こんにちは。頭文字(あたまもんじ)Dです。
今日は、「飽和水蒸気量と水蒸気量」の話をします。
「飽和水蒸気量と水蒸気量の問題って何?」と思った人もいるかと思います。
例えば、このような問題です。
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例題1 部屋の温度が20℃で、空気中に13g/m3の水蒸気が含まれている。次の問いに答えなさい。ただし、各温度での飽和水蒸気量は次のとおりとする。
10℃ 15℃ 20℃
9g/m3 13g/m3 17g/m3
(1)この空気はあと何g/m3の水蒸気を含むことができるか。
(2)この空気の露点は何℃か。
(3)この空気を10℃まで冷やしたとき、出てくる水滴は何g/m3か。
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このような問題を見たことがあるはずです。
そして、先生の説明を聞いたと思います。
どうですか?わかりましたか?
わからない人が大半のはずです。
「先生でも、教えにくいところってあるの?」と思った人もいるかと思います。
先生だって人間です。教えやすいこと、教えにくいことはあります。
でも、
教えにくいところを、楽しく・わかりやすく
教えるのがプロだと思いますけどね。
私も、ある方法を知るまでは教えるのが苦手でした。
時間もかかりました。
わからない生徒もたくさんいました。
その方法を考えたからです。
その方法は難しいところを簡単に教えることができます。
生徒は
「先生、なんでこんなことが難しいんですか?」
って顔をします。
時間も、かかりません。
以前は2時間かけて計算方法をじっくり説明していましたが、今はたった10分で終わります。
残りの時間は問題の演習をさせますが、ほとんどの生徒が自力で解けるようになっているので授業時間が余ります。
ウソではありません。本当の話です。
しかし、この方法を使うにはお金が必要です。
その額は
です。
全国どこにでもある百均に行って、あるものを買って110円。
そのほか、紙代とOHP用紙を使うので+αです。
紙代やOHPシート代は1人で買えばけっこうな金額です。
でも、学級や学校単位で買えば、1人当たり数円で済みます。
だって、1人が使うのは紙1枚、OHPシート1枚あれば十分だからです。
そして、青か緑のマジックペン。もちろん、すでに持っている人は買う必要ありません。
たった100円ちょっとの出資で、おどろくほど理解できる魔法の教材。
それが「湿度計算尺」なのです。
さっそく計算尺を作っていきましょう。
用意するのはこれです。
百均で売っているA4サイズの額縁
紙(コピー用紙でもよいが、ちょっと厚めの紙の方が使いやすい)
OHPシート
青か緑のマジックペン
です。
このうち、百均で買えないのはOHPシートだけでしょうか。
OHPシートがない場合は透明なちょっと薄めのプラスチック板があれば十分です。
印刷できるかどうかわかりませんが、A4の額縁を買ったときについているシートも使えるかもしれません。(印刷機で印刷できなければ、手書きするという”荒技”も使えます。)
では、作り方です。
最初に額縁に飽和水蒸気量のグラフを印刷した紙を入れます。(写真1)
(写真1)
このグラフがミソです。
水蒸気1g/m3を1つの○で表しています。
そして、飽和水蒸気量よりも上にあるものは赤くなっています。
(技術の問題で、○の一部分だけを赤くすることができなかったので、赤くなっていない部分はご自分で色を付けてください。
そして、○の1列を同じ間隔で印刷したOHPシートを適度な大きさに切り取って重ねます。(図2)このとき、紙に印刷した○とOHPシートの○がきれいに重なることを確認してください。(写真はあえて、横に少しだけずらしてあります)
(図2)
ここまでで計算尺の作成は終了です。
(2)計算尺を使って問題を解く
ここから、例題1の(1)を解いていきましょう。
(1)を考えるために、OHPシートの○に青か緑のマジックで色を付けていきます。
なお、
マジックの代わりにホワイトボードマーカーを使うと、ティッシュペーパーで消して何回でも使うことができ
ます。お金に余裕があるならば、百均などで買うと良いでしょう。
先ほど、「○1個が1g/m3の水蒸気を表す」と書きました。
空気中に水蒸気が13g/m3含まれているので、この○を下から13個塗りつぶしていきましょう。(写真3)
(写真3)
(1)の問題では、「この空気に水蒸気はあと何g/m3含むことができるか」と聞いています。
青く塗った部分が現在含まれている水蒸気、赤いところは含むことができません。
・・・ということは、まだ白い○の分だけ水蒸気を含めるということになります。
赤いところまで○が17個あって、○を13個青く塗りつぶしたので、
17-13=4
答え 4g/m3
となります。
続いて、(2)を解きましょう。
(2)は「露点は何℃か」と聞いています。
ここで、露点とは何だったかを思い出しましょう。
教科書には
水蒸気で飽和していない空気を冷やしていくと、ある温度で飽和する。このときの温度を露点<bという(教育出版)
と書いてあります。
「飽和する」とは、
「水蒸気の量と飽和水蒸気の量が一致する」
ことです。
計算尺を使って求めるときには、OHPシートをゆっくりと左へ動かしていきましょう。
徐々に温度が下がっていることを示しています。
ゆっくり左へと動かしていって、青い○が飽和水蒸気量の線と重なるところを探します。(写真4)
(写真4)
青い○と飽和水蒸気量の線が交わりましたね。
この時の温度を読み取ってみましょう。15℃ですね。
だから
答え 15℃
となります。
ちなみに、理科で「点」というのは「温度」を意味することがあります。
「融点」「沸点」「凝固点」「露点」などなど・・・。理科で「点」という言葉は「温度」を意味することがあるのです。これは通常とは異なる意味で使われています。
もちろん、「温度」以外の意味で使われる「点」もあります。
「支点」「力点」「作用点」などは、英語で言う「プロット」の意味で使われています。
だから、「点」がつく言葉を覚えるときには、「温度なのか、プロットなのか」を考えて覚えるようにしましょう。
最後に(3)の問題を解きます。
(3)は「10℃まで冷やしたとき、出てくる水滴は何g/m3か」と聞いています。
(2)と同じようにOHPシートを左にゆっくりと動かしていきます。そして、10℃に合わせましょう。(写真5)
(写真5)
ちょっと色の変化が見えにくいのですが、飽和水蒸気量よりも上にある○が、青と赤がまざって黒っぽく見えるのが分かるでしょうか?
この色が変わった部分が、含みきれなくて出てくる水滴の量なのです。ちょっと回りくどい言い方をすると、最初にあった青い○から、10℃になっても青いままの○を引いたものが、色が変わった○になります。
つまり、青い○は13個(13g/m3)ありました。10℃でも青い○は9個です。
だから計算は
13-9=4
答え 4g/m3
となります。
この計算尺を使うと、計算の意味が画像のイメージで理解することができます。
教科書にも図で説明されていますが、はっきりいって何が書いてあるのかわかりません。
原因は全ての現象を1枚の図に書き込んでいるからです。
今回の湿度計算尺では教科書でまとめて書かれている図を、1つ1つ切り離して見ることができます。問題に応じて、マジックで書き直すことができるので、どの問題にも対応します。
温度の変化はOHPシートの移動で再現できるので、現象と作業のイメージを共有することができます。
このような理由から、湿度計算尺を使うと理解しやすいのです。
でも、「“湿度”計算尺なのに、湿度の計算に役立っていないじゃないか!」
という指摘をする人もいるかと思います。
実は、湿度のイメージもこの計算尺で説明できるのです。
湿度とは教科書に
飽和水蒸気量に対する実際の水蒸気量の割合
と書かれています。
計算尺では、
飽和水蒸気量までの○に対する、青い○の割合
と考えることができます。
例題1の20℃の場合で考えると、20℃のときの飽和水蒸気量は17g/m3です。
青い○の数は13個(13g/m3)なので、湿度を小数第1位で四捨五入すると
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13✕100 1300
湿度【%】=――――― = ――――― = 1300÷17 =76.4
17 17
答え 76%
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
となります。
湿度の計算の詳しい説明は、前回と前々回のブログをご覧ください。
最後になりましたが、今回は話を簡単にするために、飽和水蒸気量を整数で表しています。
実際のテスト問題では小数第1位まで書かれていることが多いです。
原理さえわかってしまえば計算のやり方は全く同じなのですが、少々不安な人もいると思います。
そこで次回は、飽和水蒸気量を小数で書かれたときの解き方を説明していきたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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