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直列回路と並列回路~簡単そうに見えて、つまずく人が多い最初の難関~

 この記事では、
・電流の問題を読んだときに何から考えたらよいかわかる
・直列回路と、並列回路を見分ける

ことができるようになります。
 こんにちは。頭文字(あたまもんじ)Dです。
 中学生に勉強を教えてかれこれ25年以上になります。その経験を活かして、「授業を聞いても理科がわからない人」を「なるほど、そういうことだったのか」と納得してもらおうとこの記事を書いています。
 今回は、中学2年生理科 電流分野から、「直列回路と並列回路」について説明します。

1 まずは、基本を理解しよう

 はっきり言います。
電流の問題が解けない人の50%は、「直列回路」「並列回路」がわからない
のです。
 ウソだと思うかもしれませんが、25年以上中学生に理科を教えてきた実感です。
 教科書の説明をもとに、直列回路と並列回路を覚えましょう。
直列回路・・・流れる電流の道筋が、1本だけの回路
並列回路・・・流れる電流の道筋が、2本以上ある回路

です。
 簡単だと思いましたか?
 そうです、これだけなら簡単です。
 ほとんどの中学生が1日で理解します。
 でも、ここで注意です。
教科書を読めていない中学生は多い
からです。
 いや、中学生だけではありません。大人だって、本当の意味で教科書を読めているかはあやしいです。
 ちょっとしつこいのですが、直列回路と並列回路の見分け方をもう少し詳しく説明します。
 下の図1,2を見てください。
図1

図2

 利き手の人差し指を出しましょう。
 次に人差し指を電池の+極におきましょう。(+極がどちらかについては、この後説明します。電池の記号の長い方の棒に指を置いてください。)
 そこからゆっくりと導線をたどっていってください。
 すると、図1は人差し指で1周することができました。
 電流が流れる道筋が1本だけだからです。
 だから「直列回路」です。
 しかし、図2はそうはいきません。
 どうしても電球の前でなぞれなくなります。
 電流の流れる道筋が2本以上あるからです。
 だから「並列回路」です。
 この方法で確認すれば、100%確実に「直列回路」か「並列回路」かを当てることができます。

2 問題を解いてみよう

 それでは、問題を解いてみましょう。
 下の図の回路が直列回路か、並列回路かを当ててください。








 正解は
   直列回路・・・ア、エ
   並列回路・・・イ、ウ
です。
 できましたか?

3 電気用図記号を覚えよう

 今まで、何気なく電気回路を図で書いていましたが、その図の意味について説明します。
 電気器具を図で表したものを「電気用図記号」といいます。
 また、電気用図記号を使って回路を表したものをMb>「回路図」といいます。
 最初に、電気用図記号を覚えましょう。
 中学校の段階で覚える必要がある電気用図記号は次の8つです。
電球

電池(電源装置)

*長い方が+極と約束されています。
スイッチ

*ちなみに、この図はスイッチが切れている状態です。
抵抗(電気抵抗)

電流計

*電流の単位はA(アンペア)やmA(ミリアンペア)が使われます。記号の中に単位が書かれています。
電圧計

*電圧の単位はV(ボルト)が使われます。記号の中に単位が書かれています。
導線が交わるが、接続していない場合

導線が接続している場合

 まずは、この電気用図記号を覚えましょう。

4 回路図を書けるようになろう

 最後に、電気用図記号を使って回路図を書いてみましょう。
 とりあえず、テストなどによく出てくる回路で練習してみましょう。
 下の写真を見て、回路図を書いてください。




 それでは解答です。




 ポイントがいくつかあります。
 1つ目のポイントが
導線は定規を使ってまっすぐに書き、直角に曲げる
ことです。
 実際の導線は曲がってしまいますが、図として美しく見やすくなるよう、直線と直角で書きます。
 2つ目のポイントは
電池がいくつあっても、記号は1つで表す
(ただし、電池の位置が離れている場合は、どこに電池があるかわかるように書きます)
ことです。
 これは、必要な電圧が小さい場合は電池をつなぎ合わせて使いますが、大きな電圧が必要になると、電池をつなぎ合わせるのが面倒になります。
 そこで、電源装置を使うのですが、電源装置であれば、つまみを回すだけでいくらでも大きな電圧をかけることができます。(もちろん、限界はありますけど)
 電池数個分の電圧が1つの機械で出すことができるので、電池がいくつあっても、記号は1つでまとめてしまうのです。
 3つ目のポイントは、
導線の接続を忘れずに書く
ことです。
 導線の接続とは
導線が枝分かれしているところ
です。
 だから、直列回路では必要ありません。
 並列回路を書くときに気を付けてください。
 導線が短くて継ぎ足した場合は、書く必要ありませんし、導線が電球や電流計につながっているときも書く必要はありません。

5 最終問題を解く

 最後に、前回紹介した最終目標問題、問題1の(1)と問題2の(1)を解いてみましょう。

電流の計算の攻略法~最初に「目標を確認すること」こそ最も大切~

 ここまで説明を読んだ皆さんなら、もうできますね。
問題1(1) 直列回路
問題2(1) 並列回路
です。
 今日の内容は比較的簡単だったかもしれません。
 しかし、電流の問題ではまず最初に確認することです。
 ここができないと、それ以降の問題はぜったいに解けません。
 直列回路なのか並列回路なのかを、必ず確認するようにしましょう。

コメント一覧

電流の計算の攻略法~最初に「目標を確認すること」こそ最も大切~ | いやになるほど理科2021年1月21日 8:29 PM / 返信

[…] 直列回路と並列回路~簡単そうに見えて、つまずく人が多い最初の難関~ 2回目 (3) 電流計の使い方 (4) 直列回路・並列回路に流れる電流 *問題1(2)、問題2(2) 3回目 (5) 電圧計の使い方 (6) 直列回路・並列回路にかかる電圧 *問題1(3)、問題2(3) 4回目 (7) 電圧と電流の関係①(オームの法則:実験編) 5回目 (8) 電圧と電流の関係②(オームの法則:計算編) *問題1(4)、問題2(4) 6回目 (9) 直列回路の全体の抵抗・並列回路の全体の抵抗 *問題1(5)、問題2(5) 7回目 (10) まとめと練習問題 こうしてみると、いかに長い道のりなのかがわかります。 しかし、次の言葉があります。 すべての道はローマに通ず 地道な積み重ねが大きな成果につながります。 がんばりましょう。 […]

「電流」「電圧」「抵抗」に関する応用問題①~応用問題は、順序だてて考えることで答えが見えてくる~ | いやになるほど理科~高校入試に向け、”わからない”が”わかる”に変わるサ2021年2月17日 11:46 AM / 返信

[…] 直列回路と並列回路~簡単そうに見えて、つまずく人が多い最初の難関~ (2)  図2のグラフを見ると、2.0Vの電圧のとき、0.1Aの電流が流れているので、E=IRに代入すると  2.0=0.1R  R=2.0÷0.1=20  よって答えは20Ωになる。 (3) (解法1:オームの法則を使う方法)  抵抗①には0.3A、抵抗②には0.1Aの電流が流れているので、全体の電流は0.4Aになる。電圧は6.0Vなので、E=IRに代入すると  6.0=0.4R  R=6.0÷0.4=15  よって答えは15Ωになる。 (解法2:和分の積の公式を使う方法)  抵抗①と抵抗②は並列つなぎなので、全体の抵抗は「和分の積」になる。  (2)で抵抗①は20Ω、問題文から抵抗②は60オームなので、 20×60    1200 ――――――=――――――=1200÷80=15 20+60    80  よって答えは15Ωになる。 […]

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