだと思ってください。
話がそれてしまいました。問題に戻ります。
この時の空気の露点が14℃、14℃の時の飽和水蒸気量が12.1g/m3なので、
答えは
12.1g/m3
となります。
実は、①も②も計算を全くしなくても答えを導けるのです。お得な問題ですね。
③はさすがに計算をしなくてはいけません。
20℃の時の飽和水蒸気量が17.3g/m3、空気に含まれている水蒸気量が12.1g/m3なので、
湿度【%】=(12.1×100)/17.3=(1210×10)/(17.3✕10)=12100/173=69.9・・・
(小数をうまく表現できなかったので「/」を使っています。「/」の左側が分子、右側が分母になります。)
答え (約)70%
となります。
湿度の計算のコツについては、以前書いたブログを見て下さい。
本当に、正答率が3割上がります。
https://iyarika.site/wp-admin/post.php?post=77&action=edit
https://iyarika.site/wp-admin/post.php?post=80&action=edit