こんにちは。頭文字Dです。
中学生に勉強を教えてかれこれ25年以上になります。その経験を活かして、「授業を聞いても理科がわからない人」を「なるほど、そういうことだったのか」と納得してもらおうとこの記事を書いています。
今日は、中学校2年生理科で習う【化学変化】から、水の電気分解について説明します。
この記事は次のような人の疑問を解決します。
特に、(4)で紹介する「イチ・ニ・サン・スィー・セーフ」で簡単に覚えることができます。この覚え方が何を意味するかについては(4)をご覧ください。
それでは、水の電気分解の説明をしていくのですが、みなさんは水の電気分解についてどのようなイメージを持っているでしょうか?
「難しい」と思っていますか?「それほど難しくない」と思っていますか?
おそらく、この記事を読んでいる人は前者でしょう。だから、水の電気分解の難しさについて説明していきたいのですが、ここで確認したいことはこれです。
実験の説明を読む前にこれだけは覚えておいてください。そして、マイナスの先入観を持たないようにしましょう。マイナスの先入観があるだけで、理解できなくなることはたくさんあります。(そして、理科に苦手意識を持たないようにしましょう。苦手意識を持つと本当にわからなくなります。)
前回の炭酸水素ナトリウムの実験と比べるとはるかに理解しやすいです。
ただし、ポイントを押さえていないとちょっと難しく感じることも事実です。特に、順番を間違えて覚えてしまうと、修正するのにかなりの労力を要します。
だから、水の電気分解は
ポイントの1つは安全に関する注意事項です。
最近はどの理科室にも専用の「電気分解装置」があるので、実験が非常に簡単になりました。
昔話になりますが、H字型の試験官を使っていたときは大変でした。液を入れておく液だめを気体の発生とともに調整しなければならず、失敗すると中の液体がもれてしまうからです。どのように実験をするかについては、(3)をご覧ください。
水を電気分解するときには、純粋な水ではなく「水酸化ナトリウム水溶液」を使います。
水酸化ナトリウム水溶液は強いアルカリ性で、目に入ると失明する恐れがあります。手についてもぬるぬるします。だから注意が必要なのですが、H字型の試験管では手につけずに実験を行うことが大変困難でした。
それに比べて「電気分解装置」は非常に簡単です。水溶液を装置に入れるときと片付けるときだけ気をつければ、後は液もれの心配はいりません。
1度やって失敗したと思ったらすぐにやり直すことができます。だから、実験は2~3回繰り返して行うことができ、結果の検証もしやすいです。
話がそれてしまいましたが、安全面のポイントは1つです。
です。
次に、水の電気分解なのになぜ「水酸化ナトリウム水溶液」を使うのでしょうか?言い換えると、「なぜ水に水酸化ナトリウムを溶かすのか?」ということになります。
答えを言うと
です。
これだと答えとしてちょっと長いので、テストで聞かれたら
や
と答えるとよいでしょう。
答え方のポイントは
ことです。
国語の授業でも教わっているかと思いますが、理由を聞かれたときには「~から」「~(の)ため」で終わるようにするのがポイントです。
電気分解装置に水酸化ナトリウム水溶液を入れたところで、電気分解の実験を行ってみましょう。
実験の様子については、こちらをご覧ください。
まずは、H字型の試験管(H字管式電気分解装置)を用いた実験です。
https://rika-net.com/outline.php?id=00002057041f&top=1
自分でやってみるとわかるのですが、この映像の実験をやっている人はかなりうまいです。普通の中学生はこんなにうまくできません。
また、電気分解装置を用いた実験についてはこちらの映像をご覧ください。
今までさりげなく「電気分解」という言葉を使っていましたので、ここで定義を確認しておきます。
電気分解・・・電流を流して物質を分解すること
です。
だから、電気分解装置に電源装置をつないで電流を流してみましょう。
このとき、必ず電源装置のプラス極とマイナス極を確認しておきます。
なぜならプラス極とマイナス極で出てくる気体が違うからです。
電流を流すと、両方の極からブクブクと気体が発生してきました。
よ~~~く見ると、マイナス極の方が気体の出方に勢いがあります。
しばらく気体が発生するのを見てみましょう。
マイナス極側の気体が2mLになったとき、プラス極側の気体は1mLになるはずです。もしも、そうならなかったら気体がもれているので、ゴム栓を確認しましょう。
ここで、覚えるべきポイントが1つあります。
マイナス極側の気体:プラス極側の気体=2:1
それでは電流を止めてそれぞれの気体の性質を調べてみましょう。
最初にマイナス極に集まった気体です。
マイナス極に集まった気体に、火のついたマッチを近づけると・・・
ポン!と音が鳴る
はずです。
できなかったら、もう一度実験をやり直してみましょう。ゴム栓を開けるタイミングとマッチの火を近づけるタイミングを上手にあわせることがコツです。
この結果から次のことがわかります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
マッチの火を近づける→音がした→水素
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
前回も説明しましたが、ここは1年生の時と発想が逆になっています。
1年生の時は
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
水素を発生させる→マッチの火を近づける→音がする
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
でしたね。
この発想の転換に気をつけましょう。
次にプラス極に集まった気体に、火のついた線香を入れます。
すると、
線香の炎が激しく燃える
はずです。
できなかった人はやり直し・・・と言いたいところですが、実はこれ、とっても難しい実験なのです。
というのも、プラス極に集まった気体はマイナス極の気体よりも量が少ないのです。また、電気分解装置の内側は水がついています。
だから、”装置の壁につけずに気体の中に線香を入れることが難しい”のです。
まあ、実験がうまくいったことにして・・・火のついた線香を入れると、線香の火は激しく燃えます。
このことから、次のことが言えます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
火のついた線香を入れる→激しく燃える→酸素
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
水素の時と同じく、1年生の時の考えを書いてみると
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
酸素を発生させる→火のついた線香を入れる→激しく燃える
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
でした。やはり、発想が逆になっています。
以上をまとめると、
となります。
それでは冒頭で紹介した覚え方です。
覚える内容は
ことです。
数学でプラスの数を「正の数」、マイナスの数を「負の数」と言いました。
そして、酸素を「サン」、水素を「スィー」として並び替えると
と覚えることができるのです。
教科書では「水素:酸素=2:1」と書いてあるので、水素と酸素の位置が逆になっていますが、こちらの方が覚えやすいでしょう。
ちなみに、この覚え方は「100均からICTまで 中学校理科アイテム&アイデア100 窪田一志著」で紹介されていたものです。他にも面白い覚え方がいろいろと書かれています。
最後になりましたが、化学反応式を覚えましょう。といっても、まだこのブログで化学反応式の書き方を説明していないので、書き方がわからない人は今は覚えなくてかまいません。
水の電気分解の化学反応式は化学反応式の基礎中の基礎です。これができれば、化学反応式の基本的なことは理解できていると言えます。だから、絶対に書けるようになりましょう。
それでは、水の電気分解の化学反応式です。
2H2O→2H2 + O2
赤の斜体で書いた数字は小さく下に書く数字です。ブログで文字を下に書く方法がわからなかったのでこのように書いています。あしからず。
なお、どのように反応しているのかについて知りたい方は、こちらのサイトをご覧ください。
https://rika-net.com/outline.php?id=00002067003f&top=1
今日も理科ねっとわーくの画像を紹介しています。とてもよいサイトです。
それでは今日はここまでにします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
水の電気分解の問題~難しい? ポイントは化学反応式が書けること~ | いやになるほど理科2021年1月17日 10:00 PM /
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