・電熱線を2つつないだ時の全体の抵抗がわからない
という悩みを解消します。
こんにちは。頭文字(あたまもんじ)Dです。
中学生に勉強を教えてかれこれ25年以上になります。その経験を活かして、「授業を聞いても理科がわからない人」を「なるほど、そういうことだったのか」と納得してもらおうとこの記事を書いています。
今回は、中学2年生理科 電流分野から、「電熱線のつなぎ方と全体の抵抗」について説明します。
今回は、2つの電熱線をつないだときについて説明します。
最初に、下の回路図を見てください。
2つの電熱線は直列につながれています。右の電熱線は20Ω、左の電熱線は30Ωです。
全体の抵抗を求める問題が出たとき、解き方は2通りあります。
① オームの法則を使って解く方法
② 抵抗の和を求める方法
です。
このうち、「①オームの法則を使って解く方法」は前回説明したとおりです。
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
電流と電圧の関係(オームの法則)②~実際に計算で問題を解いてみよう~
電源装置の電圧が3.0Vで、流れる電流が0.06Aなので、E=IRに代入すると
3.0=0.06R
これを計算すると
R=50 となるので
答えは50Ωになります。
(現在の中学校で出題される問題では)基本的にこの方法で解くことができます。
しかし、「計算が難しいな」と感じる人もいると思うので、抵抗の和を求める方法を紹介します。
「和」というのは「足し算の答え」という意味です。
つまり、直列につながれた電熱線の全体の抵抗を求めるには
2つの電熱線の抵抗を足せばよい
ということです。
20Ωと30Ωの抵抗をつなげたので、
20+30=50
となり、答えは50Ωになります。
なぜ直列回路では、2つの電熱線の抵抗を足せばよいのでしょうか。
それは、
抵抗とは電流の通りにくさの程度
であるからです。
電流にとって電熱線とは、「幅がせまくて通りにくい道」なのです。
通りにくいので、電流はなかなか前に進めません。
やっと1個の電熱線を通ったと思っても、次の電熱線があります。
電流にとっては2つの電熱線をそれぞれ通らねばならないので、通りにくさは電熱線の分長くなります。
だから、全体の抵抗は2つの電熱線の抵抗を足した大きさに等しくなるのです。
続いて、2つの電熱線を並列につないだ回路について考えてみましょう。
先ほどと同じく、上の電熱線は20Ω、下の電熱線は30Ωとなっています。
並列回路の全体の抵抗を求める方法も2通りあります。
②「和分の積」の公式を使って解く方法
まずは、「①オームの法則を使って解く方法」について説明します。
電源装置の電圧が3.0V、流れる全体の電流が0.25A(枝分かれしていないところの電流で計算するのがポイントです。)なので、E=IRに代入すると
3.0=0.25R
となり、計算すると
R=12
答えは12Ωとなります。
続いて、「②「和分の積」の公式を使って解く方法を説明します。
「和」とは「足し算の答え」でしたね。
「積」とは「掛け算の答え」です。
「分の」というのは、「分数」ということです。
つまり、
分母に「和」
分子に「積」
を書いて計算しなさい
ということなのです。
実際に計算してみましょう。
電熱線は20ωと30Ωなので、
20×30 600
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄= ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄=12
20+30 50
となり、答えは12Ωとなります。
当然、①で計算した答えも、②で計算した答えも同じになります。。(当たり前ですが)
さて、気がついたでしょうか?
並列回路では、全体の抵抗はそれぞれの抵抗の値よりも小さくなる
のです。
信じられないかもしれませんが、これが現実です。
なぜそうなるのか、簡単に説明します。
まず、想像してほしいのが
電流にとって、電熱線は通りにくい道
ということです。(抵抗とは「電流の流れにくさの程度のこと」でしたね。)
例えば、「幅がせまいので一度に多くの電流が通れない道」を想像してみてください。
そして、並列回路とは
流れる道が横に増える
とイメージしてください。
1本のせまい道しか通れない場合は、混雑してなかなか前に進みません。
しかし、横にもう1本の道があればとなりに移動して通ることができます。
つまり、
並列で、道が2本あった方が通りやすい
のです。
これが、電熱線を並列につなぐと全体の抵抗はそれぞれの抵抗よりも小さくなる理由です。
それでは、練習問題を解いてみましょう。
テストでは、「オームの法則を使って解く方法」でも「公式を使って解く方法」でもどちらでもいいのですが、今回は練習なので、両方のやり方を試してみましょう。
両方のやり方を試してみて、やりやすい方法で解けるようになれば良いと思います。
また、公立高校の入試問題ではまずでないと思いますが、「どちらかの方法でしか解けない問題」が出る可能性があります。
そのような問題にであったときのためにも、両方の方法をやっておく価値があります。
問題1
問題2
問題3
問題4
【解答と解説】
問題1 8Ω
(オームの法則)4.0=0.5R R=8.0
(抵抗の和)4+4=8
問題2 3Ω
(オームの法則) 0.3=0.1R(100mA=0.1Aに注意!!)
R=3
(抵抗の和分の積)
6×6 36
――――――= ―――――=3
6+6 12
問題3 18Ω
(オームの法則)5.4=0.3R(300mA=0.3Aに注意!!)
R=18
(抵抗の和) 12+6=18
問題4 6Ω
(オームの法則) 3=0.5R R=6
(和分の積)
10×15 150
――――――=―――――=6
10+15 25
いかがでしたか?
「抵抗の和」を求める方法や「和分の積」で求める方法の方が簡単だったかもしれません。
しかし、オームの法則でしか解けない問題も出てくる可能性があるので、必ず両方で解けるようにしておきましょう。
【中学理科応用問題】「電流」「電圧」「抵抗」に関する応用問題①~応用問題は、順序だてて考えることで答えが見えてくる~ | いやになるほど理科~高校入試に向け、”わからない”が2021年2月19日 10:57 PM /
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