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塩化銅の電気分解・塩酸の電気分解~電解質の水溶液に電流が流れるとき、必ず何かの変化が起こっている~

 「イオンが全く分からないから、最初から詳しく解説してほしい」
「塩化銅の電気分解がわからない」
「塩酸の電気分解がわからない」
「来週(イオンの)テストがあるけど、何から勉強していいかわからない」

という疑問や要求を持つ中学生の疑問を解決します。
 こんにちは。頭文字(あたまもんじ)Dです。
 中学生に勉強を教えてかれこれ25年以上の理科教育のスペシャリストです。その経験を活かして、「授業を聞いても理科がわからない人」を「なるほど、そういうことだったのか」と納得してもらうためにこの記事を書いています。
 本記事の内容
①電解質と電気分解
②塩化銅の電気分解
③塩酸の電気分解

 それでは、詳しい説明を書いていきます。

1 電解質と電気分解

 前回は次の内容を学習しました。
電解質・・・水溶液になると、電流を通す物質
非電解質・・・水溶液になっても、電流を通さない物質

 そして「塩酸」「水酸化ナトリウム水溶液」「塩化銅水溶液」「エタノール水溶液」を用いて実験を行い、何が電解質なのか、非電解質なのかを調べました。
 詳しいことは、前回の記事をご覧ください。
電解質と非電解質~海の水は電気をよく通す?の理由 電気の通り方で物質を分類することができる~
さて、実験をしていく中で、電解質の水溶液が電流を流しているときには、水溶液の中で何かが変化していることに気づいたでしょうか?
 使った道具によっては、見えにくかったかもしれません。
 そのため、今回は、変化の様子がわかりやすいように、塩化銅と炭素棒を使って実験を行ってみましょう。
 なお、次のことを頭に入れておいてください。
電解質の水溶液に電流が流れるとき、電気分解が起こっている

2 塩化銅水溶液に電流を流す

 それでは、実験を行ってみましょう。
 最初に塩化銅水溶液をビーカーに入れます。
 そして、発泡スチロールを使って、炭素棒を2本立てて入れます。
 最後に、2つの炭素棒を電源装置につないで準備完了です。

この装置に、3Vくらいの電圧をかけて電流を流します。なお、赤い導線は陽極(+極)に、黒い導線は陰極(―極)につながっています。
その時の様子を観察してみましょう。(”理科ねっとわーく”さんからの動画です。実験動画では、H字型の電気分解装置を使っています)
https://rika-net.com/outline.php?id=00002057051f&top=1
 陰極の炭素棒には、赤い物質がつきました。
 薬さじでこすると、光沢が見られます。このことから、金属であることがわかります。
 赤い金属なので、
「銅(Cu)」
であることがわかります。
 続いて、陽極です。
 陽極では気体が発生しています。
 この気体のにおいを嗅いでみると、プールのにおいがします。
 プールのにおいがする気体なので、
「塩素(Cl2)」
であることがわかります。
(なお、2を下付きにする方法がわからないので、赤字で示しています。)
 塩化銅(CuCl2)に電流を流すと、陽極に塩素(Cl2)が、陰極に銅(Cu)ができるので、化学反応式は次のようになります。
CuCl2→Cu+Cl
 この化学反応式はよく出てくるので、よ~~~く覚えておきましょう。

3 塩酸に電流を流してみよう

 続いて、塩酸に電流を流してみましょう。
 水の電気分解のときに使った電気分解装置に塩酸を入れて電流を流してみます。

 実験のようすは、こちらの動画をご覧ください。(理科ねっとわーくさんの映像です)
(映像ではH字型の試験管を使っています。)
https://rika-net.com/outline.php?id=00002058031f&top=1
 陽極・陰極ともに気体が発生しています。
 よく見ると、陰極(ー極)側の気体の方が勢いがいいですね。
 陰極側にたまった気体に、火のついたマッチを近づけると、
ポンと音がします。
 このことから、
陰極側に発生した気体は水素
であることがわかります。
 また、陽極側の気体が溶けた水にインクを入れてみると、インクが脱色されます。
 また、においをかぐとプールのにおいがします。
 このことから
陽極側にたまった気体は塩素
であることがわかります。
 なお、本当は陰極側の水素と同じくらいの量の塩素が発生しているのですが、塩素は水に溶けやすいため、発生した直後から水に溶けていきます。
 だから、水素と比べると発生している量が少ないように見えるのです。
 それでは、この反応の化学反応式を書いてみましょう。
 なお、俗にいう「塩酸」とは「塩化水素の水溶液」のことで、化学式はHClで表します。
2HCl→H2+Cl2
となります。(赤い数字は下に書く数字です。)
 この化学反応式は、重要なのでしっかり覚えておきましょう。
 最後に、
 3年生で学習するイオンの単元とは異なりますが、電気分解と言えば水の電気分解も大切なので、ついでに復習しておきましょう。
水の電気分解の問題~難しい? ポイントは化学反応式が書けること~
 入試や実力テストに向けて、ワンセットで覚えておくと力がつきます。

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