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電流と電圧の関係(オームの法則)①~電圧・電流・抵抗の関係は、ペットボトルの水でバッチリ~

・オームの法則についてわからない
・電圧と電流の関係がわからない
・「電圧」「電流」「抵抗」って何かわからない

という悩みを解消します。
 こんにちは。頭文字(あたまもんじ)Dです。
 中学生に勉強を教えてかれこれ25年以上になります。その経験を活かして、「授業を聞いても理科がわからない人」を「なるほど、そういうことだったのか」と納得してもらおうとこの記事を書いています。
 今回は、中学2年生理科 電流分野から、「電流と電圧の関係(オームの法則)」について説明します。

1 電圧を変えて電流を測定してみよう

 ではさっそく、実験をしてみましょう。
 今回の実験の目標は、電圧を変えて電流を測定することです。
 電圧を変えるには、今まで電池の数を変えていましたが、今回の実験では非常にやりにくいです。
 そこで、今回は電池の代わりに、電源装置を使ってみましょう。なお、電源装置の回路用図記号は電池とまったく一緒です。「電圧をかける」という意味ではどちらも同じ装置と考えることができるからです。
 また、電球ではなく、「電熱線」を使います。これは、電球では強い電圧をかけるとフィラメントが切れてしまうからです。もっとも、電熱線も長時間電流を流し続けると熱くなって危険なので、短時間で実験を終えるようにしましょう。
 では、実験の回路図です。

 電流計は直列つなぎ、電圧計は並列つなぎでつなぐことがポイントです。
 回路図のように組み立てると次のようになります。(デジタルの電圧計と電流計を使っています)

 また、電熱線は2種類くらい用意すると良いでしょう。10オームと20Ω、30Ωくらいがちょうど良いと思います。
 この状態で、電圧計の電圧(必ず、電圧計の目盛りを読みましょう。電源装置の電圧で実験をしないように注意です。)を0V、1.5V、3.0V、・・・と変えていきます。
 実際に実験はできないけれど、パソコンで良いのでやってみたい人には、こちらのサイトをおすすめします。PhETというサイトですが、バーチャルで実験ができる素晴らしいサイトです。
https://phet.colorado.edu/sims/html/circuit-construction-kit-dc-virtual-lab/latest/circuit-construction-kit-dc-virtual-lab_ja.html
 実験を行うと、次のような結果になります。
電圧(V)    0    1.5   3.0  4.5   6.0   7.5
電流
抵抗A(A)  0.00  0.15  0.30 0.45  0.60  0.75
抵抗B(A)  0.00  0.08  0.15 0.23  0.30  0.38
 この結果を見ただけでは、関係がいまいちわからないので、グラフにしてみましょう。
 次のようになります。

2 グラフから読み取る~比例であれば、比の計算ができる!~

 さて、皆さんはこのグラフからどのようなことを読み取れるでしょうか?
 最低でも、次の3つは読み取れるようになりましょう。
①どちらのグラフも原点を通っている
②どちらのグラフも直線になっている
③2つの抵抗で、傾きが違う

 この他にも読み取ってほしいことは色々あるのですが、教科書の内容を最低限理解するために必要なことをまとめました。
 ここから、電圧と電流の関係について考えていきます。
 まずは、①と②から
原点を通る直線のグラフである
ことがわかります。
 小学校のときの算数でこのような関係を習っていませんか?
 そうです。
電圧と電流は比例する
のです。
 このことは、ドイツの物理学者であったオームさんが発見しました。
 そのため「オームの法則」と呼ばれています。
 定義を確認しておきましょう。
オームの法則・・・電熱線などの金属線に流れる電流の大きさは、金属線に加わる電圧に比例する
 どんなに理科や電流が嫌いな人でも、「なんとなく聞いたことがある」くらい有名な法則なので、これは絶対に覚えましょう!
 オームの法則がなぜ素晴らしいのかというと
電圧と電流の比がわかれば、測定していない状態の事も予想できる
のです。
 次の例題1と例題2をやってみましょう。
例題1 3Vの電圧をかけると0.2Aの電流が流れる電熱線がある。この電熱線に6Vの電圧をかけると流れる電流は何Aか。
例題2 例題1の電熱線に10Vの電圧をかけると流れる電流は何Aか。小数第3位を四捨五入して、小数第2位まで求めなさい。

【解答】
例題1 3Vの電圧で0.2Aの電流が流れるので、3:0.2という比になる。
この電熱線に6Vの電圧がかかるので、
3:0.2=6:X
3X=0.2×6
X=0.4
答え 0.4A
例題2 先ほどの電熱線に10Vの電圧がかかるので
3:0.2=10:X
3X=0.2×10
X=2÷3
X=0.666666・・・・≒0.67A
答え 0.67A 
 いかがでしょうか?
 「こんなこと、学校では教えてくれなかった」と思った人はいませんか?
 おそらく、学校ではあまり教えてくれない解き方だと思います。だから、この解き方を知らない人も多いかもしれません。
 しかし、覚えておいた方が良いことがあります。
比例のグラフ(関係)であれば、比の計算で求めることができる
ことです。
 これは、電流と電圧の関係だけならず、フックの法則や定比例の法則でも同じことが言えます。
 はっきり言って、
比の計算ができれば、中学校理科の計算問題の6割くらいは解ける
と言ってもよいくらいです。

3 オームの法則①~電圧と電流の関係はペットボトルでイメージする~

 では、教科書では電圧と電流をどのように教えているのでしょうか。
 知ってのとおり、
”抵抗”という考えを取り入れて公式化
しています。
 公式化することで、計算を簡単にすることができます。
 しかし、同時にデメリットもあります。
 例えば次のように思う中学生は多いのではないでしょうか。
・”抵抗”って何?
・公式を覚えられない(なんで3つもあるの!)
・公式をどう使えばいいかわからない

 どうでしょう?皆さんはこのように思っていませんか?
 それでは、1つずつ解説していきます。
 最初に”抵抗について”です。
 教科書には次のように書かれています。
抵抗・・・電流の流れにくさの程度のこと
と書かれています。
 う~~ん、いまいちイメージしにくいですね。
 そこで、次のようなものを用意しました。

 なんてことない水の入ったペットボトルです。
 このペットボトルを横にします。当然、水が流れます。

 この
水の流れの勢いが電流
だと思ってください。
 次に、ペットボトルをさかさまにします。

 当然、先ほどよりも勢いよく水が流れます。
 この
ペットボトルの傾きが電圧
です。
 電圧が大きくなるとは、ペットボトルの傾きが大きくなることとイメージしておきましょう。
 なんとなく、これが比例の関係になっている気がしませんか?
 これで電流と電圧の関係がイメージできたと思います。

4 オームの法則②~”抵抗”はペットボトルの口をふさぐ範囲~

 それではいよいよ抵抗について説明していきます。
 さきほどのペットボトルにふたをつけます。
 ただし、普通のふたをしてしまうと水が全く流れなくなるので、ふたに穴をあけておきます。

 そのふたをしてペットボトルをかたむけてみましょう。

 先ほどよりも勢いは弱くなりますが、水は流れます。
 つまり、電圧は同じでも流れる電流は小さくなるということです。
 わかったでしょうか?
ふたの役割をしているのが”抵抗”
であることに。
 この説明だと非常にイメージしやすいと思います。
 ただし、注意点があります。
”抵抗”とは穴の大きさではなく、穴をふさいでいる部分の広さ
であることです。
 先ほど説明した”抵抗”の定義をもう一度見てみましょう。
抵抗・・・電流の流れにくさの程度のこと
 「流れにくさ」です。ペットボトル内の水を流れにくくしているのは「穴をふさいでいる部分」です。だから、抵抗が大きくなる(穴をふさぐ部分が大きくなる)と電流は流れにくくなるのです。

5 オームの法則③~グラフの傾きが違うのは、抵抗の違い~

 次に、「電熱線によってグラフの傾きが違うのはなぜか」について説明します。
 ズバリ言うと、
抵抗の大きさが違うから
です。
 先ほどのペットボトルの例でいうと、穴をふさいでいる部分が小さいものが「抵抗が小さい」状態、穴をふさいでいる部分が大きいものが「抵抗が大きい」状態です。
 「抵抗が小さい(穴をふさいでいる部分が小さい)」ものは傾きが大きくなるし、「抵抗が大きい(穴をふさいでいる部分が大きい)」ものは傾きが小さくなります。
 ちょっと複雑な説明になってしまいました。これを理解するには、自分の手で色々と動かしてみるのが一番だと思います。そこで、先ほども紹介したPhETから、次のサイトをおすすめします。「電圧」「電流」「抵抗」の大きさの関係を、視覚的に理解できる素晴らしいサイトです。
https://phet.colorado.edu/sims/html/ohms-law/latest/ohms-law_ja.html

6 オームの法則④~公式を覚えよう~

 最後に、オームの法則の公式を覚えましょう。
 学校では先生により色々な方法で覚えさせられたと思います。
 いろいろありすぎて、ここで全てを紹介するのは難しいです。
 私がおすすめする公式はこれです。
 E=IR(いいのは愛があるからだ)
 Eとは「電圧」の事(たぶんElectricity)です。
 Iとは「電流」の事(Intensity)です。
 Rとは「抵抗」の事(Resistance)です。
 なんとなく、言葉がかっこいいのでこの方法で覚えています。
 次回は、この公式を使って計算問題を解く方法を紹介していきます。

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