• ”いやになる”ほど理科を勉強して、いやに”なるほど”理科が納得できるサイトです

生物の変化~実は当たり前ではない?ダーウインが考えた進化論~

アンケートモニター登録
「地球上の生物はどのように進化していったの?」
「身のまわりで見られる進化の跡にはどのようなものがあるの?」
「動物園で見ることができる進化ってあるの?」

という疑問を持つ中学生の疑問を解決します。
こんにちは。頭文字(あたまもんじ)Dです。
中学生に勉強を教えてかれこれ25年以上の理科教育のスペシャリストです。その経験を活かして、「授業を聞いても理科がわからない人」を「なるほど、そういうことだったのか」と納得してもらうためにこの記事を書いています。
本記事の内容
①ダーウインが提唱した進化論とは何か?
②身のまわりで見られる進化の証拠(イかとタコとカイと・・・)
③動物園で見られる進化の証拠~動物園ではここも見てみよう!~
④博物館で見られる?進化の証拠

なお、進化と関係の深い遺伝についての説明はこちらで行っています。ぜひご覧ください。
遺伝の法則~メンデルの実験と遺伝の法則・いろいろな生物に共通する生物学の3大発見の1つ~
遺伝の法則②~色々な生物や形質でメンデルの法則を応用してみよう~
それでは、詳しい説明を書いていきます。

1 実は当たり前ではない ダーウインの進化論

最初に、言葉を覚えましょう。
進化・・・長い年月を経て、代を重ねるうちに生物の形や性質が変化していくこと
「進化なんて知っているよ。当たり前のことじゃん。」という人も多いでしょう。一般的にもよく使われる言葉です。
しかし、世界的に見てみると「当たり前」とは言えないのです。
ダーウインがいた200年前の話ではありません。現代の話です。
その理由として、宗教上の理由があげられます。
例えば、キリスト教では次のような教えになっています。
地球上のすべての生物は神様がつくった。だから、ウマは最初からウマだし、ヒトは最初からヒトである。生物の形や性質が変わるということはない。
最初に覚えた「進化」の説明と照らし合わせて考えてみてください。
内容が全く逆になっていることがわかります。
ローマ法王ヨハネ・パウロ2世(キリスト教で一番偉い人)がダーウインの進化論を認めたのが1996年のことです。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/0000/1125/
意外と最近のことだと思いませんか?
アメリカの一部の地域では、学校教育の中で進化論を教えることを認めていないこともあるようです。
そうすると、「ダーウインの進化論は世界中の当たり前ではない」といえます。
ダーウインが進化論を提唱するきっかけとなったのが、ビーグル号にのって世界中を旅したことです。
帰国後、同じ種の個体の間の形や性質をまとめていく中で、同じ種でも形質が違うことがあることに気づき、生物は進化していると結論しました。
そして、「種の起源」という本で発表しました。
余談ながら、ダーウインは世界中を回る中で特に、ガラパゴス諸島に独特の生物が多かったことが大きく影響していました。
「ガラケー」の「ガラ」は「ガラパゴス諸島」の「ガラ」です。(正しくは、「ガラパゴス携帯」の略)
日本で独特の進化を遂げた携帯電話
という意味です。

ガラケー03

理科にはまったく関係のない話でした。(笑)

2 イカとタコとカイを解剖(調理)すると進化が見える

それでは、家の中でも観察することができる進化を紹介します。
用意するのは
イカ
タコ
カイ(貝殻がついていればどのカイでもよい)

です。
一度に用意するのが大変であれば、別の日に行ってもかまいません。
1年生の時の学習(現中学3年生は2年生の時の学習)で、「イカとタコとカイは軟体動物であり、同じ種類の動物」と習ったはずです。
イカとタコはイメージしやすいのですが、カイの形は大きく違っています。
どうして同じ種類の動物をいえるのでしょうか?
1年生の時には、「外とう膜があるから」という共通の性質を教わりました。
今回は、「イカとタコとカイの違い」に注目することで、進化の跡を見てみましょう。
まずは、カイです。

Miriam BladaによるPixabayからの画像
解剖(調理)するまでもなく、固い殻に覆われています。殻の中にやわらかい外とう膜があります。
次にイカです。イカの体を解剖して(さばいて)みましょう。

たまに「イカには背骨がある」という人がいます。
どうしてかというと、イカの体の中に長い骨のようなものがあるからです。
実は、これはカイでいう殻にあたります。
つまり、体の外に殻をもつのがカイで、殻の外に体があるのがイカなのです。
もちろん、イカも最初から殻の外に体があったのではありません。(それだと、殻の意味が・・・)
イカの祖先はオウムガイやアンモナイトのような形をしていたと考えられます。
それが、いつからか殻の外側に外とう膜などの体をもつものに進化していき、逆に殻の部分は退化していったと考えられます。
なお、イカの殻のように退化していって、本来の役割を果たせなくなった器官を”痕跡器官”と呼びます。
体を外に出した理由については、「泳ぎやすくするため」とか「脳を大きくするため」などの説があります。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%B2_(%E9%A0%AD%E8%B6%B3%E9%A1%9E)
さらに、タコを解剖(調理)してみましょう。

タコには骨のようなものはありません。
実は、昔はタコもイカのように殻に覆われていたと考えられています。そして、イカのように殻の外に体を出していったと考えられています。
ただし、タコはイカよりも進化していて殻はすでに退化してなくなってしまったと考えられているのです。

3 動物園で見られる進化の証

みなさんは、動物園に行ったら何を見るでしょうか?
ライオンでしょうか?キリンでしょうか?ペンギンでしょうか?それとも・・・・
動物園に行くと見ることができる進化の証拠を紹介します。
まずは、ペンギン。

ご存知の通り、ペンギンは空を飛ぶことができません。
しかし、昔のペンギンの祖先は空を飛ぶことができたと考えられています。
その理由は今もよくわかっていませんが、海の中を泳いだり、深く潜ったりできるような体になるために、空を飛ぶ力を失ったと考えられています。
今度動物園でペンギンを見る機会があったら、水の中を泳いでいる姿を見てみましょう。
ペンギンは鳥ですが、上手に泳ぐことができます。

続いて、見てほしいのは「動物博物館」または「動物資料室」(動物園によって呼び方が変わります)です。
「動物博物館って何?」という人も多いでしょう。
読んで字のごとく、動物園の動物にかかわる資料が展示してあるスペースです。図書館が併設されているところもあります。
この動物博物館や動物資料室には、過去に動物園に住んでいたけれど、死んでしまった動物の毛皮や骨が展示されています。
ここで、「動物の手の骨」を見てみましょう。
カエル、フクロウ、ゴリラなどの動物の骨を見比べていくと、大きさや使われ方は違うけれど、基本的なつくりが同じことがわかります。

ゴリラの骨格

エゾクロテンの骨格

アズマヒキガエルの骨格

フクロウの骨格

これは、もともと同じであったものが進化していったためです。
このように「現在の見かけの形やはたらきは違うけれど、基本的なつくりが同じで、もとは同じものであったと考えられる器官を”相同器官”」といいます。
動物園に行ったのであれば、ぜひ動物博物館に足を運び、相同器官を見比べてください。
ちょっと発展的な内容になりますが、トリの羽と昆虫の羽は使われ方はほとんど同じですが、基本的なつくりが大きく違います。
トリの羽は、前足が進化していったものに対し、昆虫の羽は皮膚が進化していったものです。
このように「現在のはたらきや役割は同じだけれども、もとは違ったと考えられる器官を”相似器官”」といいます。

4 博物館で見られる進化の証

東京の上野公園の一角に、国立科学博物館があります。
非常に大きな博物館で、恐竜の化石の展示などがあります。
写真は、北海道で発見された恐竜の化石「むかわ竜(カムイサウルス)」です。

ちなみに、立っている方がレプリカで、下の方においてあるのが本物の化石です。
昔は、「恐竜は白亜紀の後半に地球に落ちた隕石によって絶滅した」と考えられていました。
しかし、今は違います。
恐竜は現代にも生きている
のです。
正確にいうと
恐竜の子孫は、現代にも生きている
となります。
なぜかというと、最近(といっても何十年も前からですが)
恐竜の特徴と鳥類の特徴を持つ化石が多数発見されている
からです。
昔は、「始祖鳥」と呼ばれる動物の化石しかありませんでした。
だから、「恐竜は鳥類に進化した」というには、ちょっと説得力がありませんでした。
しかし、今は違います。
始祖鳥以外にも、恐竜と鳥類の両方の特徴をもった動物の化石がたくさん見つかっているからです。
なかには、恐竜に羽毛が生えていたことがわかる化石もあります。
そのため、現在では
恐竜は鳥類に進化した
というのが通説になっています。
博物館では数年に一度の割合で「恐竜から鳥類への進化」について取り上げるイベントがあるので、開催されたならぜひ行ってみましょう。

いろいろな恐竜の化石が、進化順に見ることができます。
何よりも、恐竜の化石の本物を見ることは、それだけで楽しいですから。
今日はここまでとします。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。