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酸とアルカリの反応~酸とアルカリを混ぜるとどちらの性質も無くなる?なぜ???に答えるブログ~

「酸性の水溶液とアルカリ性の水溶液を混ぜるとどうなるの?」
「酸とアルカリを混ぜると中性になるのはなぜ?」

と悩んでいないでしょうか?
 実は、酸性水溶液とアルカリ性水溶液を混ぜたときの変化を苦手としている中学生は多いのです。
 また、塩酸に水酸化ナトリウム水溶液を混ぜてBTB液を緑色にする実験(中和の実験)を行いますが、緑色にするのに苦労する中学生は多いです。
 酸性とアルカリ性を混ぜたときの反応についてわからない人へおすすめの記事となっています。

 私は、25年以上中学生に理科を教えています。
 その中で、「どうしたら中学生が少しでも理科がわかるようになるのか」について研究しています。
 最近では、作成した教材がある教材コンクールに入賞しました。
 この教材については、また今度紹介します。
 この記事では、酸性とアルカリ性の水溶液を混ぜたときの反応がわかりやすいように書いています。
 また、中和の実験でBTB液をうまく緑色にする方法も紹介しています。
 この記事を読み終えるときには、酸性とアルカリ性の水溶液を混ぜたときの反応について理解できるようになっているでしょう。
 今までわからなかった酸性・アルカリ性について、「なるほど、こういうことだったのか」と納得できれば、大きな自信となって理科が好きになるでしょう。
 この記事を読んで、「”いやになる”理科」から、「いやに”なるほど”理科」にしましょう。
本記事の内容
①酸性水溶液に、アルカリ性水溶液を混ぜる実験をやってみよう
②水素イオン(H+)と水酸化物イオン(OH)を混ぜると中和が起る理由
*青(水色)で書いてある文字や数字は、上に小さく書く文字や数字です。
③中和すると塩(えん)ができる
④中和反応の利用

 それでは、詳しい説明です。

1 酸性水溶液とアルカリ性水溶液を混ぜる実験(中和の実験)を成功させる2つのコツ

 それでは、実験をやってみましょう、。
 最初に塩酸10mLを計り取ります。
 このままでもいいのですが、水で薄めた方が実験がやりやすいので、蒸留水を少々入れます。さらに、BTB液を入れると、黄色になります。
 この塩酸に、うすい水酸化ナトリウム水溶液を入れます。
 ここで、一気に入れてしまうとあっという間に青くなって実験が失敗します。
 だから、ちょろちょろと入れていきましょう。
 そして、水酸化ナトリウム水溶液がだいたい10mLくらいになったら(濃度によって変わりますが)ポタ…ポタ…と、1滴ずつ入れてはかき混ぜるようにしましょう。
 そして、
BTB液の色が緑色になったら終了
します。
 言葉で書くととても簡単ですが、やってみると
緑色で止めるのが非常に難しい
のです。
 「色が変わった!」と思ってもかき混ぜると黄色に戻ったり、「まだ大丈夫!」と思っても1滴で真っ青になってしまうことも多いです。
 ここで、実験のコツを2つ紹介します。
 1つ目は
そろそろ緑色になると思ったら、半滴ずつ入れる
ことです。
 「半滴」の入れ方は、
ピペットに水滴を落ちない程度でまるく作り、ガラス棒を伝わらせて入れる
のです。
 やってみると、けっこう簡単にできます。
 もう1つのコツは
真っ青になったら、1~2滴塩酸を入れてしまいましょう。
 大学生が行う実験では、絶対にNGですが、中学生ならまぁ大目に見てもらえるでしょう・・・。たぶん・・・。
 50分の授業でやらせるのであれば、「青になったからもう一回。最初から・・・」だと、実験が終わらない班が出てくるので、仕方ありません。
 それでは、実験の様子をご覧ください。

2 酸とアルカリを混ぜると、H+とOHが結びつく

 それでは、酸性とアルカリ性水溶液を混ぜるとどうなるのかを考えていきましょう。
 例として、実験で行った
塩酸(塩化水素の水溶液)と水酸化ナトリウム水溶液を混ぜたとき
について考えていきましょう。
 まずは、塩酸です。
 塩化水素は、水に溶けると電離して、水素イオン(H+)と塩化物イオン(Cl)に分かれます。
HCl → H+ + Cl
 続いて、水酸化ナトリウムは、水に溶けると電離して、ナトリウムイオン(Na)と水酸化物イオン(OH)に分かれます。
NaOH → Na + OH
 ここで、静電気で学習した内容を思い出してみましょう。
+の電気とーの電気はひきつけあう力がはたらく
 これは、イオンでも同じことがいえます。
 つまり、
塩酸の中にある陽イオン(H+)と水酸化ナトリウムにある陰イオン(OH)はひきつけあう
のです。
 そして
H+とOHが結びつくと、水分子(H2O)
になります。
*赤字で書いた数字は、下に小さく書く数字です。
 このように、水素イオン(H+)と水酸化物イオン(OH)が結びつく反応を
中和
といいます。
 この言葉は絶対に覚えておきましょう。
 ここで、水溶液の中にはまだ陽イオンと陰イオンが残っていることに注意しましょう。
ナトリウムイオン(Na+)と塩化物イオン(Cl
です。
 これらのイオンも+の電気とーの電気なのでひきつけあっています。
 しかし、水の中にあるとひきつけあうと同時に電離するので、水の中ではNa+とClの状態になっています。(いわゆる”食塩水”です)
 どのようなときにNa+とClが結びつくかというと、
水が蒸発して、解けきれなくなった(電離できなくなった)とき
です。
 実験で、緑色(中性)になった水溶液の水を蒸発させたときに、白い結晶が残ったのは、解けきれなくなった食塩が出てきたからです。
 食塩のように、
酸の陰イオンとアルカリの陽イオンが結びついた物質を塩(えん)
といいます。
 読み方に注意しましょう。
 理科で、「塩」という字を書いた時は「えん」と読むのです。
 塩酸と水酸化ナトリウム水溶液を混ぜたときの塩(えん)は食塩ですが、中和では必ず食塩ができるとは限りません。
 その他の塩(えん)ができていることもあるので、
塩(えん)と食塩は全く別のもの
と理解しておきましょう。

3 こんなところに使われている中和反応

 中和反応は結構いろいろなところで使われています。
 有名なところでは、胃のレントゲン撮影をするときに使う「バリウム」です。
 正式名称を「硫酸バリウム」と言います。
 硫酸バリウムは、次のような反応で硫酸と水酸化バリウムからつくられます。
H2SO4 + Ba(OH)2 → 2H2O + BaSO4
 ちなみに、胃のレントゲンを撮影する時に「バリウム(硫酸バリウム)」を飲むのは、
胃袋を膨らませるため
です。
 そして、バリウム(硫酸バリウム)はそのままにしておくと胃の中で固まって(イメージとしては石こうを飲み込んだような状態)しまうので、バリウム(硫酸バリウム)を飲んだ後は、下剤を飲んで固まる前に便として出します。
 胃のレントゲンをとったことがある人は中学生にはあまりいないでしょう。
 将来、健康診断などで胃のレントゲンを撮影することがあったら、思い出してください。
 もう一つは、乾燥材や融雪剤に利用されている塩化カルシウム(CaCl2)です。
 塩化カルシウムは次のような化学変化で塩酸と水酸化カルシウムからつくられます。
2HCl + Ca(OH) → CaCl2 + 2H2O
 このようなところに、中和反応は使われているのです。
 今日はこれで終わりにします。
 次回からは、化学電池とイオンについて説明していきます。

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