こんにちは。頭文字Dです。
今日は、日本付近にある3つの気団について説明します。
日本の上空には「偏西風」という強い西風が吹いています。
ただし、偏西風はかなり上空を吹く風なので、その下ではいろいろな風が吹いています。
前回はこのいろいろな風のうち、海岸付近で吹く「陸風」と「海風」について説明しました。
今日説明するのは、偏西風よりも部分的だけれども、陸風・海風よりは広い範囲で吹く風の話です。「季節風」といいます。
ただし、すべてを一度に説明すると、長くなってしまってポイントがぼやけてしまいます。
だから、少しずつ話を区切って説明します。
今回は「日本付近にある3つの気団」について説明します。
まず最初に「気団」という言葉の意味を覚えましょう。
教科書には
空気のかたまりが長い時間同じ場所にあると、気温や湿度が一様(”同じような”という意味)な空気のかたまりができる。これを気団という
と説明されています。
教科書に書いてあるので、もちろん間違いはありません。しかし、少々説明不足という感じがします。
これから学習する内容に結びつくように説明を付け加えます。
気団とは長時間同じ場所にある(移動しない)高気圧のことである。高気圧なので、気団から風が吹き出す
この理解がとても大事です。
気団は高気圧で、気団から風が吹き出すことがわかると、これからの説明も理解しやすくなります。
それでは、さっそく、日本付近の気団の名前と特徴を覚えましょう。
覚える気団は3つです。
シベリア気団(シベリア高気圧)・・・シベリア上空にある気団。冷たくて、乾いている。冬に発達する。
オホーツク海気団(オホーツク海高気圧)・・・オホーツク海上空にある気団。冷たくて、湿っている。春から夏にかけて発達する
小笠原気団(太平洋高気圧)・・・小笠原諸島の上空にある。温かくて、湿っている。夏にかけて発達する。
先ほど、「気団とは高気圧」と説明しましたが、問題集によっては”気団”ではなく”高気圧”と書いてあるものもあります。(教科書はすべての教科書会社で”気団”と書いているはずです)どちらで書かれていても同じことだと思ってください。
特徴で特に大切なのは「冷たいか、温かいか」「乾いているか、湿っているか」です。覚えるのは苦手という人は、どうして冷たいのか温かいのか、乾いているのか湿っているのかを理解しましょう。
大雑把にいうと次のようになります。
北側にある気団は冷たく、南側にある気団は温かい
陸の上にある気団は乾いていて、海の上にある気団は湿っている
これだけです。
あ、そうそう、重要な言葉の意味を説明するのを忘れていました。
「発達」という言葉の意味です。
日常生活でも使う言葉ですが、理科で使う場合は若干意味が異なります。
理科で「発達(する)」というのは、「大きくなる」という意味
です。
例えば、「草食動物は臼歯が発達している」という文章の意味は「草食動物の臼歯は大きい」という意味です。
けっこう大切な説明だと思うのですが、この意味を説明してくれない先生もいると思います。どうしてでしょうか?
おそらく、理科の先生にとっては当たり前のことだからだと思います。自分にとって当たり前だから「説明しなくてもいいかな」(そもそもそれすら気付いていない?)となって説明しないで終わってしまうのです。
話がそれてしまいました。
とにかく、ここでは3つの気団の名前と特徴を覚えてください。そして、冷たい理由・温かい理由、乾いている理由・湿っている理由も理解しておきましょう。
それではもう少し気団について深く考えていきます。
気団にはそれぞれ発達する時期が決まっています。
どうして発達する時期が決まっているのかというと、「土は温まりやすく、冷めやすい。水は温まりにくく、冷めにくい」からです。
詳しくは前回の記事を読んでください。
ざっくりいうと
温まった方に上昇気流が生じ、低気圧になる
夏の昼間は陸上が温まり、陸上に低気圧ができる。だから、海から陸に向かって風が吹く(海風)
夏の夜は海が温かいので、海上に低気圧ができる。だから、陸から海に向かって風が吹く(陸風)
ということでした。
日本付近でも、陸風・海風のような現象が起こっているのです。
ただし、昼と夜ではなくて、夏と冬とで起こっています。それもユーラシア大陸と太平洋というとても大きなスケールで起こっているのです。
夏は、太陽からの日差しが強いのでユーラシア大陸が温まります。すると、ユーラシア大陸に上昇気流が生じて低気圧が発生し、南太平洋(小笠原諸島付近)上空に高気圧が発生します。
つまり、夏は小笠原気団が発達するのです。
また、
南側に高気圧があって北側に低気圧があるので、この気圧配置を南高北低といいます。
この「南高北低」の気圧配置が、夏の特徴となって南東から季節風が吹くのですが、詳しい話は次回にします。
今日は、
夏は小笠原気団が発達する
と覚えておいてください。
次に、冬について説明します。
冬は太陽からのエネルギーが弱いので、大陸は冷えていきます。
大陸が冷えるので、海の方が温かくなります。そのため、オホーツク海や太平洋の上空に上昇気流ができて低気圧ができやすくなります。
ということで、ユーラシア大陸の上空には高気圧であるシベリア気団が発達します。
日本列島から見ると
西側(ユーラシア大陸)に低気圧が、東側(オホーツク海)に低気圧があるので、「西高東低」の気圧配置
になります。
この「西高東低」の気圧配置が、冬の気圧配置の大きな特徴であり、北西の季節風が吹く原因なのですが、詳しい説明は次回にします。
ここでは、
冬はシベリア気団が発達する
と覚えておきましょう。
最後に、夏と冬の間の春と秋はどうなるのかを説明します。
ここで、海の上にはオホーツク海気団と小笠原気団の2つがあったことを思い出してください。
どちらも海の上にあるので、同じように温まったり、冷えたりします。
春と秋はこの2つの気団の勢力(強さ)が同じくらいになります。
2つの気団が同じくらいの勢力だったらどうなるのでしょうか?
ここで、「高気圧から風が吹き出す」ことを思い出してください。
北のオホーツク海気団からも、南の小笠原気団からも風が吹き出しています。しかも、同じくらいの強さで。
するとどうなるか?
同じくらいの強さの風がぶつかると、風は横(東西方向)にしか行けない
ことになります。
しかも、冷たいオホーツク気団と、温かい小笠原気団がぶつかるので、ぶつかったところに雲ができます。
だから、春や秋の雲画像を見ると太平洋上に東西方向に伸びた雲が見られます。2つの気団の勢力がほぼ同じなので、しばらくこの雲は存在して、じめじめと雨を降らせ続けます。
これが停滞前線です。
春から初夏にかけてできる停滞前線を「梅雨前線(ばいうぜんせん)」といい、秋にできる停滞前線を「秋雨前線(あきさめぜんせん)」といいます。
日本の1年間の天気を考えるときに、この3つの気団の特徴を理解することが絶対に必要になります。
少々長い説明になってしまいましたが、とても大切なことなので、しっかり理解しておきましょう。
力試しをしたい人は、こちらをお試しください。https://scratch.mit.edu/projects/456362045/