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酸性・アルカリ性の正体~笑っちゃうくらいうまくできる!電気泳動の実験のしかた~

 「酸性・アルカリ性ってどうして同じような性質があるの?」
 「イオンと酸性・アルカリ性の関係がわからない」

と悩んでいないでしょうか?
 また、
「電気泳動の実験がうまくできない」
と嘆いている先生はいないでしょうか?
 実は、酸性・アルカリ性の正体がわからない人は非常に多いのです。
 さらに悪いことに、酸性・アルカリ性の正体を調べるための「電気泳動」という実験は、定期テストや実力テスト・入試問題によく出てきます。
 しかし、この実験はかなりうまくいきません。
 だから、「先生、テストに出る実験だから、うまくやってよ」と言われている先生は多いと思われます。
 先生によっては教材会社から高い教材を買ったにもかかわらずうまくいかなかったり、「最初に言っておきますが、この実験はうまくできません」と言い切っている人もいるくらい(笑)です。
 今回紹介する実験は、どこの理科室にもあるものだけを使って、生徒がやっても50%位の確率でうまくいく実験方法です。
 (先生が何回か練習をして行えば、確率は限りなく100%に近くなります。)
 酸性・アルカリ性の正体に悩んでいる中学生や、電気泳動の実験がうまくいかない先生へおすすめの記事となっています。

 私(頭文字D)は、25年以上中学生に理科を教えています。
 その中で、「どうしたら中学生が少しでも理科がわかるようになるのか」について研究しています。
 最近では、作成した教材がある教材コンクールに入賞しました。
 (この教材については、また今度紹介します。)
 この記事では、酸性やアルカリ性の正体がわかるのように書いています。
 また、笑っちゃうくらいうまくできる「電気泳動」の実験のやり方も紹介します。
 この記事を読み終えるときには、酸性やアルカリ性の正体を理解できているでしょう。
 今までわからなかった酸性・アルカリ性について、「なるほど、こういうことだったのか」と納得できれば、大きな自信となって理科が好きになるでしょう。
 この記事を読んで、「”いやになる”理科」から、「いやに”なるほど”理科」にしましょう。
 本記事の内容
①理論(電離式)から考える酸性・アルカリ性の正体
②電気泳動の実験のやり方と結果
③酸性の正体は水素イオン(H+)である
④アルカリ性の正体は水酸化物イオン(OH)である

 それでは、詳しい説明をしていきます。

1 理論(電離式)から酸性とアルカリ性の正体を予想しよう

 今日の大きなテーマは
酸性の正体は何か
アルカリ性の正体は何か

です。
 酸性とアルカリ性の正体を考えるために、電離式を考えてみましょう。
 まずは、酸性の代表として「塩化水素の水溶液(塩酸)」を取り上げます。
 塩化水素(HCl)は水にとけると次のように電離します。
HCl → H + Cl
(上に小さく書く記号は青で書いています。)
 なお、電離についての説明は、こちらの記事をご覧ください。
 酸性・アルカリ性の性質について調べると、
酸性もアルカリ性も電解質
であることがわかりました。
 この実験の詳しい内容はこちらの記事をご覧ください。
酸性・アルカリ性に共通する性質~小学校のころから苦手な人が多い酸・アルカリも、語呂合わせでばっちりわかる!~
 酸性の水溶液が電解質であれば、
酸性の正体は電離したイオンである水素イオン(H)か塩化物イオン(Cl)のどちらか
であることがわかります。
 続いて、アルカリ性の水溶液の代表として、「水酸化ナトリウム水溶液」を取り上げます。
 水酸化ナトリウムは、水にとけて次のように電離します。
NaOH → Na + OH
(上に小さく書く記号は青で書いています。)
 塩酸のときと同じように、アルカリ性が電解質の水溶液であるならば、
アルカリ性の正体は電離したイオンであるナトリウムイオン(Na+)か水酸化物イオン(OH)のどちらか
であることがわかります。

2 実験(電気泳動)により、酸の正体を調べよう

 理論的に考えた後に、実験で酸性・アルカリ性の正体を調べてみましょう。
 「電気泳動」と呼ばれる実験です。
 電流が流れているろ紙の上に青色リトマス紙を置きます。
 その上に塩酸をろ紙にしみこませてのせると酸性の正体が移動した方向だけが赤色になります。
 もしも、青色リトマス紙が+極(陽極)のみ赤くなって言ったら、+極(陽極)にひきつけられるイオンが正体ということになります。
 それでは、実験のやり方について、説明します。
 最初に、スライドガラスの上にろ紙をのせ、その上に青色のリトマス紙を載せます。
 これだけだと、電気をほとんど通さないので、ろ紙とリトマス紙を硫酸ナトリウムでぬらしておきます。
 コツは、
硫酸ナトリウムの量は、ろ紙全体が染みる程度で、あまりつけすぎない
ことです。
 そして、
塩酸をつける前に電流を流しておく
のです。
 電圧は10V程度で、電流が2~3mA程度流れればよいでしょう。
 このように、
先に電流を流してから、塩酸がしみ込んだろ紙を載せる
のです。
 ココがコツです。
 それでは、実験の様子を見てください。

 見てのとおり、青色リトマス紙は陰極(―極)側だけ赤くなっていきました。
このことから、
陰極(―極)にひきつけられる陽イオンが酸性の正体
であることがわかります。
 塩化水素(HCl)はさきほどのように、
HCl → H +Cl
と電離しているので、
水素イオン(H)が酸性の正体
であることがわかります。

3 実験(電気泳動)により、アルカリの正体を調べよう

 続いて、アルカリの正体を調べる実験を行いましょう。
 先ほどの実験とやり方がほとんど同じなのですが、間違えやすいところを中心に説明していきます。
 最初に、スライドガラスの上にろ紙をのせて、赤色リトマス紙をのせます。
 酸性のときと同じように、硫酸ナトリウム水溶液でぬらして、電流が流れるようにします。
 先に電流を流してから、水酸化ナトリウム水溶液をしみこませた、細いろ紙を真ん中に置きます。
 それでは、実験の様子をご覧ください。

 塩酸の時よりは結果がわかりにくかったのですが、赤色リトマス紙が青くなったのは陽極(+極)の方が大きいことがわかります。
 このことから、
陽極(+極)にひきつけられる陰イオンがアルカリの正体
であることがわかります。
 先ほど、水酸化ナトリウム(NaOH)は
NaOH → Na + OH
と電離しているので、
OHがアルカリの正体
であることがわかりました。
 このように、ろ紙に電流を流して、酸やアルカリがどちらに移動していくのかを調べる実験を「電気泳動」といいます。
 今回紹介した実験の方法であれば、
どこの理科室にもあるもので
お金をかけずに
先生が行う演じ実験ではほぼ確実に
生徒実験では50%くらいの確率で

上手に電気泳動の実験を行うことができます。
 最後に、今回の記事で一番大事なことをまとめます。
酸性の正体はH
アルカリ性の正体はOH

です。

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