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【中学理科応用問題】「電流」「電圧」「抵抗」に関する応用問題②~極意は、「困ったときは、グラフを見よ」~

・「電流」「電圧」「抵抗」を求める問題の解き方がわからない
という悩みを解消します。
 こんにちは。頭文字(あたまもんじ)Dです。
 中学生に勉強を教えてかれこれ25年以上になります。その経験を活かして、「授業を聞いても理科がわからない人」を「なるほど、そういうことだったのか」と納得してもらおうとこの記事を書いています。
 今回は、中学2年生理科 電流分野から、「電流」「電圧」「抵抗」を求める応用問題について説明します。
 なお、応用問題のレベル1とレベル2は前回の記事で紹介していますので、まだ見ていない方はこちらをご覧ください。

「電流」「電圧」「抵抗」に関する応用問題①~応用問題は、順序だてて考えることで答えが見えてくる~

1 応用問題を解こう(レベル3)

 いよいよレベル3です。ちょっと難しく感じるかもしれませんが、コツがわかれば解けるようになる問題の典型です。
 ではやってみましょう。
問題1 図1は抵抗器P,Qのそれぞれの両端に加わる電圧と、流れる電流の関係を表したグラフである。抵抗器P,Qを用いて図2、図3の回路をつくり、それぞれの電源装置の電圧を同じにして電流を流し、a~gの各点を流れる電流の大きさを測った。
図1

図2

図3

(1)抵抗器Pは何Ωか。
(2)図3の回路で、d点を流れる電流が0.4Aのとき、電源装置の電圧は何Vか。
(3)a,d,eの各点を流れる電流が大きい方から順に並べなさい。

 問題を読んだら、どんなにわからなくても、5分くらいは考えてみましょう。
 そして、ノートにわかったことを書いていきましょう。
 「何もわかることがない」と言っても、書くのです。
 「こんなこと、誰かに見られたらはずかしい」と思わずに。誰も見ていませんから。
 問題を読んだら何でもいいからノートに書いてみましょう。
 皆さんは、どのようなことを書きましたか?
・抵抗が2つある
 とても素晴らしいことに気付いたではありませんか!問題を解くうえで、とてもたいせつなことです。
・グラフがある
 そうです!この問題はグラフを読み解く問題です。それがわかっただけで、正解に一歩近づきました。
・直列回路と並列回路がある
 そうです!これこそ、最初に気付いてほしいことです。
電流問題は、最初に「直列回路」「並列回路」を判断する
ことがスタートなのです。
 このほかにも、いろいろと気付いたことがあるでしょう。
 すべて紹介したいところですが、時間がかかってしまうので、ここで終わりにして、解答と解説をしていきます。
【解答】
(1) 10Ω
(2) 3V
(3) d>e>a
【解説】
(1)
 最初に、この問題はグラフを見ないと解けないことがわかったでしょうか?
 わからなかったら、「グラフが出ている問題は、(ほとんどが)グラフを読まないと解けない」と覚えておきましょう。
 図1のグラフは電流と電圧の関係を表したものです。
グラフから、「電流」と「電圧」が読み取れるので、オームの法則を使えば「抵抗」を求めることができます。
これも
「電流」「電圧」「抵抗」のうち、2つが分かれば、もう1つを計算で求めることができる
と覚えておきましょう。
 グラフの抵抗器Pの値を読み取ると、3Vの電圧の時に、0.3Aの電流が流れていることがわかります。
 E=IRに代入すると、
  3=0.3R
となり、これを計算すると
  R=10
となります。
 だから、答えは10Ωとなります。
(2)
 これはちょっと難しく見えますね。
 この問題が解けなかった人はおそらく、
どうやって計算で求めるのか
を考えていた人だと思います。
 しかし、この問題は、計算では求めることができません。
 気付きにくいのですが、この問題は
グラフから読み取る問題
なのです。
 やはり、
グラフがある問題は、グラフを読み取ることが大事
なのです。
 それでは、どのようにグラフを読み取るのでしょうか?
 それを考えるには、
回路が「直列回路」か「並列回路」かを判断する
必要があります。
 もちろん、この回路は並列回路です。
 次に、並列回路にかかる電圧と、流れる電流の関係を思い出します。
・並列回路にかかる電圧は、すべて等しい
・並列回路に流れる電流は、和に等しい

でしたね。
 電圧が等しいときに、抵抗器Pと抵抗器Qのそれぞれに流れる電流の大きさを見てみましょう。
 そして、抵抗器Pと抵抗器Qの電流の和がd点の電流と等しくなることに注目してみましょう。
 そうすると、
同じ電圧の時に抵抗器Pと抵抗器Qに流れる電流を足して、0.4Aになるときの電圧を求めればいい
ことがわかります。
 そのような点を探すと・・・
 ありました。
電圧が3Vのとき、抵抗器Pは0.3Aで、抵抗器Qは0.1Aです。2つを足すと0.4Aになります。
 だから、答えは3Vとなります。
(3)
 最後の問題です。
 一見して難しい問題に見えます。
 しかし、順序立てて考えていけば必ず答えにたどり着くことができます。
 まず最初に考えることは
「直列回路」か「並列回路」かの判断
です。
 見てのとおり、図2は直列回路、図3は並列回路です。
 次に、
どちらの回路も、抵抗器Pと抵抗器Qがつながっている
ことに注目します。
 2つの同じ抵抗がつながっているので、
抵抗の大きさはつなぎ方によって決まる
ことがわかります。
 もう一つ、忘れてはいけないことがあります。
電圧が同じとき、抵抗が大きいほど、流れる電流は小さくなる
ということです。
 では、実際に考えていきます。
 まずは、図2と図3の抵抗を考えてみましょう。
直列につながれた抵抗の、全体の抵抗はそれぞれの抵抗の和になる
並列につながれた抵抗の、全体の抵抗はそれぞれの抵抗よりも小さくなる

ので、
図2よりも図3の方が抵抗が小さい=電流が大きい
ことがわかります。
 さらに、図3のeとdでは、どちらが大きな電流が流れるのかを考えてみましょう。
 dは、eとfに流れていた電流が合流するので
d=e+f
となります。
 つまり、dはeよりも大きな電流が流れるのです。
 まとめると、
dが一番大きな電流が流れ、その次がe、一番小さい電流が流れるのがaとなります。
数式で表すと
d>e>a
となります。
 ここまでで気付いた人はいるでしょうか?
(2)と(3)の問題は、計算をほとんどしなくても答えられる
ことに。
 逆に、計算で求めようとすると、解けなくなります。
 ここら辺も、問題に慣れてくるとわかってくるので、応用問題をどんどん解いていきましょう。

2 応用問題を解こう(レベル4)~手がつけられなかったら、グラフを見よ~

 それでは次の問題です。
問題2 20Ωの抵抗Xと、抵抗の大きさがわからない抵抗Yを使って、図1、図2のような回路をつくった。グラフは、図1の回路の電圧計と電流計で測定した電圧と電流の関係を表したものである。
図1

図2

グラフ

(1) 図1の回路の特徴として、正しいものを①~④から選びなさい。
① 回路全体の抵抗の大きさは、各抵抗の大きさの和に等しい
② 各抵抗に加わる電圧の大きさは、電源装置の電圧の大きさに等しい
③ 各抵抗に流れ込む電流の大きさの和は、各抵抗から流れ出る電流の大きさの和より大きい
④ 回路全体に流れる電流の大きさは、各抵抗に流れるそれぞれの電流の大きさより小さい
(2) 図1で、電流計が0.45Aを示したとき、抵抗Xに流れる電流の大きさは何Aか。
(3) 抵抗Yの抵抗の大きさは何Ωか。
(4) 図2で、電圧計が6Vを示したとき、電流計は何Aを示すか。

【解答】
(1) ②
(2) 0.15A
(3) 10Ω
(4) 0.2A
【解説】
(1)
 まずは、基本中の基本
回路が直列回路か並列回路かを判断
します。
 見ての通り並列回路です。
 そこで、並列回路の特徴を思い出しましょう。
 最低でも、次の3つは思い出してほしいところです。
・電圧は「全て等しい」
・全体の電流は、各部分に流れる電流の「和に等しい」
・全体の抵抗はそれぞれの抵抗よりも小さくなる

 それでは、①~④の正誤を確認していきます。
① 回路全体の抵抗の大きさが各抵抗の大きさの和に等しいのは、「直列回路」です。だから×。
② 各抵抗に加わる電圧の大きさは、電源装置の電圧の大きさに等しい。○
③ 各抵抗に流れ込む電流の大きさの和は、各抵抗から流れ出る電流の大きさの和より大きい。×:電流の大きさの「和に等しく」なります。
④ 回路全体に流れる電流の大きさは、各抵抗に流れるそれぞれの電流の大きさより小さい。×:分岐した部分の電流が合わさるので、大きくなります。
ということで、②が正解になります。
(2)
 この問題は、少々難しく感じるかもしれません。
 おそらくほとんどの人が
どうやって計算しようか
と考えるからです。
 しかし、ここで、問題1と同じことが言えます。
グラフがある問題は、グラフを読み取ることが大事
 では、どのようにグラフを読み取るのでしょうか?
 最初に、このグラフは図1の回路にある電圧計と電流計で測定した結果であるものです。問題文に、そう書いてあります。
 次に、電流計が0.45Aを示すときの電圧を調べましょう。3Vであることがわかります。
 「並列回路にかかる電圧は全て等しい」ので、抵抗Xにかかる電圧は3Vであることがわかります。
 抵抗Xは20Ωなので、E=IRに代入すると
  3=20I
  I=0.15
となり、答えは0.15Aとなります。
(3)
 抵抗Yの抵抗を求める問題ですが、図1と図2のどちらの図から求めるかが、ポイントになります。
 結果からいいうと、図1です。
 なぜかというと、
(2)の問題を図1で解いているから
です。
 理科に限らず、数学もそうですが、
直前の問題がヒントになっている
ことがあります。
 この問題では、(2)で抵抗Xに流れる電流が0.15Aとわかったことがヒントになります。
 全体で0.45A、抵抗Xに0.15A流れているので、抵抗Yには、0.3Aの電流が流れていることがわかります。
【計算】0.45=0.15+I
    I=0.45-0.15=0.3
 電圧は、抵抗Xと同じく3Vなので、E=IRに代入すると
    3=0.3R
    R=10
となって、答えは10Ωになります。
(4)
 最後の問題は図2を使って考えます。
 図2は「直列回路」です。まずは、これを確認しておきましょう。
 (3)までに抵抗Xは20Ω、抵抗Yは10Ωであることがわかっているので、全体の抵抗は、30Ωになります。
【計算】20+10=30
 6Vの電圧が、30Ωの抵抗にかかっているので、E=IRに代入して、
    6=30I
    I=0.2
となり、答えは0.2Aとなります。
 いかがでしたか?
 解説を読んでも「難しい」と感じたでしょうか?
 でも、まったく問題ありません。
 最初にも書きましたが、1度読んだときには
こんな風に問題が出されるのか
ということがわかれば十分です。
 何度か読み返していくうちに、「こうやって解くのか」ということが見えてくればいいのです。
 また、今日の問題はどちらも
グラフを見て解く
必要がありました。
 これからもグラフがある問題はグラフを見て解くように心がけてください。
 次回も引き続き、応用問題について解説していきます。

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