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イオンの応用問題⑤~入試問題だってワンパターンだ!全国入試問題(改題)から学ぶ、イオンの攻略法~

 「イオンの問題が解けない」
 「テストが迫ってきた。どうしよう?」
 「入試が近づいてきたのに、イオンに全く手を出せていない・・・」

と悩んでいないでしょうか?
 実は、イオンの問題は、中学校理科の最難関と言えるほど、超難しいのです。
 しかも、実力テストや高校入試では頻出の問題なのです。なお、年によっては、全国のほとんどの都道府県で出題されることもあります。
「高校入試にイオンあり」なのです。
 だから、イオンを苦手としている中学生は実に多いのです。
 でも、あまり知られていない事実があります。
 実は、
イオンの問題はワンパターン問題が多い
のです。
 これは、以前からお伝えしている
難しい問題は、ワンパターン問題の法則
に一致するのです。
 1つずつ、しっかりと理解して、ストック(知識量)を積み重ねていけば「また同じ話?あきたよ」という程度の問題です。
 私は、25年以上中学生に理科を教えています。
 その中で、「どうしたら中学生が少しでも理科がわかるようになるのか」について研究してきました。
 そして一つの確信を得ています。
難問は良質の問題を繰り返し解くことで確実に解けるようになる
と。
 この記事を読み終えるときには、イオンの問題をどのように解けばよいかがわかるでしょう。
 今までわからなかったテスト問題が、「なるほど、こういうことだったのか」と納得できれば、大きな自信となって理科が好きになるでしょう。
 特に、この記事では、「簡単な問題~難しい問題」へ徐々にレベルアップしていくように配置しました。
 この記事を読んで、「”いやになる”理科」から、「いやに”なるほど”理科」にしましょう。
 なお、この記事で紹介する問題は、正確に言うと「高校入試問題を参考に頭文字Dが考えた改題」です。
 だから、正確に言うと、高校入試問題ではありません。
 その部分は、ご理解ください。
本記事の特徴
・実際の高校入試に近い形の問題を解くことで、実践力を身に付けることができる
・徐々に難しい問題が解けるようになることで、自信がついていく

 それでは、詳しい説明です。

1 まずは、この問題から解いてみよう(レベル1)

 最初に、レベル1の問題です。
 このレベルの問題は、「単独で」出題されることが多い問題です。
問題1 銅原子(Cu)が、銅イオン(Cu2+)になるときの変化について説明した次の分で、正しいものを1つ選びなさい。

*この記事では、上に小さく書く数字や記号が書けないので、青字で表しています。

ア 銅原子が中性子を2個失う
イ 銅原子が中性子を2個受け取る
ウ 銅原子が電子を2個失う
エ 銅原子が電子を2個受け取る
オ 銅原子が陽子を2個失う
カ 銅原子が陽子を2個受け取る

 どうでしょうか?難しいですか?
 ほとんどの人が「本当にこんな問題が高校入試に出るの?」と思うかもしれません。
 でも、実際にこれくらいの問題が高校入試に出題されることがあるのです。
 確実に得点しておきたい問題です。
 それでは、答えです。
【解答】

 この問題を解くために必要な詳しい説明は、こちらの記事をご覧ください。
原子の構造とイオン~中学生必見!イオンがわからない人は、この時間からわからなくなる!~
 それでは、2問目です。
問題2 次の問いに答えなさい。
(1) 電流が流れる液体をア~エから1つ選びなさい。
ア 砂糖水
イ エタノール水溶液
ウ 蒸留水
エ 食塩水
(2) 塩化銅水溶液が電離している様子を表した図として、最も適当なものを1つ選びなさい。ただし、銅イオン(Cu2+)1個を▲、塩化物イオン(Cl)1個を〇で表すとする。


 さて、どう思いましたか?
 難しいでしょうか?簡単でしょうか?
 今回は、問題数を多くとくことを目的としているので、次々に解答していきます。
【解答】
(1) エ
(2) イ(塩化銅はCuCl2なので、銅原子1個に対して、塩化物イオンが2個になる。この場合は銅イオンが2個あるので、塩化物イオンは4個になる。)

*この記事では、下に小さく書く数字が書けないので、赤字で表しています。
問題3 ビーカーに水と食塩を入れたところ、食塩はすべて水に溶けた。ビーカーの中の食塩の様子について、正しく表した図を選びなさい。ただし、ナトリウムイオン1個を▲、塩化物イオン1個を〇で表すとする。

【解答】

 いかがですか?
 図が出てきても、落ち着いて考えていけば答えられると自信がついてきたのではないでしょうか?
 もう少し詳しく説明を読みたい人は、こちらの記事をご覧ください。
 それでは、次の問題です。
問題4 塩化水素水溶液に水酸化ナトリウム水溶液を混ぜ合わせたときの反応のように、酸の水溶液とアルカリの水溶液を混ぜ合わせたときに、互いの性質を打ち消しあう反応を何というか。
問題5 流れる水が酸性の川に、石灰石の粉を混ぜた水を入れている。この時に起こる反応を何というか。

 問題4、問題5ともに記述式の問題ですが、問題なく解けたのではないでしょうか?
 この問題の詳しい説明を読みたい人はこちらの記事をご覧ください。
【解答】
問題4 中和
問題5 中和

問題6 次の問いに答えなさい。
(1) 酸性の水溶液にアルカリ性の水溶液を加えていくとやがて中性になる。この反応を何というか。
(2) (1)のとき、酸の陽イオンとアルカリの陰イオンが結びついてできる物質を何というか。
(3) (1)の反応の時の熱について述べた文として、正しいものはどれか。ア~エから1つ選びなさい。
ア (1)の反応は吸熱反応であり、水溶液の温度は上がる
イ (1)の反応は発熱反応であり、水溶液の温度は上がる
ウ (1)の反応は吸熱反応であり、水溶液の温度は下がる
エ (1)の反応は発熱反応であり、水溶液の温度は下がる

 少し難しくなってきたでしょうか?
 それとも「まだまだ大丈夫」でしょうか?
 いい忘れていましたが、解答は必ず何かのノートや紙に書いてください。
 頭の中で答えても忘れてしまいますので、効率の良い答え合わせができません。
 また、「ノートに書く」には少々の勇気が必要です。
 入試やテストに向けての「勇気づくり」のためにも、ノートなどに答えを書きましょう。
 それでは解答です。
【解答】
(1) 中和
(2) 塩(えん)
(3) イ(中和は”発熱反応”なので、水温が上がります。「中和の実験の時にビーカーをさわると熱かった」という経験はありませんか?けっこう温度が上がります。)

2 ちょっと難易度が上がった問題を解いてみよう(レベル2)

 それでは、7問目です。
 6問目までよりも、ちょっとだけ難しくなっています。
問題7 うすい塩酸に金属板Aと金属板Bを入れ、電子オルゴールにつないだ。このとき、金属板Aで起こっている反応として正しいものをア~エから選びなさい。ただし、金属板Aと金属板Bは亜鉛板と銅板のいずれかである。

ア 銅が電子を放出して銅イオンとなり、水溶液中に溶けだす
イ 銅が電子を受け取り、銅イオンとなり、水溶液中に溶けだす
ウ 亜鉛が電子を放出して亜鉛イオンとなり、水溶液中に溶けだす
エ 亜鉛が電子を受け取り亜鉛イオンとなり、水溶液中に溶けだす

 そろそろ難しいでしょうか?
 それではヒントを出します。
電子オルゴールの図から、金属板Aが+極とー極のどちらかであることがわかります。
 「ボルタの装置ではー極は○○板だったな・・・」と考えていきましょう。
【解答】
ウ(金属板Aは―極につながっているので、亜鉛版だとわかる。亜鉛は電子を失って亜鉛イオンになっている。)

 ボルタの装置については、こちらの記事をご覧ください。
イオンの応用問題②~難問は、ワンパターン問題だ!わからなかったボルタの装置が、わかるようになる問題集~
問題8 塩化水素は水にとけると電離して水素イオンと塩化物イオンを生じる。この時、水素イオンと塩化物イオンの数の割合はどうなるか。ア~エから選びなさい。
ア 1:1
イ 1:2
ウ 2:1
エ 2:3
問題9 硫酸は電離して水素イオンと硫酸イオンを生じる。この時、水素イオンと塩化物イオンの数の割合はどうなるか。ア~エから選びなさい。
ア 1:1
イ 1:2
ウ 2:1
エ 2:3
問題10 水酸化ナトリウムが水に溶けたときの電離を表すとき、①②に当てはまるイオン式を書きなさい。
NaOH → ① + ②
問題11 塩化銅の電離の様子を表すとき、①②にあてはまるイオン式を書きなさい。
CuCl2 → ① +2②
【解答】
問題8 ア(HCl→ H+ + Cl
問題9 ウ(H2SO4→ 2H+ +SO42-
問題⒑ ① Na+    ②Cl
問題11 ① Cu2+    ②Cl

 さあ、どうですか?
 そろそろ難しいですか?
 まだまだでしょうか?
 これらの問題を解くためにもう少し詳しい説明を読みたい人は、こちらの記事を読んでください。
原子の構造とイオン~中学生必見!イオンがわからない人は、この時間からわからなくなる!~

3 さらにレベルアップ(レベル3)

問題12 亜鉛版と銅板をうすい塩酸に入れて電池をつくり、電子オルゴールをならした。次の問いに答えなさい。

(1) うすい塩酸は水に「ある気体」が解けている水溶液である。うすい塩酸に溶けている物質(気体)は何か。
(2) (1)の物質(気体)が水に溶けているときの、電離式を書きなさい。
(3) 図の装置での、電流の流れは、ア・イのどちらか。
(4) 銅板で発生する気体について正しく説明したものはどれか。
ア 石灰水を白く濁らせる気体
イ 空気中にもっとも多く含まれている気体
ウ 最も密度の小さい気体
エ 水に溶けるとアルカリ性を示す気体

 レベル2までと比べると、だいぶ難しくなっていると思います。
 でも、選択問題が多いので、解けなくても何らかの記号は選ぶようにしましょう。
 「ヤマ勘」も練習することで、ある程度精度を上げることができます。
【解答】
(1) 塩化水素(HCl)
(2) HCl → H+ + Cl
(3) ア(電流の向きと電子が流れる向きは逆になる。電子は亜鉛版から銅板に流れるので、電流の向きはアになる)
(4) ウ(銅板で発生する気体は水素である。水素はすべての物質の中で最も密度が小さい(軽い)気体である)

 続いて、本日最後の問題です。
 まとめとしてふさわしい、本日学習した内容を振り返る問題になっています。
問題13 原子とイオンについて、次の問いに答えなさい。
(1) 原子の構造について述べた文として、正しいものを選びなさい。
ア 原子核は、電子と中性子から出いている。
イ 原子の中心には、原子核があり、その周りを陽子が回っている。
ウ 原子の中では、陽子の数と電子の数が仁為、原子全体では電気をもたない
エ 原子が電子を放出すると陰イオンになる
(2) 塩化物イオンのイオン式を書きなさい。
(3) 硫酸銅を水に溶かしたときの、電離式を書きなさい。
【解答】
(1) ウ
(2) Cl
(3) CuSO4 → Cu2+ + SO42-
(3)の硫酸銅の電離式は、硫酸銅の化学式と銅イオン・硫酸イオンのイオン式を覚えていないと難しいかもしれません。

 今日は、今までにないくらい問題を解きまくりました。
 いかがでしたか?
 少しでも「イオンの問題が解けて自信がついてきた」と思ってくれれば幸いです。
 次回は、レベル4~の問題の解き方を紹介していきます。

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