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応用問題から学ぶ”身のまわりの物質”⑥~状態変化の問題1~

 「テストが迫ってきた。どうしよう?」
 「状態変化って何?グラフが出てきたらもう解けない」
 「ロウソクの問題なんて見るのもいや!」

と悩んでいないでしょうか?
 中学生にとって状態変化の内容を理解することは難しいものです。
 「状態変化って何が変わるの?」
 「蒸留と再結晶の違いがわからない」
 「どうして蒸留した時にろ紙が燃えるの?」
などとなやんでいる中学生は非常に多いです。

 そこで今回は、「状態変化の問題を繰り返しといて、状態変化を得意になろう !」とよく出題される問題を実際に解いていきます。
 
 実は、この状態変化の問題は、「また同じ問題が出た」「また同じ実験だった。」というように、ワンパターンであることが多いのです。。

 この記事を読み終えたとき、「状態変化の問題はバッチリ」と自信が持てるようになるでしょう。
 また、どのような問題が出されるのかを知ってからワークなどを解くことにより「ここが大切!」ということがわかるようになります。効率よく学習することができるのです。

 それでは前回に引き続き、私が考えた実践問題をもとに応用力を養っていきましょう。

本記事の特徴
・応用問題(実力テストや高校入試に近い問題)を解くことで、実践力を身に付けることができる
・徐々に難しい問題が解けるようになることで、自信がついていく

それでは、詳しい説明です。

1 まずは基本的な問題を解こう!!(レベル1)

問題1 下の図は、液体の水が冷やされて氷に変化している時の時間と温度変化をまとめたものである。次の問いに答えなさい。

(1)温度によって物質の状態が変化することをなんと言いますか。
(2)時間A〜B、時間B~C、時間C~Dの時、水はどのような状態になっていますか。下のア〜エからそれぞれ選びなさい。
ア 固体  イ 固体と液体  ウ 液体  エ 液体と気体
(3)物質が液体から固体に変化する時の温度は、固体が溶けて液体になる時の温度と同じです。この温度をなんと言いますか。
(4)水が液体から固体になる時、体積はどうなりますか。
(5)水が液体から固体になる時、質量はどうなりますか。

 いかがでしょうか?
 「わけがわからん」と思うでしょうか?
 「そういえば学校の先生がこう言っていたような・・・」と思いましたか?
 それとも・・・。
 いずれにしろ、一度自分で解いてから解答と解説を読むようにしましょう。
 そのほうが自分の力になります。

 それでは解答と解説です。
【解答】
(1)状態変化
(2)時間A~B ウ  時間B~C:イ  時間C~D:ア
(3)融点(凝固点)
(4)大きくなる
(5)変化しない(変わらない)
【解説】
(1)物質が「固体ー液体ー気体」と状態を変化させることを「状態変化」と言います。
(2)物質は「液体だけの時」や「固体だけの時」に温度を変化させます。
逆に、「固体と液体が混ざっている時」や「液体が気体になっている時」は温度変化しません。
だから、温度が下がっている時間A~Bは「液体」、時間C~Dは「固体」になります。
また、温度が変化していない時間B~Cは「固体と液体」になります。
(3)固体が液体に状態変化する時の温度を「融点」と言います。(教科書に載っています)
また、液体から固体に状態変化する時の温度を「凝固点」と言います。(教科書にはおそらく載っていないと思います)
この場合は、「融点」が正解ですが、「凝固点」でもOKでしょう。
(4)液体から固体に状態変化する時、普通の物質は体積が小さくなりますが、水は例外で大きくなります。
(5)状態変化する時の質量は、物質の出入りがなければ変化しません。

いかがでしたか?
ちょっとでも「解説をよめばわかる」と思えればバッチリです。
あとは、問題を数多く解いて慣れていくだけです。
それでは次の問題です。

問題2 次のような装置で、パルミチン酸を試験管に入れて加熱した。その時の時間とパルミチン酸の温度を表したのが下のグラフである。次の問いに答えなさい。


(1)パルミチン酸が全て液体なのはグラフの何分以降か。
(2)パルミチン酸が固体から液体に変化している時の温度は何℃か?
(3)パルミチン酸の量を半分にして同じ火力で実験を行った時、加熱した時間とパルミチン酸の温度のグラフはどうなるか。
下のア〜エから1つ選びなさい。

(4)パルミチン酸を90℃まで加熱したあと、加熱をやめて冷却した時のグラフはどうなるか。下のア〜エから1つ選びなさい。


 いかがですか?
 「さっきの水のグラフを逆さまにしたような形のグラフだな」と思ったでしょうか?
 問題1の時は冷却した時のグラフでしたが、今回は加熱した時のグラフです。
 だから、温度が下がっていくグラフと上がっていくグラフの違いはありますが、ある温度で一定にjなるというてんでは共通しています。
 このように、共通点(同じところ)や相違点(違うところ)を見つけながら勉強をしていくと理解が深まっていくのです。

 それでは解答と解説です。
【解答】
(1)16分以降
(2)約63℃
(3)ウ
(4)イ
【解説】
(1)パルミチン酸の温度が上がるのは「全て固体の時」か「全て液体の時」です。
最初の温度上昇の時、パルミチン酸は固体です。(固体の状態から加熱しているため)
だから、2回目の温度上昇が始まる16分以降がパルミチン酸が全て液体になった状態です。
(2)グラフで温度が一定のところを探し、縦軸で温度を確認すると63℃くらいになっています。
なお、62〜65℃くらいの数字を書いていれば正解になります。
(3)この問題は要注意です。
まず、変わることと変わらないことを確認しましょう。
変わらないのは、「固体から液体に状態変化する時の温度(融点)」です。
物質がパルミチン酸であるかぎり融点は変わりません。
また、変わるのは「パルミチン酸の温まりやすさ」です。
火力が同じで量が半分になったので、最初よりも早く温度が上昇していきます。
よって、グラフはウになります。
(4)液体になったパルミチン酸を冷却していくと、融点(凝固点)で一定の値になったのち、温度がまた下がります。
 この時の融点(凝固点)は一定の値を示します。
 だからイのグラフになります。

2 密度がからむちょっと難しそうな問題を解こう!!(レベル2)

 続いて、「密度」も出てくる難しそうな問題を解いていきます。
 「状態変化なんてイヤ!ましてや密度も一緒に出てくるなんて・・・」と嘆いているあなた。
 そうです。そこのあなたです。
 心配は無用です。
 なぜなら
ここでの密度は計算をしなくても良い
からです。
「計算なしでどうやって解くの?」
と思う人もいるかもしれません。
 それは・・・・
 解説で説明しますね。
 それでは問題です。

問題3 下の図のように、3つのビーカーA~Cを用意し、AとBには水を、Cには液体のロウを入れた。また、Aには氷を、BとCには固体のロウを入れた。この時、Cに入れた固体のロウだけが沈み、Aに入れた氷とBに入れた固体のロウは浮かんだ。次の問いに答えなさい。

(1)固体がとけて液体になるときの温度をなんと言いますか。
(2)水、液体のロウ、氷、固体のロウのなかで、密度が最も大きいのは何か。
(3)Cの液体のロウが冷えて固体になった時の様子を下の図に書きなさい。


どうでしょうか?
「密度が難しい」と思うでしょうか?
自分で解いてから解答と解説を読みましょう。
それでは解答と解説です。
【解答】
(1)融点
(2)水
(3)

【解説】
(1)固体から液体に状態変化する時の温度を「融点」と言います。
 「そろそろこの問題も飽きたよ」という声が聞こえてきそうですね。(笑)
(2)ここでの密度の大小は
浮くか沈むか
で判断することができます。
沈むものの方が密度が大きい
と覚えておきましょう。
それでは、実験の結果から密度を考えていきましょう。

まず、Aのビーカーでは水に氷が浮かんでいるので
水の方が氷よりも密度が大きい
ことがわかります。
Bのビーカーでは固体のロウが水に浮かんでいるので、
水の方が固体のロウよりも密度が大きい
といえます。
Cのビーカーでは、固体のロウが液体のロウの中に沈んでいるので
固体のロウの方が密度が大きい
ことがわかります。
ここまでをまとめると
水>氷、水>固体のロウ、固体のロウ>液体のロウ
なので、この中で密度が最も大きいのは「水」になります。
なお、今回の実験では氷と固体のロウではどちらが密度が大きいかわかりません。
私が全国学力学習調査を作るとしたら、この部分を問題にするでしょう。
そして答えは「これらの実験ではわからない」です。
意地悪問題でしょ?
(3)液体のロウが冷えて固体になると体積が小さくなります。
この時、
へこむのは入れ物の真ん中
です。
だから、上のような図になります。

いかがでしたか?
「考え方がわかったら、思ったよりも難しくない」と思えたらしめたものです。
もう少し頑張れば、自分で解けるようになるでしょう。

それでは、仕上げの4問目です。

問題4 物質の状態変化と密度を調べるために、実験1〜3を行った。次の問いに答えなさい。
<実験>
① 固体のロウ50.0gをビーカーに入れ、ゆっくりと加熱した。全て液体になった状態でビーカーごと質量を測った。
② 図のように、①で液体になったロウの液面の高さに印をつけた後、ビーカーを冷やしてロウを固体にした。全てのロウが固体になってから、質量をはかった。
③ 水50.0gを入れたビーカーに、固体のロウ5.0gを入れたところ、固体のロウは水に浮かんだ。
(1)実験②で、ロウが固体になった時の断面の様子を図に書きなさい。

(2)実験②で、ロウが液体から固体に変わる時、質量と体積はどうなりますか。それぞれについて説明しなさい。
(3)実験①〜③から、「固体のロウ」「液体のロウ」「水」を密度の大きいものから順に並べなさい。

「あれ?さっきも同じような問題を見たぞ」と思えましたか?
理科は似たような問題をたくさん解くことで、実力がアップしていきます。
それでは解いてみてください。

解答と解説です。
【解答】
(1)

(2)質量:変化しない
体積:小さくなった
(3)水 固体のロウ 液体のロウ
【解説】
(1)問題3の(3)と全く同じ問題です。
(2)状態変化するときは「質量は変化せず」「体積が変化」します。
なお、一般的な物質の体積は
固体<液体<気体
となります。
ただし、水は例外で
液体<固体<気体
となります。
テストによく出るので注意しましょう。

いかがでしたか?
「少しは自信が出てきた」
と思えたでしょうか?
同じような問題を繰り返しといて、理科を得意になりましょう!
次回は「蒸留」の問題を解いていきます。

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