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イオンと化学電池②~電解質に、2種類の金属を入れると電池ができる モデルを使って考えると超簡単に理解できる!~

 「化学電池って何?どうやったらつくれるの?」
 「ボルタの装置(電池)の仕組みがわからない」
 「教科書に書いてある電池の説明の図がわからない」

と悩んでいないでしょうか?
 実は、化学電池の内容は、中学生にとって超難しいのです。
 教科書の図を見ても、先生が板書した図を書き写しても、いまいちピンと来ない中学生が多いのです。
 だから、化学電池やイオンの単元を嫌いになることがあまりにも多いのです。
 でも、ちょっと考え方を変えてみましょう。
みんなが苦手な内容こそ、できるようになれば友達に差をつけることができる問題だ
というように。
 実は、中学生が「教科書の図では理解できない」「先生の書いた番所がわからない」というのは当然なのです。
 それは、
原子やイオンや電子の動きを図で表すことは不可能
だからです。
 私は、25年以上中学生に理科を教えています。
 その中で、「どうしたら中学生が少しでも理科がわかるようになるのか」について研究してきました。
 そして一つの確信を得ています。
化学電池は、モデルを動かすことによって必ず理解できる
と。
 私が開発した新教材「手で動かせるイオンモデル」を使えば、容易に化学電池を理解することができます。
 実際に手に取ってやってもらえると、良いのですが、ブログではできません。
 代わりに動画で実習の様子をご覧いただきます。
 この記事を読み終えるときには、化学電池、特にボルタの電池について理解できるようになっているでしょう。
 今までわからなかったボルタの装置について、「なるほど、こういうことだったのか」と納得できれば、大きな自信となって理科が好きになるでしょう。
 この記事を読んで、「”いやになる”理科」から、「いやに”なるほど”理科」にしましょう。
 本記事の内容
①ボルタの装置の作り方
②亜鉛はとけて、銅板からは水素が発生している
③化学電池とは、金属のイオンへのなりやすさを利用した道具である
④ボルタの装置の原子・イオン・電子の動き

 それでは、詳しい説明です。

1 ボルタの装置をつくってみよう

 最初に、ボルタの装置とは何か、簡単に説明します。
 ボルタの装置とは1800年ごろにイタリアのボルタさんが作った初期の電池です。
 昨年度までの教科書には「ボルタの電池」と書かれていたのですが、今年度からの教科書には「ボルタの装置」と書かれています。
 そのため、このブログでは「ボルタの装置」で表記していきます。
 さて、そのボルタの装置ですが、仕組みはいたって簡単です。
 硫酸などの電解質の水溶液の中に、電気器具につないだ銅板と亜鉛版を入れただけのものです。
 簡単にできるので、さっそく、やってみましょう。
 今回は、電解質の水溶液に塩酸をつかい、電気器具に電子オルゴールを使いました。
 電子オルゴールは、+極とー極が決まっているので、
+極に銅板を
ー極に亜鉛版を

つけるのがポイントです。逆だと失敗します。
 それでは、実験の様子をご覧ください。

 ちょっと便りのない音ですが、オルゴールが鳴りました。
 でも・・・電池として利用するには、ちょっと頼りないですよね?
 そうなんです。
ボルタの装置(電池)は電圧が低い上に、すぐに使えなくなるので実用化されなかった
という歴史があるのです。
 ちょっと残念な気がしますが、それでも世界で初めて作られた電池であることは確かです。
 ボルタの電池があったからこそ、その後の電池の研究が進み、今日のようにスマホやパソコン、自動車にまでいろいろな電池が使われるようになったのです。
 だから、ボルタの装置は化学史上、超重要な発明品なのです!

2 ボルタの装置の原理を考えてみよう

 それでは、ボルタの装置の原理を考えていきましょう。
 動画では見えにくかったのですが(そもそも、ヒトの目に見える現象なのか?という疑問もある)ボルタの装置では、次のような現象が見られます。
①亜鉛版が電解質の水溶液に溶けている(イオンになっている)
②オルゴールが鳴っている
③銅板から気体が発生している

 この3つがポイントです。
 まず、①の「亜鉛版が電解質の水溶液に溶けている(イオンになっている)」について説明します。
 前回の記事でも書いたように、亜鉛は銅よりもイオンになりやすい金属です。
 そして、金属がイオンになるということは、
金属が水溶液に溶ける
ということです。
 この部分を学習していない人は、次の記事をご覧ください。
イオンと化学電池①~化学電池を知る前に、金属のイオンになりやすさを調べよう~
 この現象を、反応式で表すと次のようになります。
Zn → Zn2+ + - -
*このブログでは、上に小さく書く数字や記号は青字で表しています。
 この時、亜鉛から離れた電子は導線を通ってオルゴールを通過します。
 電子がオルゴールを通過するということは、オルゴールに電流が流れるということなので、オルゴールからは音楽が流れます。(さきほどの⓶がこの状態です)
 そして、その電子は銅板まで進みます。(電子がとどまっていては、電流は流れないことになる。)
 そして、銅板の表面での反応が起こります。
 銅板では、水溶液中の水素イオン(H+)が集まってきて電子と結びつきます。
H+ + - → H
 しかし、水素原子(H)は単独では存在できません。
 そこで、すぐに近くにある水素原子(H)と結びつき、水素分子(H2)になります。
H + H → H2

*このブログでは、下に小さく書く数字は赤字で表すことにしています。

 この水素分子は水に溶けにくい気体なので、水溶液から出ていきます。これがさきほどの⓷の状態です
 これで、さきほどの①~③までの現象をすべて説明することができました。
ただ、文字だけでの説明だと、どうしてもわかりにくいので、動画を使って理解を深めましょう。

 どうですか?わかりやすくないですか?
 そうです!ボルタの装置が理解しにくい理由は
動くことのない図や、あまりに早く動きすぎるパソコン画面で説明されるから
なのです。
 今回見た動画のように、自分の手で動かせるモデルを使って考えていくと、実はものすごくわかりやすいのです。
 本当は、実際に手に取ってやってもらいたいのですが、ブルグでは限界があります。
 手に取って操作することで、必ずボルタ装置が理解できることでしょう。
 なお、今回紹介したモデルは「頭文字D式 イオンモデル」です。残念ながら市販されていません。
 興味のある方は連絡をください。

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