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メンデルの法則の応用問題~応用問題を解く秘訣は、遺伝の図が書けることと、文章を読み解く力!!~

 「高校入試では、メンデルの法則はどのように出されるのか」
 「応用問題がどのように出されるのが知りたい」
 「メンデルの法則の何を勉強しておけばいいの?」

という疑問を持つ中学生の疑問を解決します。
 こんにちは。頭文字(あたまもんじ)Dです。
中学生に勉強を教えてかれこれ25年以上の理科教育のスペシャリストです。その経験を活かして、「授業を聞いても理科がわからない人」を「なるほど、そういうことだったのか」と納得してもらうためにこの記事を書いています。
本記事の内容
①メンデルの法則を使った問題 入試レベル1
②メンデルの法則を使った問題 入試レベル2
③メンデルの法則を使った問題 入試レベル3(最難関問題)

それでは、実際の問題を解いて、実践力を高めていきましょう。

1 メンデルの法則を使った問題 入試レベル1

それでは、問題です。
(問題1)
 次の実験について、問いに答えなさい。
① 丈が高いエンドウの純系と、丈が低いエンドウの純系同士をかけ合わせた。このとき、できたエンドウの丈は全て高かった。
② ①でできた種子を自家受粉させると、丈の高いエンドウと低いエンドウが合わせて100個できた。
③ ある丈の高いエンドウと、丈の低いエンドウをかけ合わせると、丈が高いエンドウと低いエンドウが1対1の割合でできた。
④ ③でできた種子を全て自家受粉させると、丈の高いエンドウと低いエンドウの両方ができた。
ただし、丈の高いエンドウの遺伝子を「A」、低いエンドウの遺伝子を「a」とする。

(1) ①で、どちらか一方の形質のみが現れた。この現れた形質を何というか。
(2) ②で、丈の低いエンドウの数はいくつか。もっとも近いものの記号を選びなさい。
ア 70個  イ 50個  ウ 33個  エ 25個
(3) ③で、かけ合わせに用いた丈の高いエンドウと、丈の低いエンドウの遺伝子の組み合わせを「A」「a」を用いてそれぞれ書きなさい。
(4) ④で、丈の高いエンドウと低いエンドウの数は、およそ何対何になりますか。

 それでは、解いてみましょう。
 できる限り、ノートや何かの紙に答えを書きましょう。
 けっこう難しい問題なので、おそらく、頭の中だけでできる人は、ほとんどいないと思います。
 それでは、解答と解説です。
【解答】
(1)顕性形質(優性形質)
(2)エ(250個)
(3)丈が高いエンドウ「Aa」 丈が低いエンドウ「aa」
(4)高い:低い=3:5

【解説】
(1)子に現れる形質なので顕性形質です。
   また、昨年度までは有性形質と言っていましたのでこちらも正解です。。
(2)親が「AA」「aa」の純系の掛け合わせなので、子は「Aa」となります。「Aa」の子が自家受粉したので丸:しわ=3:1になります。(詳しくは、下の図を見てください)

 全部で約100個できているので、丈の低いエンドウは4分の1の25個となります。
(3)高いものと低いものが1:1でできているので、親は「Aa」と「aa」になります。
 詳しくは、こちらの記事で紹介した「応用問題」をご覧ください。
遺伝の法則②~色々な生物や形質でメンデルの法則を応用してみよう~
(4)③でできたエンドウの種子の遺伝子は「Aa」と「aa」です。
「Aa」を自家受粉させると「高い・高い・高い・低い」となります。
「aa」を自家受粉させると「低い・低い・低い・低い」となります。(生殖細胞の組み合わせは4とおりであることに注意!)
 よって、「高い:低い=3:5」となります。

 いかがでしょうか?
 けっこう難しかったと思います。
 でも、もう少し難しい問題もあるので、紹介します。
<問題2>
 種子が黄色の純系のエンドウの花粉を、種子が緑色の純系のめしべに受粉させたところ、できた種子(子の代)はすべて黄色い種子であった。
 次にその黄色い種子をまいて育てたエンドウを自家受粉させると、できた種子(孫の代)は黄色い種子が5500個と緑色の種子が1800個であった。

(1)エンドウの種子を黄色くする遺伝子を「A」、緑色にする遺伝子を「a」としたとき、黄色い種子をつエンドウの精細胞の遺伝子はどのように表すことができるか。
(2)種子を黄色くする遺伝子を「A」、緑色にする遺伝子を「a」にしたとき、実験でできた子の代の種子の遺伝子はどのように表すことができるか。
(3) 子のエンドウを自家受粉してできた種子(孫の代)について説明したものとして、正しいものをア~エからすべて選びなさい。
ア 種子の形質は2種類であり、遺伝子の組み合わせも2種類である。
イ 約半数の種子は、遺伝子の組み合わせが子のエンドウと同じである。
ウ 丸い種子の数は、しわのある種子の約3倍である。
エ 同じさやの中にある種子の色は、必ず同じになる。
(4) この実験とは別に、エンドウをかけ合わせる実験をしたとき、子の形質として黄色い種子と緑色の種子が1:1で現れた。この時の親の遺伝子の組み合わせはどのようになっているか。

 ではまた、よ~~~く考えてみてください。
 それでは、解答と解説です。
【解答】
(1) A
(2) Aa
(3) イ ウ
(4) Aaとaa

【解説】
(1) 精細胞なので遺伝子の数は半分になる。親は「AA」という遺伝子の型なので、それを半分にした「A」となる。
(2) 子の遺伝子型は、親から「A」と「a」の遺伝子を受け継いでいるので、「Aa」となる。
(3) この手の選択問題は、読点で区切って、それぞれ正しいかどうかを確認していくとよい。
ア 種子の形質は2種類であり→〇、遺伝子の組み合わせも2種類である。→×、3種類である。
イ 子の代の遺伝子の型は「Aa」、孫の代の遺伝子の型は「AA」「Aa」「Aa」「aa」となる。よって、4個中、2個が親と同じ遺伝の型となる。
ウ 黄色い種子:緑の種子=3:1(詳しくは下の図を見てください)なので、3倍になる。

エ 同じさやの中にある複数の種子は→判断不能、必ず同じ形質である→×
(4) 子の代が「黄色:緑色=1:1」となるので、親の遺伝子型は「Aa」と「aa」となる。
 難しかったでしょうか?
 でも、今日はもう一段階難しい問題もやってみましょう。
<問題3>
①赤色の純系のマツバボタンのめしべに、白色の純系のマツバボタンの花粉をつけてできた子は、すべて赤色だった。
②①でできた赤色のマツバボタンを自家受粉させると、赤色と白色のマツバボタンが咲いた。
 ただし、マツバボタンの花の色の遺伝は、メンデルが発見した遺伝の法則にのっとり、顕性形質になる遺伝子をA、潜性形質になる遺伝子をaで表すものとする。

(1)どちらか一方しか現れない形質を何と言いますか。
(2)対になって存在する遺伝子が、減数分裂のときに分かれて別々の生殖細胞に入ることを何と言いますか。
(3)①でできた子の遺伝子の組み合わせを答えなさい。
(4)②でできた孫の遺伝子の組み合わせを全て答えなさい。
(5)②でできた孫の中から白色のマツバボタンを取り除き、赤色のマツバボタンだけを全て育て、それぞれ自家受粉させると、赤色と白色のマツバボタンができた。このときできたマツバボタンの赤色と白色の数の比を、簡単な整数比で書きなさい。

 (1)(2)はこれまでの問題を解いていれば、問題なく解けると思います。
 (3)(4)がわからなかったら、こちらの記事を読んでください。
 (5)が難しいですね。特に、問題文の意味が読み取れないと絶対に解けないので、注意深く読みましょう。
 それでは解答と解説です。
【解答】
(1)顕性形質
(2)分離の法則
(3)Aa
(4)AA、Aa、aa
(5)赤:白=5:1

【解説】
(1)(2)はこれまでの記事をご覧ください。
(3)「AA」という親と「aa」という遺伝子型の親が交配したので、「Aa」となります。
 詳しくはこちらの記事をご覧ください。
遺伝の法則~メンデルの実験と遺伝の法則・いろいろな生物に共通する生物学の3大発見の1つ~
(4)「Aa」の遺伝子型を持つ子が自家受粉するので、孫の遺伝子型は「AA(赤)」「Aa(赤)」「aA(Aa)(赤)」「aa(白)」となるので、答えは「AA」「Aa」「aa」となります。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
遺伝の法則~メンデルの実験と遺伝の法則・いろいろな生物に共通する生物学の3大発見の1つ~
(5)②の実験でできた孫の遺伝子型は「AA」「Aa」「Aa(aA)」「aa」となります。この中で、赤色のマツバボタンの遺伝子は「AA」「Aa」「aA(Aa)」の3つとなる。
「AA」のマツバボタンの子は「AA(赤)」「AA(赤)」「AA(赤)」「AA(赤)」
「Aa」のマツバボタンの子は「AA(赤)」「Aa(赤)」「Aa(赤)」「aa(白)」
「Aa」のマツバボタンの子は「AA(赤)」「Aa(赤)」「Aa(赤)」「aa(白)」
となる。
つまり、「赤:白=10:2」となり、
赤:白=5:1
となる。
 いかができたか?
 簡単な問題は、単純な暗記問題ですが、難しい問題を解くにはコツがあります。
 メンデルの遺伝の法則の図が書けることが前提ですが、もう一つ、必要な力があります。
問題文を読み解く力
 問題文を読み解く力を高めるには、
同じような問題を読んで、何が同じで何が違うのかを比べる
ことです。
 次回も、メンデルの遺伝の法則の応用問題について解説するので、ご覧ください。

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