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応用問題から学ぶ”身のまわりの物質”⑤~「水溶液」の問題をマスターしよう2~

 「公式は覚えたけど、使い方がわからない」
 「水溶液の質量ってどうやって求めるの?」
 「まぎらわしい言葉が多すぎる」

などと溶解度の問題でなやんでいる中学生は非常に多いです。

 そこで今回は、「水溶液の応用問題を数多くとくことで、水溶液を得意になろう!」とよく出題される問題を実際に解いていきます。
 
 実は、この水溶液の問題は、「また同じ問題が出た」「また同じ数字だった」「また同じ答えだった。」というように、ワンパターンであることが多いのです。

 この記事を読み終えたとき、「水溶液の問題はバッチリ」と自信が持てるようになるでしょう。
 また、どのような問題が出されるのかを知ってからワークなどを解くことにより「ここが大切!」ということがわかるようになります。効率よく学習することができるのです。

 それでは前回に引き続き、私が考えた実践問題をもとに応用力を養っていきましょう。

本記事の特徴
・応用問題(実力テストや高校入試に近い問題)を解くことで、実践力を身に付けることができる
・徐々に難しい問題が解けるようになることで、自信がついていく

それでは、詳しい説明です。

1 グラフを使った応用問題を解こう!!(レベル2)

問題1 下のグラフは硝酸カリウムと塩化ナトリウムについて、100gの水にとける物質の質量と水の温度との関係を示したものである。次の問いに答えなさい。

(1)物質が100gの水にとけた時の質量を何といいますか。
(2)2本の試験管に水を100g入れ、それぞれの試験管に硝酸カリウムと塩化ナトリウムをそれぞれ60gずつ入れた。その後、ガスバーナーで加熱して水の温度を60℃まで上げた。この時、硝酸カリウムと塩化ナトリウムは水にとけるか、とけないか。それぞれについて答えなさい。
(3)60℃の水100gに、硝酸カリウムを溶けるだけ溶かしたものを、20℃まで冷やしたところ、硝酸カリウムの固体が出てきた。硝酸カリウムの固体は約何g出てくるか。ただし、60℃の硝酸カリウムの(1)は109g、20℃の時の硝酸カリウムの(1)は32gとする。
(4)一度水にとけたものを再び結晶として取り出す方法を何というか。
(5)塩化ナトリウムを(4)させるためには、どうしたらよいか。

 いかがでしたか?
 「わけがわからん」という人もいたかもしれません。
 実は、理科の問題では、
グラフが出てくると難易度が上がる
傾向があります。
 でも、大丈夫。
 理科で出題されるグラフにはいくつかの種類があります。
 グラフの問題をとけばとくほどそのパターンが見えてきます。
 そうなればしめたもの。
 苦手だったグラフ問題があっという間に得点源になります。
 苦しいのは最初だけ。
 最初の関門を乗り越えれば、やればやるだけ簡単になっていきます。
 だからがんばって解いてみましょう。
 解答と解説です。
【解答】
(1)溶解度
(2)硝酸カリウム:とけた、塩化ナトリウム:とけ残った
(3)77g
(4)再結晶
(5)水を蒸発させる
【解説】
(1)100gの水に飽和するまでとかした時の物質の質量を「溶解度」といいます。
(2)(グラフのように)温度が上がると硝酸カリウムの溶解度は急激に上がりますが、塩化ナトリウムの溶解度はほとんど変化しません。そのため、硝酸カリウムは水に全てとけ、塩化ナトリウムは溶け残ったままになります。
(3)60℃で水にとけた硝酸カリウムは109g。20℃まで冷やすと、32gしかとけなくなるので、
  109g ー  32g =  77 g
となります。
(4)一度水にとけた物質を再び結晶として取り出す方法を「再結晶」といいます。
(5)再結晶には2つの方法があります。
1つは、「水溶液を冷却する」方法で、もう1つは「水を蒸発させる」方法です。
硝酸カリウムのように、「温度が上がると溶解度が急激に上昇する物質」を再結晶させるには、どちらの方法も使えます。
しかし、塩化ナトリウムのように「温度が上がっても溶解度がほとんど変化しない物質」を再結晶させるには、「水を蒸発させる」方法しかありません。

 いかがでしたか?
 「難しかった・・・」と思った人も大丈夫。
 解答と解説を参考にして、次の問題も同じようにして考えてみましょう。

問題2 食塩(塩化ナトリウム)と硝酸カリウムについて、水へのとけ方と調べるために、次の実験を行った。下のグラフは、水の温度と食塩(塩化ナトリウム)と硝酸カリウムの溶解度の関係を表したものである。次の問いに答えなさい。
<実験>
①下の図1のように、20℃の水5gを入れた試験管A、Bに、食塩(塩化ナトリウム)と硝酸カリウムをそれぞれ3g入れとけ方を調べた。
②図2のように、①の試験管をビーカーの水に入れて水温が60℃になるまで、振り混ぜながら温めた。
③図3のように、②の試験管を水で冷やして様子を観察した。その後、水溶液を数滴スライドガラスにとって水を蒸発させた。


(1)実験①ではどのような結果になるか。硝酸カリウムと食塩(塩化ナトリウム)のそれぞれについて答えなさい。
(2)実験②ではどのような結果になるか。硝酸カリウムと食塩(塩化ナトリウム)のそれぞれについて答えなさい。
(3)実験③で針状の結晶が現れたのは試験管A,Bのどちらか。
(4)(3)のようにして一度水にとけた物質を再び結晶として取り出す方法を何といいますか。
(5)実験③で、水を蒸発させるとどのようになったか。硝酸カリウムと食塩(塩化ナトリウム)のそれぞれについて答えなさい。

 どうですか?
 「あれ?ちょっと簡単に思えてきた」と思えたらしめたものです。
 理科では、このように最初に問題に慣れてしまうのがコツなのです。
 それでは解答と解説です。
【解答】
(1)硝酸カリウム:とけ残った、食塩(塩化ナトリウム):とけ残った
(2)硝酸カリウム:全てとけた、食塩(塩化ナトリウム):とけ残った
(3)試験管A
(4)再結晶
(5)硝酸カリウム:固体が出てきた(再結晶した)、食塩(塩化ナトリウム):固体が出てきた(再結晶した)
【解説】
(1)硝酸カリウムは20℃の水5gに1.5g位とけます。入れた硝酸カリウムは3gなのでとけ残ります。
食塩(塩化ナトリウム)は20℃の水5gに1.8g位とけます。入れた食塩(塩化ナトリウム)は3gなのでとけ残ります。
 テストでは「水100gの時」の他に「水5gの時」のことがよく聞かれます。そしてほとんどのグラフが「水100gの時の溶解度」を表しています。だから、どのくらいとけるのかは、20分の1にして考えなければなりません。
 どうしてこんな意地悪をするのかというと、
教科書に載っている実験の分量がそうだから
としか言いようがありません。
 これ以外の水の分量はあまり聞かれないので、この手の問題では「水100gの時」と「水5gの時」の2パターンを理解しておけば大丈夫でしょう。
(2)(1)と同様に、グラフの値を20分の1にして考えます。
硝酸カリウムは60℃の水5gに、約5.5gとけます。入れた硝酸カリウムは3gなので全て水にとけます。
一方、食塩(塩化ナトリウム)は60℃の水5gに約2gとけます。入れた食塩(塩化ナトリウム)は3gなのでとけ残ります。
(3)物質により結晶の形は決まっています。
だから、決勝の形を見れば、その物質がある程度わかります。
食塩(塩化ナトリウム)の結晶は四角い形をします。
硝酸カリウムの結晶は尖った形(針状)をしています。
だから答えは硝酸カリウムが入っている試験管Aとなります。
(4)一度水にとけた物質を再び結晶として取り出す方法を「再結晶」といいます。
(5)水が全て蒸発してしまえば、溶質はとけきれなくなって再結晶します。
溶質が個体の場合、溶質が消えて無くなってしまうことはありません。
(溶質が気体の場合は、気体になって空気中に放出されます)

 いかがでしたか?
 「ちょっと手応えを感じてきた」と思えたら、しめたもの。
 もう少しで得意になるでしょう。
 それでは3問目です。
 3問目はかなりのハイレベル問題です。

2 ハイレベル問題を解こう!!(レベル3)

問題3 物質の水への溶け方を調べるために、次の実験を行った。下のグラフは塩化ナトリウムと硝酸カリウムの溶解度曲線を表している。次の問いに答えなさい。
<実験>
①図1のように、20℃の水をビーカーA~Dに、それぞれ20g、50g、100g入れた。次に、A~Cにそれぞれ5g、10g、50gの塩化ナトリウムを入れ、Dには50gの硝酸カリウムを入れてかき混ぜた。その結果、AとBは全て溶けたが、CとDには溶け残りがあった。
②溶け残りがあったCとDを、図2のようにしてガスバーナーで加熱した。30℃と40℃の時にガラス棒でよくかき混ぜ、溶けるかどうかを調べた。その結果、30℃の時にはCとDに溶け残りがあり、40℃の時にはCには溶け残りがあり、Dは全て溶けた。



(1)実験①で、ビーカーAの水溶液の質量パーセント濃度は何%ですか。
(2)実験②で、30℃の時、ビーカーDの水溶液の質量パーセント濃度は何%ですか。ただし、硝酸カリウムの30℃の時の溶解度を45gとし、小数第一位を四捨五入して整数で答えることにする。
(3)実験②で、40℃のときのビーカーDの水溶液を25℃まで冷やした時、取り出すことができる決勝の質量は約何gか。下のア〜エから選びなさい。
ア 8g  イ 12g  ウ 15g  エ 18g
(4)ビーカーCの塩化ナトリウムを全て溶かすにはどうしたらよいか。

いかがですか?
「ちょっと難しかった」でしょうか?
「まだまだ余裕」でしょうか?
いずれにしろ、「前よりもちょっとわかってきた」という実感があればいいですね。
それでは、解答と解説です。
【解答】
(1)20%
(2)31%
(3)イ
(4)水を加える(水を増やす)など
【解説】
(1)塩化ナトリウムは「全て溶けている」ので、水20gと塩化ナトリウム5gで計算をします。
5✖️100     500    
ーーーーーーー = ーーーー = 500 ➗ 25 =20
20+5       25
(2)この場合、硝酸カリウムは「全て溶けていない」ことがポイント。
30℃の水100gに硝酸カリウムは45g溶ける。
そのため、
水100gと硝酸カリウム45gで計算しなくてはならない。
よって、
45✖️100    4500
ーーーーーーー = ーーーーー = 4500 ➗ 145 = 31.0
100+45     145
となって、答えは31%となる。
(3)25℃まで冷やすと、(グラフから)溶解度は37〜38gくらいになる。
入れた硝酸カリウムが50gなので
50 ー 38 = 12
よって”イ”となる。
(4)塩化ナトリウムは温度を変えてもほとんど溶解度が変化しない。
そのため、水を増やすしかない。

いかがでしたか?
(2)の「全て溶けていない溶液の質量パーセント濃度を求める」ことが難しかったかもしれません。
でも、一度「こういう問題も出る」ことがわかってしまえば、次からは解くことができます。
問題に慣れるということはこういうことです。
今日はここまでとします。
水溶液の問題は、一見難しいと思いがちです。
しかし、
難しい問題はワンパターン
ということに気づけば、攻略できます。
だから、最初は辛くてもほんの少しがんばりましょう。
それではさようなら。

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