・電力・熱量・電力量の意味がわからない
・電力・熱量・電力量の計算がわからない
という悩みを解消します。
こんにちは。頭文字(あたまもんじ)Dです。
中学生に勉強を教えてかれこれ25年以上になります。その経験を活かして、「授業を聞いても理科がわからない人」を「なるほど、そういうことだったのか」と納得してもらおうとこの記事を書いています。
中学2年生理科 電流分野から、「電力」「熱量」「電力量」を求める問題について、何回かに分けて説明します。
この「電力」「熱量」「電力量」は電流の中でも、高校入試に一番出題される可能性が高い問題です。
なぜなら、「同じような問題を出しても、理解している生徒が少ないので、問題が作りやすい」からです。問題を作成する立場から見ると、これほどよい内容はありません。
しかし、見方を変えると
基本を理解するまでが難しいので、ワンパターンな問題が多い
とも言えます。
計算が出てくるので難しいイメージがありますが、使う計算は基本的にはかけ算と引き算だけです。
いくつかのポイントを押さえておけば必ず解けるので、一つずつ着実に理解していきましょう。
最初に、言葉の定義を確認しましょう。
他のものを動かすことができるものには「エネルギーがある」と言います。
例えば、モーターを電池につなぐとモーターが回ります。そのモーターにタイヤがついていれば、おもちゃの車が動きます。
おもちゃの車が動いたので、「エネルギーがあった」ということになります。
どこにエネルギーがあったかというと、電池です。
電池をつなぐと電流が流れることは小学校のときに学習したので、電気がおもちゃの車を動かしたことがわかり、電気は「エネルギーを持っている」と言えます。
電気が持つエネルギーを「電気エネルギー」といい、板書風に書くと
電気エネルギー・・・電気が持つエネルギー
となります。
そして、この電気エネルギーの大きさが今日のポイントの1つである「電力」なのです。
電力の定義は次のようになります。
電力・・・1秒間当たりに消費される電気エネルギーの大きさ
そして、電力は次の計算で求めることができます。
電力【W】=電圧【V】×電流【A】
電気エネルギーの量なので、電圧と電流の積(かけ算の答え)で求めることができます。
また、電力の大きさは電気器具の能力を表すことにも使われます。
例えば、白熱電球に「20W」とか「40W]と書かれていることを見たことはないでしょうか?
この「20W」というのが、この電球の電力を表しており、この値が大きいほど明るく光ります。
また、皆さんは電気器具に「6V-3W」などと書かれているのを見たことがあるでしょうか?
例えば、電球には「100Vー54W」などと書かれています。
これは、「100Vの電圧(コンセント)につなぐと、54Wの電力を消費する」という意味なのです。
今度、身近な電気器具をよく見てみましょう。探してみると書いてあるはずです。
掃除機が何Wの電力を消費するのか、電子レンジは?などと調べてみると面白そうですね。
先ほど、電力を求める公式を紹介しました。
おさらいのために書くと
電力【W】=電圧【V】×電流【A】
でした。
「電圧」「電流」というと、もう一つ公式を習っているのですが、覚えていますか?
そうです!オームの法則です。
忘れている人のために、オームの法則を書いてみます。
書き方はいろいろあるのですが、電力の公式と一番似ている書き方で書いてみます。
抵抗【Ω】=電圧【V】÷電流【A】
どちらも「電圧」「電流」を使う計算ですが、かけ算と割り算であることが違います。
電力は「電気エネルギーの大きさ」です。エネルギーの大きさだから、電圧と電流をかけることで求められる。
オームの法則で求められる抵抗は「電流の通りにくさの程度」でした。
だから、電圧を電流で割ることで求められる・・・とイメージするとわかるでしょうか?
求めるものが違うので計算が違うことを理解しましょう。
電力について、だいたいのイメージができたでしょうか?
イメージができたので、計算について勉強していきましょう。
先ほどから、何回も書いていますが、電力を求めるには
電力【W】=電圧【V】×電流【A】
の計算をすればよかったですね。
では、何問か解いてみましょう。
問題1 3Vの電圧がかかったときに、2Aの電流が流れた。この時の電力は何Wか。
問題2 6Vの電圧がかかったときに、500mAの電流が流れた。この時の電力は何Wか。
それでは、問題を解いてみてください。
このような問題は、答えを見る前に必ず自分で解くことが大切です。
当たっていても、間違っていても、自分で解いてから答えを見ることで力が付きます。
できれば、何かの紙に書いて。できなければ、頭の中で答えを思い浮かべてから、答えを見てください。
【解答】
問題1 6W 3(V)×2(A)=2(W)
問題2 3W 6(V)×0.5(A)=3(W) *500mAは0.5Aであることに注意!
どうでしたか?できましたか?
「簡単、簡単!」という声が聞こえてきそうですね。
それでは次の問題です。レベル2です。
問題3 「6V-3W」と書かれた電球が消費する電力は何Wか。
問題4 「6V-3W」と書かれた電球に流れる電流は何Aか。
どうですか?
問題3で「????」と思いましたか?
引っかかりかけた人もいるかもしれませんが、問題3は計算は必要ありません。
「1 電気エネルギーと電力~電気器具に書かれた「○Vー○W]の謎?~」で説明したように、この問題は「6Vー3W」と書かれていることで答えがわかってしまいます。
それでは解答です。
【解答】
問題3 3W
続いて、問題4です。問題3から、「6Vの電圧のとき、3Wの電力を消費する」ことがヒントです。
考えてみてください。
【解答】
問題4 0.5A 電力(W)=電圧(V)×電流(A)の公式に当てはめると
3=6×I
これを計算すると
I=0.5(A)となる。
どうでしたか?
「やってみると意外と簡単だった」という人が多いのではないでしょうか?
そうです!電力の問題だけならば、そんなに難しくはありません。
間違う可能性はオームの法則と勘違いして、「抵抗」を求めることくらいでしょうか?
問題文をよく読んで、「抵抗」を聞かれているのか、「電力」を聞かれているのかを正しく判断し、間違えないようにしましょう。
最後に、電力の計算で要注意の問題を紹介します。
その問題は
オームの法則と一緒に出題される問題
です。レベル3といったところでしょうか。
具体的な問題を見てみましょう。
問題5 ここに「100V-500W」と書かれた電子レンジがある。この電子レンジの電気抵抗は何Ωか?
さて、あなたは解けますか?
ちょっと時間をかけて解いてみましょう。
自分の考えと答えがまとまってから、もしくは、どうしてもわからないときは、下の解答と解説を読んでください。
【解答】
20Ω
【解説】
抵抗を求めるためには、「電圧」「電流」がわかればよい。
今、「100Vー500W」と書いてあることから、
電圧は100V
ということがわかる。
また、100Vの電圧の時、500Wの電力が消費されるので
500(W)=100(V)×I(A)
I=5(A)
となり、
電流は5A
であることがわかる。
「電圧」と「電流」がわかったので、抵抗を計算すると
100(V)=5(A)×R(Ω)
R=100÷5=20(Ω)
となり、抵抗は20Ωであることがわかります。
やってみるとわかったと思います。計算が2段階に分かれていることに。
そして、大半の人が格段に問題が難しくなったと感じたはずです。
電力の計算にオームの法則がからんでくると難しくなる
のです。
しかし、
難しい問題はワンパターンの法則
があります。
このような問題は余りパターンはないので、解き方を覚えておけば「おいしい」問題へと変わります。
そういえば、途中までは問題4と同じ解き方でしたね。
これがパターンです。
「難しい問題」を「おいしい問題」にするには、同じパターンの問題を何問か解く必要があります。
ということで、もう1問だけ問題を解いてみましょう。
問題6 「100Vー40W」と書かれた電球がある。この電球の抵抗は何Ωか。
先ほどの問題を参考にして、解いてみましょう。
【解答】
250Ω
【解説】
抵抗を求めるためには、「電圧」「電流」がわかればよい。
今、「100Vー40W」と書いてあることから、
電圧は100V
ということがわかる。
また、100Vの電圧の時、40Wの電力が消費されるので
40(W)=100(V)×I(A)
I=40÷100=0.4(A)
となり、
電流は0.4A
であることがわかる。
「電圧」と「電流」がわかったので、抵抗を計算すると
100(V)=0.4(A)×R(Ω)
R=100÷0.4=250(Ω)
となり、答えは250Ωになります。
いかがでしたか?
今回の内容を理解するためのポイントは2つです。
・オームの法則との違いを把握すること
・オームの法則と一緒になって出題される問題の解き方
この2つの注意点を意識して勉強していくと、実践力が増していきます。
次回は、電力量と熱量の関係について説明します。
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