• ”いやになる”ほど理科を勉強して、いやに”なるほど”理科が納得できるサイトです

イオンと化学電池③~今年から教科書に登場した新教材!化学電池の応用編も、イオンモデルを使えば簡単に理解できる 秒でできる実験装置のつくり方~

「ダニエル電池って何?どうやったらつくれるの?」
「ダニエル電池の仕組みがわからない」
「教科書に書いてあるダニエル電池の説明の図がわからない」

と悩んでいないでしょうか?
 実は、化学電池の内容は、中学生にとって超難しいのです。
 しかも、今回勉強するダニエル電池は、今年から中学校の教科書に登場してきた、もっとも”新しい”教材なのです。
 だから、理科の先生たちもはじめて中学生に教える内容なのです。
 わからないのは中学生だけではなくて、先生たちも同じかもしれないのです。
 でも、あまり知られていない事実があります。
実は、金属のイオンへのなりやすさも、ボルタの装置も、ダニエル電池も仕組みはほとんど同じ
なのです。
 1つずつ、しっかりと積み重ねていけば「また同じ話?あきたよ」という程度の問題です。
 私は、25年以上中学生に理科を教えています。
 その中で、「どうしたら中学生が少しでも理科がわかるようになるのか」について研究してきました。
 そして一つの確信を得ています。
化学電池は、モデルを動かすことによって理解が深まる
と。
 私が開発した新教材「手で動かせるイオンモデル」を使えば、化学電池を理解することができます。
 実際に手に取ってやってもらえると、良いのですが、ブログではできません。
 代わりに動画で実習の様子をご覧いただきます。
 この記事を読み終えるときには、化学電池、特にダニエル電池について理解できるようになっているでしょう。
 今までわからなかったダニエル電池について、「なるほど、こういうことだったのか」と納得できれば、大きな自信となって理科が好きになるでしょう。
 この記事を読んで、「”いやになる”理科」から、「いやに”なるほど”理科」にしましょう。
 本記事の内容
①ダニエル電池の作り方・実験の様子
②化学電池は、金属のイオンへのなりやすさを利用した道具である
③亜鉛はとけて、銅イオンは原子になる
④ダニエル電池の原子・イオン・電子の動き

 それでは、詳しい説明です。

1 ダニエル電池をつくってみよう

 最初に、ダニエル電池とは何か、簡単に説明します。
 ダニエル電池とはジョン・フレデリック・ダニエルさんが1836年に発明した化学電池です。
 それまでにあったボルタの装置の欠点であった「起電力が小さい」「長持ちしない」という欠点を補った、画期的な電池です。
 ちなみに、ボルタの装置(電池)についての説明は、こちらをご覧ください。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%83%8B%E3%82%A8%E3%83%AB%E9%9B%BB%E6%B1%A0
 それでは、ダニエル電池をつくってみましょう。
 最初に問題になるのが
素焼きの容器
です。
 「素焼きの容器って何?」と思う人が多いのですが、なんてことのない
100均で売っている植木鉢
で十分です。
 余談ですが、今年度は教材屋さんから「ダニエル電池セット」を購入する学校が多く、一時欠品となったそうです。
 頭文字Dも調べてみましたが、1セット2000円くらいしました。
 これだけお金をかけるのももったいなかったので、代わりに使うことができるものを探しました。
 そして、
100均の植木鉢
を探し出しました。
 ただし、この植木鉢には一つだけ大きな問題があります。
そこに穴が開いていること
です。
 だからこのままだと水溶液が全部出ていってしまいます。
 そこで実験の前に何らかの方法で穴をふさぐことが必要となります。
 いくつか方法はあるのですが、頭文字Dが考えた方法は
ろうそくで穴をふさぐ
というものです。
この方法だと1個つくるのに、まさに
秒でできる
のです。(詳しくは、この後の動画を見てください。)
 他に用意するものは、
植木鉢よりも大きな容器(灰皿)、硫酸銅水溶液、硫酸亜鉛水溶液、電子オルゴール、銅板、亜鉛版
です。
 硫酸亜鉛以外は、どの理科室にもある何の変哲もないものばかりです。
 なお、頭文字Dは理科室にあった灰皿がちょうどいい大きさだったので灰皿を使いました。
 それでは、ダニエル電池のつくり方を説明します。
①素焼きの容器(植木鉢)の中に硫酸銅水溶液を入れる
②素焼きの容器を大きな入れ物(灰皿)の中に入れ、大きな入れ物の中に硫酸亜鉛水溶液を入れる。
③電子オルゴールの+極に銅板を、ー極に亜鉛版をつなぐ
④硫酸銅水溶液の中に銅板を、硫酸亜鉛水溶液の中に亜鉛版を入れる

 それでは、実験の様子をご覧ください。

 なんと!植木鉢の穴埋めの作業から、音楽が2回繰り返されるまで、約2分間で実験が終了してしまいました!!!!!
 なんて簡単な実験なのでしょう!!!!!
 そして、かかったお金は
植木鉢の約28円(110円÷4個=27.5円)と、
硫酸亜鉛水溶液の約6000円だけ

です。
 硫酸亜鉛はおそらくどの学校でも購入したので、実質約28円で実験の準備ができてしまったのです。
 どうですか?お得で便利な方法だと思いませんか?

2 ダニエル電池の原理を考えよう

 それでは、ダニエル電池の原理を説明します。
 文字で書いていくと複雑になるので、最初に動画をご覧ください。

 わかったでしょうか?
 確認のため、文字で説明していきます。
①亜鉛が亜鉛イオンになる
Zn → Zn2+ + --
②電子がオルゴールに流れる。(オルゴールが鳴る)
③銅板にたどり着いた電子が銅イオンと結びつく
Cu2+ + ーー → Cu

 これだけです。
 しかも、この反応式、どこかで見たことありませんか?
 そうです!
金属のイオンへのなりやすさを調べるために行った
銅イオンがある水溶液の中に、亜鉛版を入れる

 実験と全く同じ反応が起きているのです。
 この説明については、こちらの記事をご覧ください。
イオンと化学電池①~化学電池を知る前に、金属のイオンになりやすさを調べよう~
 ダニエル電池は、銅イオンがある水溶液の中に亜鉛版を入れたときの反応を利用したものなのです。
 このように一か所で行えばただの電子の受け渡しの反応(高校では”酸化・還元反応”と習います)を、別々の場所で行えば化学電池ができてしまうのです。
 ダニエル電池についての説明は以上です。
 今日も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。